攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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陰キャあるある:ドッヂボールが苦手だった

 そんなこんなでキャッチボールに興じる精霊知能達を、眺めつつのんびりしたひと時を過ごした俺ちゃん。

 でもまあ、さすがにいつまでもこうしていられないというか。普通に帰る時間になってきたもんで、引率の先生じゃないけどみんなに呼びかけて帰り支度を始めたのである。

 

「みなさーん、お時間ですよー。帰りましょー」

「む、頃合いか。存外のめり込めたものだな、ワタシとしても」

「あ、そろそろそんな時間なのか……なんか久々すぎてやたら熱中しちまった、山形さん一人置いてけぼりみたいになっちまって」

「あ、いえいえお構いなく神奈川さん。見てるだけでも楽しかったですし、そもそも球技があまり得意なほうでもないので」

 

 ずいぶん夢中になってティートレやヴァールと遊んでいた神奈川さんが、我に返ってどこか気恥ずかしげに頭を掻いて俺に言ってくる。

 でも俺としても、童心に帰ったみたいな神奈川さんはじめ精霊知能達は見ていて飽きなかったし何も気にすることはないよ、本当。なんならマジで自分がやるってなると気後れする質だし、キャッチボールとか。

 

 あの、これは陰キャにありがちだと勝手に思ってるんだけど……基本球技関係に苦手意識があるんですよね、妙に。

 結構な勢いで跳んでくるボールとか当たると痛いし、小学生なんかの頃はそれがメインのドッヂボールとかあったしね。あれは正直、嫌だったなあ。

 

 その影響もあるのか知らんけど、とにかく球技そのものに対して見るのは良いけどやるのはちょっと、的な感覚が俺にはあるのだ。

 だから気にしないでほしいと言えば、神奈川さんもなるほどとうなずいてくれたのだった。

 

「はーっ、意外と熱くなっちゃいましたー! ダンジョン探査以外のところで運動するっていうのも乙なものですねー!」

「はもはも。精霊知能も意外とこういうスポーツにハマる子はいますよ。ヌツェンとかティートレは典型ですねえ」

「元よりそういうのが好きなティートレはともかく、ヌツェンはどうも現在の業務上のストレス発散も兼ねていそうなのがな。自ら買って出たとはいえ大きな仕事だ、メンタルケアはこちらのほうでもしっかりせねばならんな、やはり」

「頼みますよーアフツストー。精霊知能統括担当ってばそういうのも業務のうちですからねー」

「分かっているとも」

 

 リーベやアフツストも、実際に汗をかいてるわけではないもののなんだかいい汗かいたーふうに爽やかな空気を醸している。クロノジーテも心なしか独特な雰囲気のなかにもさっぱりした感じがあるね。

 まあ、スポーツって適度なものだとストレス解消に良いって聞くし。心身の健康につながるなら精霊知能も日常的に取り入れるのはむしろ合理的だろう。

 

 ただ、ヌツェンみたいに業務上のストレスを溜め込んでとなるとそれとは別に、メンタルケアとか手厚いサポートは必要なわけで。そこは精霊知能統括担当たるアフツストが頑張らないといけないところだね。

 彼もそこはもちろん理解していて、力強くうなずいている。頼もしい子だよ……リーベやシャーリヒッタ、ヴァールに並ぶ精霊知能第一世代筆頭格として申し分ない姿だ。

 

「うう、御多忙のアフツスト兄様にフォローいただくなんて情けない」

「気負うなァヌツェン。オメーはよくやってくれてるんだぜマジで。困ったら周囲を頼るのも仕事のうちだァ、特にオレやアフツストのヤツには盛大に寄りかかってきな、いつでも連絡待ってるぜェ」

「にゃはは、私もできることがあるならお手伝いしますし愚痴も聞きますよ! あ、なんなら受肉して現世に来てくれたら行きつけの居酒屋で一緒に飲みましょう! お酒は良いですよー」

「あ、ありがとうございますお二方……じ、受肉ですかあ。休日にそういうのも、アリといえばアリなのかなぁ」

 

 他方、そんな気を使われているヌツェンがやっぱり気にしいだもんで、軽く落ち込んではシャーリヒッタやミュトスに慰められている。

 うん、それは良いんだけどねミュトスちゃん? フレッシュ! な精霊知能を酒の道に誘うのはまあ、ほどほどにね? その先にあるのは下手すると往年のマリーさんよろしく肝臓グッバイルートだかんね?

 

 しかし受肉して現世に遊びに来るってのはまあ、悪くないというか。実際なんか、精霊知能達による受肉申請が増えてるって話はちょくちょく聞くしね。

 ちょっとした旅行がてら、現世に観光に来る子も今後いるかもって話だ……たぶん委員会周りの話が落ち着かないことにはワールドプロセッサのほうで止めるだろうけど、そこから先はどうなるかってところかなあ。

 

 システム領域も心を持った今。そして現世に影響を受けまくってる昨今においては、やはり付かず離れずの距離感が一番であるという前提はあっても時に歩み寄ることも必要かもしれない。

 難しい塩梅だけどね、それはきっと精霊知能達にとっても掛け替えのない財産になってくれると信じるよ、俺は。




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