攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
数年後にはソフィアさんやヴァールともども、愉快なご近所さんになるらしいエリスさんの動向に思いを馳せつつ。
気づけばこの探査も終盤だ、あといくらか部屋を抜ければ最奥に至る程度には順調に踏破できていた。
時刻としては昼過ぎくらいか、まあこんなもんかな。もっと早く進もうと思えば進めたけれど、例によっていろんな組み合わせでいろんなコンビネーションを試しつつの探査だったから仕方ないね。
なんなら、合間合間に雑談も軽くしてたから余計にだ。まあでも、こうしたコミュニケーションも探査者同士の結束を強くするものだから、必要なことには違いなかったりするんだけれども。
「とはいえせっかくですし、今回は昼食のことも考えて探査終わらせたいのでちょっと調整しますかね……《目に見えないけど、たしかにそこにあるもの》」
「ごげ? ごげげ────」
「むぅん──」
「グルルル……グル────」
次に見えてきた部屋内、荒くれタートルだのマスクスパイダーだの、ワイバーンだのがそこそこいて賑わいのあるモンスターのラインナップめがけて俺は即座にスキルを行使した。
《目に見えないけど、たしかにそこにあるもの》。モンスター相手に確定で浄化判定を下し輪廻に返す、範囲攻撃である。
破壊力とか殺傷力などの物理的なものとはやや異なる、概念そのものへの強制介入の青い炎が部屋全体を優しく燃やしていく。モンスター以外には何ら効果がないものの、モンスターに対してはある種、問答無用な威力を誇るのがこのスキルだ。
だもんで部屋内の怪物達が軒並み、痛みに悶えることなく安らかな顔つきで燃やされ、光の粒子とともに輪廻へと受け入れられていくのが見えた。
数秒後には部屋のなかは空っぽ。モンスターなんて最初からいませんでしたよと言わんばかりの静けさを取り戻している。はっきり言って瞬殺だ……他に仲間がいる時にそうそうやることじゃないんだけどね。
もう終盤だし昼だし、どうせならお昼過ぎということで探査帰りのみなさんでランチでも食べたい気もしたのでちょっとだけ時短させてもらったよ。
「よし、じゃあ行きましょうか」
「相変わらずアンタ、その気になったら戦うことすらしないまま何もかも終わらせちゃえるのねえ……モンスターも倒されたって感覚、なさ気な感じだったし」
「う、うん……まるで解放されるみたいな、安らかで幸せそうだった。き、救世主って……感じ、しました」
「そうでしょうそうでしょうこれこそが我らが偉大にして至尊なりし救世主山形公平様なのですあまねくモンスター達に優しく手を差し伸べその魂に救済をもたらす姿はまさしく救世主それは先ほどの光景を見ていれば誰もが確信すること間違いありません実を言うと私が運営している救世の光動画チャンネルにおいて救世主様の御活躍動画をいつも配信しているのですがそれを見て真実の信仰に目覚めたという信者達も多いのですよ数々の奇跡のあまりの尊さ美しさ優しさ健気さに心奪われ御方の他の御姿にも触れそして芽生えた信仰の種を芽吹かせ大きなものへと育んでいくこれが帰依定番ルートなわけですねちなみに救世主様の教えを私が弾き語る動画や救世主様が過去に私達に授けてくださった教えや御発言の意図を考察し議論する動画や使徒達とのコラボ配信なども豊富に取り揃えておりますのでみなさんもよろしければぜひこの機会にチャンネル登録をしともに喜びと幸福と安心と信頼に満ちた信仰ライフを過ごしましょう!!」
「怖ぁ……」
「急にスイッチ入れてんじゃないわよ!!」
俺の瞬殺劇を見て、なんの気なしに反応しただけのアンジェさんとランレイさん。なのにそこに突然無慈悲な伝道が挟まって句読点がどっか行っちゃうんだ、怖くない?
相変わらずの怒涛の勢いでまくし立てる姿はまさしく狂信者。信仰キメすぎなんですこの伝道師、見てよアンジェさんがドン引きしながらどうにかツッコミ入れている。
俺なんかはいい加減慣れていて、エリスさんや葵さんも適応力が高いからハッハッハーキメてるねーはっはっはーキメてますねーでスルー気味なんだけども。
未だこういうのに慣れてはいない──そもそも慣れるべきかという疑問はこの際置いておきたい──アンジェさんとランレイさんはそりゃこういう反応にもなるよね。
「ふふ、アンジェリーナもランレイさんもそう言いながらそろそろ興味が出てきたでしょう? めくるめく信仰の日々に」
「むしろ何がどうしたらあの香苗がこの香苗になるんだかってとこに興味抱きそうよ。ああいい話さなくていい、どうせ最終的にはまたカルト話につなげるんでしょうし」
「はっはっはー! アンジェさんはこのモードの香苗さんにも躊躇なく反論しますねー。さしもの葵さんもそこまでの対応はできませんよ」
「ったりまえよ、こんなでも幼馴染よ? こないだまで疎遠だったけど昔は親しかったし今も多少その頃に戻ってきてる実感があるなら、遠慮なく思ったことくらい言うわよ。まあ、別に当人の思想信条にまで口出す気はないけどね」
「ハッハッハー。アンジェさんのそういうところ、昔のマリーに似てるねー」
特にアンジェさんは香苗さんと、元々幼馴染だったこともあり遠慮なく言い合う気満々だ。
信仰自体はともかく、それに付随して伝道行為をはたらく点についてはまあ……うん、多少突っ込まれても仕方ないからね。当然だよね。
俺としても、それはきっと香苗さんにとって良いことだろうなーって思うよ。スイッチ入った香苗さんに昔馴染の立場から真っ向ツッコミ入れられるのってこの人だけだし。
句読点飛ばしがちな伝道師さんの暴走を冷静にぶった斬れる人が一人くらいいると頼もしいからねー。
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第二部・第二次モンスターハザード後編─犯した罪に、等しき罰を─
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