攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ああっ遠野さんが期末テストで全教科赤点取っちゃいそうな顔をしている!

 ────そして、期末テストが始まった。

 

 なーんて言っちゃうといかにもシリアスな雰囲気なんだが、いや学生さんからすれば当然シリアスであるべき事態なんだけども。

 そこはさすがの呑気な俺ちゃん山形公平くんは、割とぬぼーっとテスト初日も学校に来て、ぬぼーっとテストこなして。

 んでもってぬぼーっと昼で下校時間を迎えて友達と下校していたのである。

 

 モールを歩く俺達。前を行くのが松田くんに木下さんに片岡くん。

 そしてその少し後ろに俺や梨沙さん、遠野さんがついていっている。

 

「やべぇわ今回の生物予想より全然むずかった……木下、どうよ」

「私に聞く? 当然わかんなかったんですけど?」

「だよなー。え、ちなみに片岡は?」

「俺はまあ、それなりに。でも難しかったのはたしかだわ、あれは。センセー気合入れすぎたんじゃないか、あれ?」

 

 最寄りのショッピングモールに、実に半月ほどぶりに友人達と訪れている。

 いやテスト勉強は? という話かもしれないが、もうテスト期間なんだし腹を括ってむしろ遊ぼう! 派なのがこのグループだ。ちゃらんぽらんと言ってもいいかもしれない。

 

 ただ、それでも話題は基本、テストのことばかりだ。今だって松田くんと木下さん、片岡くんが今日行った生物のテストについて語らってるからね。

 曰く難しかったと。うん、俺もそう思った今回大分ひっかけと記述多かったなーって。なんだろう、出題者たる先生の"無事に冬休みを迎えさせるなんてことはさせん!! "みたいな気迫をも感じたよ。

 

「反面、世界史と英語はそうでもなかった気がする。佐山や山形はどうだった? 生物も含めてだけど」

「んー? んー、まあ私はいつも通りにやったけど手応えはあったよ? 公平くんはどうだった?」

「えっ。あ、あーまあ、俺はどれもそれなりにそこそこ。一応普段からの予習復習は活きてたかなってくらい」

「だよね! 公平くん、探査者の仕事の合間にも頑張ってたんだもん。絶対良い点数だと思うよ!」

 

 他にも本日テスト初日には、世界史と英語のテストも行われた。まあどちらも気合入った生物に比べるといつもどおりくらいかな? という印象で、俺としては無難にこなせたかなって感じだ。

 まあ、そもそもコマンドプロンプトとしての演算能力に記憶力もあれば、それを十全に活かして予習復習も割としっかりやってるもの。これで赤点になったらいい笑いものだ、システム領域でも噂になっちゃうよ怖ぁ……

 

 隣を歩く梨沙さんは、そもそも学年トップの成績だもんでまったく問題ないとばかりに余裕のギャルギャルしさを発揮している。

 冬場だから学生服の上に、モコモコした感じのジャンパーを着こなしていてなんだか綺麗というより可愛らしい。マフラーも着けてるけど、反面スカートや素足は夏場と変わらずなので寒くないか心配になる。

 

 まあこれは女学生さん全般に言えることなんだけどね……木下さんや遠野さんもそうだし。

 そうそう、それで遠野さんだよ。梨沙さんの隣を静かに歩く彼女が、不自然なまでに静かなのがさっきから俺には気にかかっていたりするのだ。

 

「…………遠野さん?」

「ほげー」

「遠野さん? だ、大丈夫? テスト、どうだった?」

「おなかペコペコ、私わかんない。あ、フードコートだぁ全店制覇しちゃお」

「怖ぁ……」

 

 魂が抜けた、という表現がよく合うかもしれない。あるいは虚無顔ってこういうのかな?

 とにかくぽけーっとしてほげーってなってる遠野さんに、立ち止まり俺達みんなで苦笑いだ。

 

 遠野さん、テストの調子芳しくなかったんだな。まあ言っても彼女だってこの半月、外食での一人フードファイトは控えて勉強してきたんだから、そう悪い点でもないと思うけどさ。

 でも現実逃避みたいにふわふわした口調でフードコート制覇とか言い出さないでほしい、胃袋と食欲のスケールが違いすぎるよ。

 

 

『うんうん、これだよこれ。半月ぶりの遠野真知子はいいねえ、やはり驚くべき食欲の権化だ! 彼女を見ていると僕も負けていられないって気分になるから不思議だよね、というわけでさあ行け公平、君も負けじとフードコート全店制覇チャレンジだ!!』

 

 

 誰がするか馬鹿野郎、勝手な負けん気を出すな食うのは結局俺なんだぞ!!

 と、案の定騒ぎ出した脳内の馬鹿にツッコミを入れる。分かってたけどこいつ遠野さん大好きすぎる……いや厳密には遠野さんの食欲大好きすぎる。

 

 たしかに彼女の豪快な食べっぷりは見ていてお腹空いてくるから、実のところ俺もそう嫌いでもないんだけどね?

 でもそれ以上に健康とか心配になるから、そこはもうちょい我が身を顧みてみても良いんじゃないかと思う俺ちゃんだ。

 

「遠野……まあ、半月ぶりだしな。昼時だしまず食事からか」

「だね。でも真知子、食べて飲んでも現実は消化できないよ」

「無慈悲な正論止めてよ! いいもん、とにかく食べちゃうもん!!」

「あっ、本気で全力で空気だこいつ……久しぶりの外食解禁らしいもんな、でもやべえわやっぱ」

 

 片岡くんやら木下さんやら、松田くんだって現実逃避さながらに食に没頭する気満々な彼女に恐れ慄いている。

 テスト初日から波乱万丈な気はしなくもないけれど……かくして久し振りに俺達クラスメイトは、何もない放課後の時間を楽しむのだった。




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