攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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家でゲームしてるだけで勝手に強くなっていく星界拳の怪異

 トコトコ歩いてたどり着きました、ちょっと遠いけど回転寿司屋さん。早速入って席に着くけど、テーブル席が空いてて良かった。

 レーンが延々運ぶ寿司皿は、やっぱり見てるとテンション上がるよなあ。テーマパークさながらだ、お腹がいよいよ空いてきたよ。

 

「わお! これが噂の回転寿司屋ね! マジでお寿司が回ってるのね、すっごーい!!」

「えへ、えへへ……! しゃ、写真撮っちゃお。に、兄ちゃんに送りつけてマウント取ろ。い、いまお友達と回転寿司屋さんでーす、ウェーイ……」

「えぇ……?」

 

 ここに来たがっていたアンジェさんとランレイさんが、当然のことながらめちゃくちゃはしゃいでいるんだけれど……

 ストレートに来日された海外の方っぽいリアクションをしているアンジェさんはともかくなんということでしょう、ランレイさんはおもむろに兄のハオランさんにマウントを取ろうとスマホを持ち出しているよ。

 

 俺なんて比べ物にならないレベルのガチ陰キャ、でも配信者としては世界規模なあの人相手になんたる残酷な仕打ち!

 でも正直、リンちゃんも同じような場面だと似たようなことするのが容易に想像つくのでこれもシェン兄妹の血かなーって思いもあったり。

 なんならハオランさんも、メッセージアプリでやりとりしてるなかで割と妹達のこと破茶滅茶な物言いしてたりするもんね。

 

 

『ランレイ、ゲテモノ好きの変態。フェイリン、ファッションだけ都会かぶれの田舎っ娘。正直、俺にとやかく言える立場じゃないから。とやかく言える立場じゃないから』

『二回言った!?』

『ていうか外とかよく出歩ける、そこからしてもう無理。ネット配信すら辛いのに。いやアンチがどうとかじゃなく、そもそも部屋の外とつながりたくない。金貯まったら引退する、これマジで。シェンの里のシェンの家のシェンの部屋サイコー。一生ここで食って寝てたまに軽く星界拳だけやってたい。俺、もうそれで完成されてる』

『怖ぁ……』

『あ、でも公平くんとの話は楽しい。今度俺の部屋おいで、一緒にゲームしよ』

 

 

 などと。ちょっと遊びに来なよくらいのノリでゆるく誘ってくれてるけど中国奥地の秘境の村じゃねーか、そんな簡単に行けるわけないだろ!

 と、ツッコミ待ちかと思うくらい破天荒な物言いなんだけどこれガチで真剣に言ってるっぽいからもはや、一周回って尊敬してきてるよ、陰キャとして。

 

 席について、さっそく皿をいくつか見繕いつつそんなことを話す。わーマグロ、山形くんマグロ大好き! あ、はまちー。

 同じくいくつも皿を手に取りながらもランレイさんはじめ、みなさん揃ってそんなハオランさんにドン引きしつつも苦笑いを浮かべているよ。

 

「す、すごいですねハオラン氏は……私も一応配信者として彼のネット上での活動はいくつか知っていますが、まるで裏表なく似たようなことを自分の動画やコラボ動画などで言っては、逆に人気を得ているようですね」

「ハッハッハー、ハオハオって名前のトップストリーマーだねー。エリスさんFPSとか興味ないけどさ、それでも名前くらいは聞いたことあるよ」

「聞く限り想像を斜め上に絶する陰キャって感じだけど、それでも星界拳の腕前はとんでもないらしいわね。部屋から一歩も出ずに鍛えられるものなのかしら? それか、話半分で実際は外出してるとか?」

「う、うう身内の恥だよう……ちなみに外出は本当にし、してないよアンジェちゃん。あの人、本当に動きすべてが星界拳そのものみたいなものだから、い、息してるだけでも鍛錬になるとかって意味分からないこと言ってるの。そ、それで実際会うたび強くなってるっぽいから、お、おかしいんだよ身体も頭も心も」

「むごい」

 

 ボロカスである。身内にしたって言い過ぎな気もするけど、ハオランさんもハオランさんで大概な気もするからこの際、困るよ。

 息してるだけでも鍛錬になる、はもはや何らかの怪異でしょ。もしくは仙人とか何らかの境地に辿り着いてる人とか。

 

 いずれにせよリンちゃんにしろランレイさんにしろ相当な武術家なのは言うまでもないんだけど、その二人をして理解不能と言わせるだけのことはある。

 その上、映画スターもかくやというイケメンで配信者としても世界レベルというチート系主人公属性モリモリなのがハオランさんなんだけどなあ……それにも増してあまりに突き抜けた陰キャ属性一点だけで他のすべてを置き去りにしてるのが逆にすごいよ。

 

「ハッハッハー。まあまあ、兄妹仲がなんだかんだ良いならそれが一番だよ。エリスさんはまずは玉子から攻めようかなー。あとお吸い物も」

「はっはっはー! 葵さんはこういう時まずは光り物からですねー。こはだこはだ!」

「光り物? なんだかいろいろあるのね、私はまあ、サーモン好きだからそれにするけど」

「子供の頃、家に遊びに来てた時もお寿司が出ればサーモンをまず食べてましたねアンジェリーナは。私も同じものにしましょう」

「も、モンスター食愛好家に向けたメニューとかないかな……ないよね……えへへ……」

 

 なんやかんや騒ぎつつ、それぞれ好きなネタからレーンの寿司皿を取っていく。

 モンスター食愛好家らしいランレイさんはなんか微妙にブツブツ言ってるけど、さすがにそういうのはそれ専門のお店に行ってもらったほうが良いなあ。

 

 ともあれ実食だ。探査終わりでおなかペコペコ、しかもゴージャスに回転寿司屋さんときた。

 せっかくだし食べるぞー!




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