攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
途中まで梨沙さんと一緒に向かい、店の前で別れてそれぞれラーメン屋さんとおうどん屋さんで料理を受け取る。
呼び出し制は受け取りがスムーズだから良いよね、美味しそうなラーメンとたこ焼きが置かれたプレートをいただくよ。トッピングに胡椒をパッパッとかけて、お箸とレンゲとお手拭きを取ったらいざ、戻らん。
言うまでもなく遠野さんほどではないにしろ、俺ちゃんも割と食べるほうでかつ、お腹も空いてるんで正直辛抱堪らん。
やっぱり受け取った人からすぐに食べて良いよという流れになっていて良かった、目の前にこんな美味しそうな食事があるのにおあずけってのは我慢はするもののお辛かったろうしね。
「あ、梨沙さん。やっぱりすぐ受け取れるのって良いよね」
「だね。私も結構お腹空いちゃってるし、席に戻ったらもう食べちゃおっか。言ってみんなもすぐに出来上がるだろうし」
「そうしよう。慣れないテストの後だからもうお腹ペコペコ」
俺と同じタイミングで店に向かったんだから、当然梨沙さんとも帰りは同じだ。見ればトレイに乗った丼には、温かそうなうどんが大盛りっぽく入っている。
いいよね、おうどんも……というか冬場の定番ですらある。俺も一瞬迷ったもの、うどんにすべきかどうかって。
まあ、今回はこってりしたもの食べたかったからラーメンをチョイスしたけれど、今度来る時はうどんにしようかなー。
トッピングのおにぎりも地味にありがたいんだぁ、とひとりしみじみ考えつつも梨沙さんと一緒に席に戻る。ちょうど座る時、松田くんと木下さんの呼び出し機が鳴ったりしたよ。ちょうどだね。
「おかえりー。ってことで俺らも鳴ったし行ってくるわ。山形と佐山は先食っといてくれよな、待つのも冷めちまうし腹減ってるだろ」
「私らも戻ってきたらすぐ食べるからね。じゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃいー。それじゃあいただこうか、梨沙さん」
「うん。片岡くんに真知子、お先にもらうね」
やはり先に食べて良いとのことなので、ありがたくその意を汲んでいただくことにする。片岡くんと遠野さんも特に異論ないので気兼ねしなくてよかった。
さぁて実食、実食、いただきます。まずはメインのラーメンからだ。まずはレンゲでスープをすくい、ズズズとひとくち啜ってみるよ。
口にした瞬間、濃厚な味わいがまずは広がる。醤油の風味が強いけど、すぐに別の、豚骨っぽい味わいが舌の上で紐解かれていく。
濃厚なコク。塩もそれなりでさっき自分でかけた胡椒がスパイスになっているんだけど、それがまた良いアクセントになってるね。
お次は麺だ。細麺で縮れてない感じのそれを箸でいくらかつまみあげれば、湯気とともに食欲を唆って止まない小麦の輝きが目にまぶしい。
さっそくいただきましょうかね。
『んん……! 固くなく、柔らかすぎない弾力とコシが絶妙な歯ごたえを出している。スープにもよく合う塩梅だね、一緒に口に含んだ時の味わいがほとんど暴力的ですらある! 噛めば噛むほど麺にスープが染み込むような、スープを麺が引き立てるような感触!! 誰が言ったかこれこそマリアージュ、運命的な邂逅とも言えるだろう!!』
脳内でなんか盛り上がってる、怖ぁ……誰が言ったよマリアージュなんて。気持ちは分かるけど。
表現とテンションはともかく言いたいこと自体はうなずけるよ、とにかく美味しい。スープに合うよう創意工夫を経て作られた麺なんだろう、これがまた抜群に味の相性が良いんだな。
具材として麺の上に鎮座していたチャーシュー、メンマ、ゆで卵もそれぞれ食べるよ。チャーシューの固さはちょっと俺的には、もうちょい柔らかいほうが好みだけどこれはこれでもちろん美味しい。
メンマ、ゆで卵なんてのはもはやド定番だ、何がなくとも入れとけば満足感が地味にあるやつで、コリコリした食感のメンマはスープとの相性も良くゆで卵も白身のプリプリ感と黄身のパサパサ感が別個にそれぞれ、麺との組み合わせで興味深い食感になっている。
総じて美味い。ラーメンって本当に美味いよね。
付け合わせに選んだたこ焼きも箸休めながら頬張るよ、こちらも鰹節とソース、青海苔に紅生姜の味付けで熱々でトロトロで最高だ。探査者じゃなかったら口のなかやけどしてたと思うけど今なら平気へっちゃらだ、そこも嬉しい。
「んー、おうどん美味しい……」
「二人とも美味しそうに食うなあ。さすがに見てたら腹減ってきた、俺も」
「まだかな、まだかな……待ちきれないよ、すぐ食べたいよう……」
「えぇ……?」
梨沙さんもうどんを食べ、だし汁を飲んでホッコリ温かそうにしている。味も良さそうだし、本当に今度来た時にはうどんを頼みたくなってきた。
そしてそんな俺達を眺める片岡くんと遠野さん。どちらも目の前で食べる姿を見るわけで、釣られて空腹に加速がかかってるみたいだ。
特に遠野さん、なんかもう怖いよ! ってなるくらい待ちきれなくなってますねこれ怖ぁ……
言ってるうちに二人の呼び出し機も震えて鳴り始めた。慌てて飛び出そうとする彼女を片岡くんが苦笑いとともに宥めて止めつつ歩き出すのを見送るよ。
焦って帰りにコケて、トレイひっくり返したりしないようにねー。
さすがにそんなことでまた世界止めるのやだかんね、俺もー。
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