攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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自分一人じゃ足りないなら、みんな巻き込んで力にすれば良いじゃない

 思いがけずも示された、早瀬葵という探査者の新境地。《雷魔導》による追加攻撃を、フィールド内の味方の攻撃すべてに付与するというとんでもない新技サンダーウェーブ・フィールド。

 これにはアンジェさんやランレイさんが分かりやすく興奮しているし、それ以上に香苗さんやエリスさんまでもが感心しきりにうなずいている。

 

 S級にまで至った探査者すらこうまでリアクションさせるんだから、間違いなくあの技はトップ層にも影響を与え得るものだ。

 次の部屋への道中、葵さんはこの規格外の発想を技にしてみせた経緯を語ってくれた。

 

「はっはっはー! いやあ私も私なりに、実力不足というかフーロイータの力を引き出しきれてないなあって感覚はありまして。それをどうにか補いたいなーってずっと思ってたわけですよ」

「まあ、かねてからの課題だったからねえハッハッハー。しかしそれで今みたいな、他者へのスキルによる支援って方向に行くとはさしものエリスさんも思いもしてなかったよ。すごいよ葵」

「いえいえ何をおっしゃるウサギさんカメさんエリスさん……師匠の《念動力》から着想を得てるんですよ? サンダーウェーブ・フィールドは」

「…………えっ!?」

 

 目を丸くして驚くエリスさん。自身のメインスキルである《念動力》を参考に《雷魔導》の新たな使い道を模索したのだという弟子に、まさかそんなことがといった感じだ。

 なるほど、と俺としては納得するかな。たしかにサンダーウェーブ・フィールドの効果は言われてみれば、《念動力》の影響が見て取れるところはある。

 

 というかコンセプトは割とそのものだろう。

 自身のスキルによる現象でもって味方を支援する──エリスさんもナイフを使って、味方の行動をサポートする立ち回りを時折見せているからね。

 

「エリスさんはさすが最強のS級だけあって、自分が戦うのも冗談みたいに強いです。でもそれ以外にも、ナイフを操って味方を支援したり敵を牽制したりする動きもとんでもないんですよね。そこを参考にしてみました!」

「たしかに……むしろ私のようにあまりエリスさんの探査を見たことのない者からすると、直接戦うというよりは味方の攻撃に合わせたサポートに回るというのが多いように思えますね」

「ハッハッハー、まあ、そこはね? さすがに他に頼れる人がいるなら、私みたいなのは一線下がって支援ってほうがいろいろ丸いから。そっちのがぶっちゃけ目立たないし」

「エリスさん、基本的に自分が前に出るタイプではないですからねえ」

 

 自慢げに師匠を誇り、参考にしたとまで語る葵さんに香苗さんがうなずく。

 常日頃からエリスさんの戦いを具に見ているわけじゃない彼女や俺からすると、エリスさんって実のところ矢面で敵と組み合うよりかは支援やサポートでの立ち回りが多い探査者なんだよね。

 

 一応、ナイフに《念動力》を使った規格外のエネルギーブレードがあるというくらいは知ってはいるものの。この人がまともに戦う場面なんて、それこそバグモンスター火野戦とウーロゴス戦くらいでしか見てないほどだ。

 後はいくらかの場面で、ナイフをサイコキネシスで操作しての味方のサポートばかり……葵さんはそこに着目して、例の技を開発したってわけだね。

 

「スキルブーストジェネレータで増幅した《雷魔導》は、正直フルパワーだと私一人で賄うには手に負えないのが現状です。でもそれを、周囲にまで範囲を広げてサポートとして使うなら」

「分散するだけ、制御もギリギリできるってわけね!」

「まだまだ、これだって3分保てば良いほうですし一度使うとクールダウンに1時間はかかりますから技としては論外ですけど……ひとまずは方向性を持てたような気はします。もちろん、個人の実力も伸ばしていきますけどね、はっはっはー!」

「いやはや驚きだよ葵、本当に。よく考えついたよ、まだまだ伸び代もありそうだし、たしかにこの方向性を伸ばしていければ君は、きっとA級トップランカーやS級にも匹敵する唯一無二の武器を得られるよ」

「ええ。少なくとも私は、こうした方向性の探査者がパーティにいてくれるならばとてもありがたいと思います」

 

 仲間からの賞賛。そしてそれ以上に葵さん自身が感じた手応え。これをもって彼女は、自らの探査者としての課題に対して一定の解決策を見いだしたみたいだ。

 自分一人を強くしていくのも大切だけど、味方を支援し、一時的にでも強化するのもまた、大切なんだね。

 

 香苗さんが言うとおり、葵さんのような探査者がパーティにいてくれたら……きっとサンダーウェーブ・フィールドに限らず人間力、コミュニケーション力の部分でも大いに助けられるって人は多いと思うよ。

 そしてそういう探査者に、葵さん自身はなっていけたら良いと熱く語る。

 

「たとえ私が力不足でも、いろんな人が助けてくれるみたいに。その人達があと一手、もう二手足りないという時に三手差し出せる探査者になりたい。最近はそう思うんです……師匠、エリスさんがそういう人だからでしょうね」

「葵……」

「たぶん、この道は生涯かけての道になります。ですけどきっと、やり遂げてみせます。エリス・モリガナの弟子にして早瀬光太郎の孫。AMWフーロイータの担い手……そして何より私自身、早瀬葵の名にかけて。はっはっはー! 葵さんはまだまだ、これからってことですよ!!」

 

 師匠と、祖父への限りない尊敬。己の武器への信頼、親愛。

 そして誰より自分自身への矜持を強く示して、葵さんは生涯の道を見つけたと宣言したのだった。




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