攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ひとまずさよなら、システム領域

 というわけでぼちぼち帰るよーってなことで、俺達はスポーツ施設を後にした。

 ヌツェンやティートレ、クロノジーテも一緒だ……律儀にもお見送りしてくれるらしい。なんだか気を遣わせちゃってありがたいったらないね。

 

 そろそろ少しは見慣れてきた近未来的都市部を離れ、システム領域の玄関口にあたる草原へと戻る。

 なんやかや結構時間も経ってて、今はもう、15時前ってところだ。領域内で空腹とかを覚えることはないんだけれど、現世に戻ったら一気に腹ペコになるかもね。

 

 晩ごはんまでは少し時間あるし、ミュトスの家に戻った後は普通に解散になるわけで。

 虫養いにでも何かしら食べるかなあ。帰りにコンビニ寄るとか、さすがにレストランとかは今からだとガチ食いすぎるしなあ。

 

「ちなみに今日の晩ごはんなんだっけな、リーベ」

「おでーんでんでん、おでんですー! あっ、帰りにからし買ってくるように言われてますねー」

「おでん……じゅるりじゅるり。聞いてるだけで日本酒が飲みたくなる良い響きですねえにゃひひひひ! あー、私も今日はどっか繰り出して鍋でも突きますかねー」

『お鍋だって、千尋。寒い日にはちょうどいいね』

「だなあ。もう年の瀬だし、風情もあるな」

 

 ふと気になって今日のお夕飯の献立を聞いてみると、リーベが満面の笑みを浮かべて答えてきた。おでんか……冬の定番、素晴らしいね。

 ミュトスや神奈川さん、ステラも思わず喉を鳴らす程度にはこの時期、魅力的な料理だろう。いやミュトスは完全に酒の肴としてしか見てないけども。なんならどこか居酒屋でも行ってお鍋料理を頼む気満々だけれども。

 

 あんまりやりすぎるとまたぞろリーベが反応するからほどほどにね、と言おうとした矢先にもう手遅れだ、ニッコリ笑うリーベがミュトスに迫っている。

 怒ると圧がものすごい子の、迫力に即座にミュトスが顔を引き攣らせてプルプル身を縮こまらせた。怖ぁ……こういうところはさすがリーベちゃん、精霊知能のなかでもトップクラスなだけあって締めるところはきっちり締めるね。

 

「ミュトスちゃーん? お酒の頻度は考えましょうねー? リーベちゃんミッチーともつながってますから、ミュトスちゃんが無茶なことしてたら即座に分かりますからねー?」

「ヒェェェ! はひはひ、きききき肝に銘じましゅう! あわわひわわ、さ、三界機構さん達までもが今のは私が悪いから平謝りすべしとふわはわ」

「えぇ……?」

「ミュトスの周りは保護者がいっぱいだぜェ」

 

 なんなら体内の三界機構達にさえ言われちゃってるらしい。ミュトスってば諌めてくれる人がたくさんいるなあ。

 シャーリヒッタともども横並んでしみじみそんな光景を見つつも、しかして俺はアフツストやヌツェン達、システム領域のモノ達に向き直った。またぞろ、暫しの別れの時だ。

 

 今回もまた、実りの多い訪問だった。必要事項から単なる交流まで、得るものの多い時間だったと思えるよ。

 そんな感謝をも込めて、代表してアフツストへと告げる。

 

「……今日は案内ありがとう、アフツスト。君のおかげで俺達は、今回のシステム領域訪問を大変有意義なものにできた」

「もったいないお言葉ですな、コマンドプロンプト。私や私どものほうこそ、御身や同胞を迎え入れることができて大変光栄でした。また、いつでもお戻りくださいませ」

「そうさせてもらうよ。現世もそうだけどシステム領域も広いんだ、少しずつ、どちらに対しても見聞を広めさせてほしい」

 

 握手を交わす。彼とだけでなく付き添いできているヌツェン、ティートレ、クロノジーテともだ。

 彼らをはじめ、この領域に無数に存在する精霊知能達にもいつかまた、会ってやり取りすることもあるかもしれない。その時にもこうして穏やかな気持ちで、素晴らしいひと時をともに過ごせるならば最高だろうさ。

 

 リーベ、シャーリヒッタ、ヴァール。それに神奈川さんやステラ、そしてミュトス達も挨拶を交わしていく。彼らにとっては懐かしかったり新しかったりするこの故郷、今でなくとも還る時は必ず来る。

 それまではひとまず、現世を拠点に帰っていくのだ。そしてまた新しい日々を精一杯謳歌し、生活していく。それもまた、受肉した精霊知能としての役目のひとつなのだ。

 

 だから、今はさよならシステム領域。

 俺もいつか時の流れの果てに、ここに還ってくるモノだから。

 今はそこに至るまで、在るべき場所で成すべきことに励むとするよ。

 

「みなさま、お元気で! またお会いしましょう、ヌツェンでした!」

「んんんんゲーム・セェェェット!! しかして次なるプレイ・ボールに向けてんんんん、グッド・バァァァイ!!」

「またぞろ来た時には、今度はマシネもよろしくでーす。まほまほー」

 

 ヌツェン、ティートレ、クロノジーテも手を振って見送ってくれる。

 彼らだけでなくまだ見ぬ精霊知能とも今後、出会う機会は当然あるだろう。その時が楽しみだけれど、今はここでお開きとしようか。

 どうあれ次に来る時はきっと、委員会とも何かしらの決着がついてからになるだろうからね。

 

「ありがとう、みんな。それじゃあ、今度また会おう」

 

 告げて、リーベが作ったワームホールへと歩き出す。

 かくして俺達のシステム領域訪問は、今回も無事に終了したのであった。




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