攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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意外とイジられ気質なアンジェリーナさん

 見えてきた一部屋のモンスター。それは全身が鉄の鎧で覆われている狼、メタルウルフの群れだった。

 A級のなかでも俊敏さに長け、かつ防御面も折り紙付きというなかなかの難敵と聞くね。あからさまに重量がありそうな鎧を着込んでなおスピードもあるらしいのは、さすがはA級ってとこだろう。難敵だ。

 

 そんなのが群れとして、10匹ほどいてこちらに歯を剥き出しにして威嚇してきているのだ。並の探査者ならば多少は怯む。

 けれどここにいるのは並大抵でない、一騎当千の強者達だ。なんら竦むことなくむしろ戦意を高揚さえさせながら、俺達は部屋へと踏み込んでいく。

 今しがたまでの会話を前提として、香苗さんが葵さんに声をかけた。

 

「さて、葵さん。アンジェリーナにあそこまでこき下ろされて黙っているのも癪でしょう。ここはあなたの実力を発揮する時だと思いますが」

「ハッハッハー、そうだねー。アンジェさんの評は戦闘力面だけを見た時には間違いなく正しいものだけど、だからこそそれ以外のところが君の本領なんだって示さないといけないだろうさ。いけるかい?」

「う……は、はっはっはー! なんかめちゃくちゃハードル上げられてますけどなんのその! やりますよやってやりますとも、何しろこの早瀬葵さんと来たらエリスさんの弟子で光太郎おじいちゃんの孫ですからね! やったりますよう!!」

「ぴ、ぴあああ……なんかちょっとやけっぱちぃ……」

「ていうか、私が追い詰めたみたいに言うの止めてね香苗!? ちゃんとA級らしい実力はあるって言ってるっての!!」

 

 アンジェさんによる葵さんへの評価──ズバリド直球な話、A級相当ではあるもののフーロイータを持ってる割には高くない──を受けての言葉。

 無論、アンジェさんにだって悪気はないし正しい評価だとしながらも、けれどお二人は早瀬葵という探査者の真価は、単純な戦闘力だけのところにはないとしているみたいだ。

 それを今からの戦闘で示す時だと、言っているんだね。

 

 ここについては俺も思うよ、戦闘力ばかりが探査者に求められているものではない。強ければ強いほどそれに越したことはないけれど、それだけしかないようでは務まるものではないのだ、この世界の何事も。

 それは、ここにいる誰もが理解していることだろう。そして葵さんがその"強さ以外の力"を、しっかりと備えているということもね。

 

 エールを受けて葵さんが前に出る。背に担いだ三叉槍、AMWフーロイータを手に取り構えて、一気に闘志を顕にする。

 さて、初戦だ。この数はさすがに一人だと厳しいし、全員で当たる形になるかな。それぞれ得物を構え、戦闘態勢に入っていく。

 

「はっはっはー! ……じゃあやりますけどみなさん、用意は良いですね!? ちなみに山形くんと香苗さんってば、今回は広域殲滅的な攻撃しますか?」

「あ、いえ俺達も肉弾戦で行きますよ。ね、香苗さん」

「もちろん。チーム戦ですし何より葵さんの力をアンジェリーナに見せる場面ですからね。邪魔はしませんよ」

「了解です! よーしそれじゃあアンジェリーナさん、ランレイさんも! 先手は行かせてもらいますよはっはっはー!!」

 

 開戦間際に最後の確認。このなかで俺と香苗さんだけはオールレンジ対応だもんで、下手すると初手広域範囲攻撃ぶっぱとかできちゃうからね。葵さんの質問は必要なことだ。

 でもって答える俺達。今回は何よりも葵さんの力を示す場面である以上、俺や香苗さんが大技で出しゃばるところではないだろう。元より近接戦闘のアンジェさんやランレイさんともども、ここは肉弾戦オンリーで行かせてもらいますとも!

 

 ちなみにエリスさんもナイフを構えて悠々とした様子だ。同じく星界拳の構えなランレイさんや刀を抜き放つアンジェさんと比べても明らかに自然体でリラックスして、楽しげに弟子の姿を見守っている。

 ……けれど放つ闘志の質がやっぱり壮絶だよなあ。A級トップランカーばかりか、香苗さんでもここまではっきりと佇まいから実力を感じさせる圧は出せないよ。

 さすがはS級最強クラス。というか俺の見立てだとたぶん、現存する人類のなかで最強だろう存在だよ。

 

「ハッハッハー。さ、頑張って葵。君が自分を信じる限り、君はどこまででもどこにでも行ける」

「はい、師匠! 《雷魔導》、雷槍技ッ!! プラズマチャージ・アクセルライトニングッ!!」

「ぴゃわわ!? ──初手から大技か、見事だ葵! アンジェの発言にやはり思うところはあったのだろうな、分かるぞッ!! あそこまで言われて奮起せぬわけもないのだ、戦士ならばッ!!」

「わ、私が変に煽ったみたいに言うのやめてよランレイ! ああもう、香苗といいアンタといい、普段面白キャラなくせに隙を見るなり弄ってきちゃって!!」

「怖ぁ……」

 

 いきなり奥義をぶっ放し、稲妻を纏ってメタルウルフの群れに突撃する葵さん。

 そのインパクトにぴゃわってたランレイさんも、バトル時の人格に切り替えながらも喝采を挙げた。同時にアンジェさんを弄るかのように言うあたり、なんというかこの人も割といい性格をしている。

 

 というかアンジェさん、割と弄られキャラしてるのかなもしかして? さっきの香苗さんも結構ストレートだったし、幼馴染や相棒という立場からすると、直情的で素直な彼女はからかい甲斐があるのかもしれない。

 まあ、これもアンジェさんの人徳だろう。焦ったように言い返す彼女の姿に、ちょっぴりほっこりする俺ちゃんだ。




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