攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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78年前、彼女に何が起きたのか

 ある意味、聖女たるにふさわしいエリスさんだからこそ覚醒したと言えるかもしれない未来予知。

 護衛とか、受け手に回る際には詰みに持ち込まれかねない危険性のある超能力だけれど、通常の戦闘においてはこれがまためちゃくちゃ強いんだよね、当たり前だけど。

 

「それはそれとして便利に使える分には存分に使うのがエリスさんスタイルだよハッハッハー! というわけでエネルギーブレード!」

「うぐごぇあっ!?」

「犯した罪に、等しき罰をッ!!」

「ごぐれりゃあっ!!」

「しかしデタラメな威力ですね……殺傷力という点で言えば他の追随を許さないのではないでしょうか、あのエネルギーブレードとやらは」

 

 迫りくるモンスターの攻撃を、やはり未来予知しているのだろう神がかったタイミングで避けつつエネルギーブレードでの斬撃でカウンターを入れていく。

 カウンターといえば後の先という言い方もできるけど、彼女の場合はさらに特殊な、言うなれば先の後の先と言えるものだろう。

 

 何しろまず向かってくる相手に対して、エリスさんのほうから踏み込んでいってるからね。たぶん、その行動をトリガーに5秒先までの敵の動きを予知しているんだ。

 そして相手の動きに合わせてカウンターを入れる。自身の、なんであれアクションをトリガーにしないと発動しない超能力がゆえのスタイルなんだけど……エリスさんの人格、人間性からは想像しにくいほどに攻撃的なカウンタースタイルだね。

 

 一方で香苗さんは、エネルギーブレードの威力にも着目していた。見るからにとんでもない殺傷力だから無理もない。

 ここに至るまでに出てきたあらゆるモンスターを基本、一撃必殺でぶった斬ってるからね。エアリアルハイパークッションザムライ相手にやったみたいな特性封印技術もあって、とにかく攻撃性に関しては問答無用なのがエリスさんという探査者の一番の特徴と言えるだろう。

 

 そして何より、私の目から見るにあのエネルギーはどうもやはり、本来のスキルの使い方とは明らかに異なるようだ。

 香苗さんに応える形で、考察から推測できることを語っていく。

 

「あのエネルギーブレードは、本来の《念動力》の使い方とは明確に異なるものですね。というか、《念動力》を用いて自分の魂から直接的にエネルギーを引き出しているみたいです」

「魂の、力。なんかこないだからちょくちょくそんなこと言ってるみたいだけど、公平。私も最近たまに放ってるってランレイが聞いたって」

「圧力ですね。スキルや超能力のリソースの出処ってのが結局、個人個人の魂なんですけど……それを未加工のまま、直接引き出した結果が魂の圧だったりあのエネルギーブレードだったりします」

「はっはっはー! 山形くんの話はちょくちょくスピりますねー」

 

 唐突に魂だなんだ言い出すもんで、ものの見事に内心うっすらセルフツッコミしてるところを葵さんに言われちゃった。でも仕方ないんや、これ事実だもの。

 前にも述べたが、スキルも超能力も本質的には同じスーパーパワー……各世界が本来持っている魂の力の出力形態だ。

 この世界の本来のそれが超能力であり、邪悪なる思念との戦いにあたり異世界から流れ込んできたそれを流用したのがステータスなんだね。

 

 で。俺や精霊知能、はたまた最近のアンジェさんも時々放っているようなカリスマ的な威圧とか影響力なんかは、魂から直接力を引き出して発動しているものなわけ。

 エリスさんのエネルギーブレードもだ。しかも彼女の場合、《念動力》というスキルを呼び水にしているためかより深く強い段階までエネルギーを引き出してブレードを形成している。

 

 それこそ、引き出してはならない部分までだ。

 

「《不老》というバグスキルを得た直接原因も、あのエネルギーブレードでしょうね。引き出してはならないところまで、引き出してはならない量を超えて魂から力を引き出した。結果として78年前の彼女の魂は、マイナスオーバーフローを起こしたと考えられます」

「マイナス……オーバーフロー……?」

「魂の限界さえ超えて力を望んだ。そしてそれに、魂が応えようとした……その果てに、彼女の魂はあってはならない挙動を引き起こしたんです。異なる次元領域とダイレクトに結びついてそこからエネルギーを引き出せるようになって永遠の命、不老不死に到達してしまった」

「……そしてそれを、システム領域がバグフィックスした結果。不死だけは消え去り、不老だけが残ったのですね」

 

 第二次モンスターハザードは、よっぽど彼女にとって退くことのできない激戦だったんだろう。魂を使い尽くして、それでもまだ振るう刃を力を求めるしかなかったほどに。

 それに魂が応じようと、異なる領域にアクセスした結果。消滅寸前だったろう彼女の魂は一気に不老不死へと至ったんだ。

 そして即座に察知したバグフィックス担当精霊知能ヌツェンにより対応され、不老体質となった。

 

 システム領域からしても、不死を消し去るだけで精一杯だったんだろうな。魂がアクセスしたのがあの領域ならば理解できる。

 なぜならばそこは現世領域よりもさらに内側。世界の構造のなかにあってしかし、独立した部分を持つ特殊な領域だからだ。

 

 その名も仮想領域。

 知的生命体や星そのもの、宇宙そのものに宿る精神が自ら生み出した、集合的無意識の領域。

 あらゆる魂に宿る意志、それらが自ずと創り出した──超極小規模の仮想世界。

 そこにエリスさんの魂はアクセスしちゃったんだね。




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