攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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葵は葵で頑張ってるよ!

 AMW、フーロイータに搭載されたスキルブーストジェネレータによって増幅された《雷魔導》の稲妻。

 それを纏って超加速し突撃した葵さんが、メタルウルフを一体そのまま串刺しにして突き抜けた。ソニックブームさえ巻き起こる速度に、俺は会心の笑みを浮かべる。

 

 こと速度にあっては、葵さんはアンジェさんやランレイさんにも引けは取らない。それ以外のところで差をつけられている節はあるけど、一芸においてのみならばトップランカーにも追随し得るものがあるのだ。

 それだけでも個人的には評価に値するが──しかしここからだ。葵さんはさらに、稲妻を纒った右手を地面に叩きつけた!

 

「ここから行きますよ! サンダーボルト・スプレッダー!!」

「ぐるぉぉおおあああああっ!?」

「ううううるぉぉぉおおおああああ!!」

「っ……倒すところまではいけませんが足止めしてまーす! みなさんどうぞ、後はお好みでやっちゃってくださーい!」

 

 さらなる追撃の技。地面に奔る雷撃が彼女を中心として円状に広がり、周辺のメタルウルフを襲っていく。

 威力はさほどでもない。倒せるわけでもないがしかし、確実にダメージは入る程度にはある。敵の身体が全身鋼鉄製というのを考えれば、防御を貫通できているのは相当だろう。

 

 何よりもこのサンダーボルト・スプレッダーは足止めとして機能している技だった……雷撃が敵を痺れさせている!

 10匹近いメタルウルフが軒並み叫びながら麻痺し、地に伏せる様はなかなかに圧巻だ。迸る稲妻のエフェクトもとんでもないからなおのことだね。

 

 先制攻撃で敵陣に突撃し、かつ周囲を軒並みスタンさせて後続へとつなぐ。見事なまでの切り込み役ぶりだ。

 俺達も負けてはいられないぞ、さっそく稲妻が収まるなかをモンスターめがけて駆け抜けていく。

 

「サンキュー葵! こういうところこそ、アンタの素敵なところってなわけよ! そうでしょ、香苗!」

「そうですね。強さの価値とはそれそのものでなく、それをもっていかに振る舞うかによって決まる──私が葵さんを評価する理由もまさにここです」

「自分に今、できることを最大限にやってみせる……判断力と決断力。こればかりは探査者みんなに必ずしも備わっているわけでもありませんからね」

「しゃああああああっ!! 星界ッ!! 斬鉄ッ! 孤狼脚ゥゥウッ!!」

「ゥォォオオオオワァァッ!?」

 

 刀で、ナイフで、そして素手で斬鉄脚でもって攻めかかる俺達。アンジェさんと香苗さんが葵さんを端的に讃えるのを耳にし、俺もそのとおりだとうなずいた。

 言ってしまうと早瀬葵という探査者はまだまだ発展途上だ。だけれどその立ち回り、周囲の味方や仲間のことまで気にかけての動きぶりや振る舞いにかけては、俺が見る限りでもこれまで見たどの探査者達にも勝っているように思う。

 

 つまりは連携力が非常に高いんだね。

 特に自分を率先して切り込み役とした時の周囲のやりやすさはとんでもなくて、倶楽部やサークルとの戦い、ウーロゴス戦においても彼女と肩を並べた探査者達は他と比べても格段にやりやすそうだった。

 本人はなんでもないように当たり前のことを行っているふうだけど……実のところそれは誰にでもできることじゃない、まさしく職人芸めいた手腕と言える。

 

 これってのも結局は葵さん自身の人間力というべきかな。

 コミュニケーション力とか判断力、決断力があってこそのものだ。スキルやステータス以前に人間としての地力によって、彼女は唯一無二の個性を確立できているんだよ。

 

 本人の生来の気質もあれば、エリスさんの弟子兼相方として、彼女を支えながら世界を股にかけてきたなかで培われてきたものでもあるだろう。

 あるいはS級探査者にさえ難しいことを、いとも容易く葵さんはこなせているのである。

 

「力及ばずでも、サポートくらいはさせてくださいよ! ──新技お披露目、サンダーウェーブ・フィールド! この部屋一帯に、一時的に雷魔導の力場を形成しました!」

「新技!? 雷魔導の力場って何!?」

「ええっと、平たく言うとみなさんの攻撃すべてに私の《雷魔導》の力を付与させてます! つまり今ならドス振り回してもビーム出しても、全部に葵さん謹製の稲妻が追加でおまけどーん! ですよう!」

「…………自身のスキル効果を付与! 魔導系スキルでできる範囲を超えている!!」

「葵、いつの間にそんな大技を……!?」

 

 さらに驚くべきスキルの発露に、俺は今度こそ驚きに叫んだ。見ればエリスさんも同様なあたり、誰にも頼らず一人で編み出したんだな、この技は。

 部屋全体に自身のスキル《雷魔導》の効果を浸透させ、味方の攻撃すべてにオートで雷の追加攻撃を付与する。とんでもない技術だ。

 

 こんなこと、魔導系スキルで想定している範囲の効果じゃない。制御も難しければそもそも魔導系は自身のメイン攻撃に使ってなんぼみたいなところがあるからね。

 それを、自身一人のためでなく仲間の援護のため、フォローのために惜しみなく注ぎ込む……これは葵さんの発想の勝利だ。

 この人もまた、明確な形でシステム領域の思惑を超えてきたんだ!




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