攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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剣の鬼と拳の鬼、そして支援の鬼

 ライトニングファルコンの攻撃方法は概ね、放電による遠距離攻撃とそれを身に纏いつつの突進の二種類だ。

 放たれる紫電自体が相当な威力らしく、探査者雑誌とかで有名探査者の方が以前、コラムでその凶悪さに言及していたのを読んだことがある。

 

 なんだったかな……そもそも稲妻めいて音より速く、避けられない上にプロテクターや防具などをすべて貫通して肉体を直に焼いてくるとか。

 一応、A級レベルにまで登り詰めた探査者だとそれ一発で沈むなんてことはないようだけれど、それでも連続して受けたり長時間喰らい続けたりすると危うい程度には破壊力を持つ雷なんだとか。

 

「クォウワァァォァァァッ!! クォエエエエエエッ!!」

「っ……!! 避けようもないわねさすがに、適当にぶっ放してるだけの雷撃なんて!」

「しかし葵のサンダーバリアが受け持ってくれているぞ! 多少の被弾も覚悟していたがこれは良いなッ!!」

「…………クォォォウェェェッ!?」

「はっはっはー! でもそのバリアは一分間だけしか保ちませんのでご注意を! そして張り直しも、今の私にはクールタイムが長すぎて難しいです!!」

 

 今回も当然、その紫電を用いて駆け抜けて近づいてくる敵二人、アンジェさんとランレイさんへと浴びせかけるライトニングファルコン。

 細かい狙いはつけられないようで、方向こそ彼女らのほうだが大雑把な面単位の攻撃だ。

 

 しかしそれも、葵さんが先だって展開したサンダーバリア・フィールドによって阻まれることとなる。

 二人の周囲に迸るプラズマのドーム。それが稲妻を弾き返し、受け流し、吹き飛ばしてその身を守り抜いたのだ。

 

 これか、サンダーバリアとは……想像よりも強度があるバリアフィールドだな。このレベルの雷撃を簡単に防ぐなら、A級モンスターの大概の攻撃だって凌ぎきれるだろう。

 つまり防御支援として花丸満点ってことだ。さすがに持続性はないようで葵さんが注意喚起している。

 

 一分間だけ。そして張り直しはクールタイムの都合上、一回の戦闘中に行うのは難しい。なるほど、そのへんはサンダーウェーブ・フィールドと同じか。

 ここまでのバリアならそれも仕方ないだろう、破格の性能だからね。味方それぞれに事実上の《防御結界》を張るような技、一分も保たせられるのはすごいことだよ。

 やはりこうした使い方にこそ適性があるんだな、あの人は!

 

「上等に過ぎるわ……葵! ここまでしてもらって文句言ってちゃ、私らこそアンタと組む資格がないのよね! 《重力操作》ッ!!」

「左様っ!! そして得たこの好機、接敵して攻撃する機会は逃さん!! 《闇魔導》ッ!!」

「クォウワァッ!!」

 

 アンジェさん、ランレイさんの踏み込み。葵さんへと感謝しつつ雷電の雨霰を突き抜けて敵の懐へと潜れば、それぞれにスキルを発動する。

 《重力操作》を発動したアンジェさんの、抜き放った刀が黒く染まっていく。超重力を纏うその刃の、威力は折り紙付きだ。

 

 それと同時に《闇魔導》で分身を創り出したランレイさんもまた、星界拳の体勢に移行する。

 防御面を完全に葵さんのバリアに委ね、攻撃に全振りしての超先鋭的なスタイル……そして後詰めの葵さんもまた、さらなる支援を行っていく。

 今度は直接攻撃による陽動、意識逸らしだ。大技を放たんとする二人から敵の目を外すためのサポートである。

 

「雷槍技! サンダーアローシューティング!! 受けなさい、雷撃の矢の雨嵐!!」

「グォウッウェェ!! クォオアアアッ!!」

「意識を一瞬だけでもこちらに向ければ十分……! はっはっはー! あとはよろしく、お願いしまーす!」

「任されたわ!! 《剣術》!」

「承知!! 星界拳を受けよ!!」

 

 フーロイータの先端から放つ雷撃砲。威力的には低いが連射、速射できるらしいその技は完全に陽動というか、チクチクと小刻みに刺激して敵を鬱陶しがらせるためのまさに牽制技か。

 そしてその効果は大きく、ライトニングファルコンも意識を葵さんに向けざるを得ない一瞬があった。わずか数秒足らずだが、今この瞬間においてはあまりに致命的な隙だろう。

 

 その間隙を当たり前のように、刀と脚が狙い撃つ。

 A級トップランカー二人、それぞれに放つ大技がクリーンヒットするにあまりあるだけの、がら空きの胴体めがけて!

 

「竜断刀GRAVITY──ゲオルグッ!!」

「双魔ァッ!! 星ィィィ界! 天狼脚ゥゥゥゥッ!!」

「クォワア──!? クォウェェェエエエエッ!!」

 

 超重力による威力増大を受けた超斬撃。そして影法師と二体一対と化した斬撃脚の乱舞。

 どちらも一撃必殺級、食らった時点で勝負が決する威力だ……そんなのを二つまとめてモロに受けたんだ。ライトニングファルコンも断末魔の叫びをあげて沈んでいくしかない。

 

 紫電が収まっていく。翼が折れ、その身を裂かれバラバラになったモンスターが、光の粒子となっていく。

 その下で華麗に着地した能力者犯罪捜査官のお二人は、油断なく構えつつもしかし……貫禄ある立ち姿を見せ、堂々勝利を掴むのだった。




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