攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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二人だけの世界が3組……けっ!

 ラーメンにたこ焼きに舌鼓を打って美味しくいただいていると、程なくして松田くんと木下さんが戻ってきた。

 手にしたトレイにはそれぞれ松田くんがバーガーセット、木下さんがちゃんぽんを載っけている。どっちも美味しそう。

 

 そして俺と梨沙さんの対面の席に座り、待ちきれないとばかりにさっそくいただきますして食べ始めた。

 片岡くんはともかく遠野さんを待ってたら多分冷めるな……という感覚は共通認識なんだねやっぱり。あんだけ呼び出し機持ってたらね、仕方ないね。

 

「毎度思うけど遠野、金持ちだよなー。家が太いってのもあるんだろうけど、にしても小遣いがよく保つわなっと。んー、今回の期間限定バーガーは当たりだな!」

「家族みんなたくさん食べるらしいから、そのへん理解あるんでしょ。んー久し振りにちゃんぽんとか食べるけど、ラーメンよりこっちのが個人的には好みね」

「あと、食事以外のところで結構節約してるっぽいしね真知子って。お小遣いがそもそも私達より多いのもあるけど、細かく調節しながらぜんぶ食べることに割り振ってるっぽいよ」

「あー、物持ち良いとかって前に言ってたの覚えてるよ。大体のものは軒並み小学生の頃から使ってるって」

 

 それぞれ自分の注文した料理に満足しつつも、やはり話題になるのは半月ぶりの外食でのフルスロットルな遠野さんだ。

 前からの話だけどエンゲル係数が極端に高い。普通フードコート全店制覇なんて、胃袋的な問題以前に金銭的にとてもやろうとは思わないからね。

 

 彼女の御実家がいわゆる富裕層っぽいのが幸いしてるのはもちろんなんだけど、加えて道理ながら遠野さん自身の日頃の節約も功を奏しているみたいだね。

 そう、彼女は意外と食以外のところだと節約家だ。文房具はじめ身の回りの小物類、雑貨類は消耗品を除きほとんどが、小学生の頃からのものらしいくらいには物持ちが良い。

 

 加えて家事関係もよくこなせるようで、穴の空いた服や靴下なんかは自分で手縫いして補修してるとかって話も聞く。

 それらの普段からのこまめな節約によって、彼女は少しでも食事以外に使うお金を減らしているわけだ。

 

「……まあ、そこまでして浮かせた金ぜんぶ飯に突っ込んでるのがなんていうか、すげえよなあ」

「ほんと、あそこまでよく食べる子なんて生まれて初めて見たもの。性格とかもあって見てるだけで元気をもらえるから、なんだかんだでそういうところも好きなんだけどね」

「分かる。良い意味で大らかで明るいもんね」

「いるだけで雰囲気が明るくなるの、遠野さんならではだよねー」

 

 ぶっちゃけ、食事にかける情熱だけはずっとドン引きし続けているところのある俺達だけれど。誤解しないでほしいのは別にそれが悪いことではないとも思っているところだ。

 なんなら、遠野真知子という素敵な友達の個性だろう。天真爛漫で明るく、大らかで……そして度を完全に超えてるレベルの大食いさん。

 友人という関係性もあって、そこは全然短所にはなり得ないのだ。まあ、あんまり暴走してるとそこは止めるけども。

 

 遠野さん自身、アレでも普段は自制してるからね。

 今回は半月ぶりの友人との外食、しかもテスト勉強からは半ば解放されるとのことでテンションが上がっちゃったがゆえのことだろうし、そこは俺達も一緒なので気持ちも分かるし。

 ま、素晴らしい友人の食欲に乾杯ってとこかなーとみんなして苦笑いしてると、噂をすればってやつで本人が帰ってきた。片岡くんも一緒だ、どちらもトレイを持ってるね。

 

「お待たせー! とりあえずバーガーセット持ってきた!」

「お、おかえり。でもまだあるんだろ、いくつか」

「うん! 戻ってくる途中でうどんとちゃんぽんができたって! ちょっと取ってくるね!」

「ああ、もののついでだし手伝ってくる。遠野一人だとほら、手間がかかるだろ」

「そう? 行ってらっしゃい、気をつけてー」

 

 松田くんのと同じ、季節限定バーガーセットを買ったようでそれをテーブルに置いたまま、座らず再出撃する遠野さん。

 案の定ながら別の店の呼び出し機が反応したらしい。それと2店同時のため、片岡くんが気を利かせて手分けして受け取るみたいだ。うーんナイスガイ。

 

 俺や松田くんも手伝いに行くべきかと一瞬悩みはしたものの、さすがに食いかけで中座するのもなんだかなーって話だし今回はやめておく。

 そうでなくとも片岡くんがいるんだ、これもある意味二人の世界ってやつだろう。邪魔するのもなんだしね。

 

「食事とは別の意味で胸焼けするかもなあ。山形に佐山も気をつけろよ? お前らも見てて胸焼けする時あるからな」

「そーよそーよ、独り身二人を気遣いなさいなって」

「松田くんと木下さんには言われたくないかな」

「だね……ってか自覚ないんだこの二人……」

 

 遠ざかっていく男女の背を見つつ、松田くんと木下さんが息ぴったりにニヤニヤ笑いながら俺達二人に言ってくるけど、それこそこちらの台詞だ。

 山形くん知ってるよ、なんやかや一番お互い意識してるのこの二人だって。なんなら梨沙さんも遠野さんも片岡くんも、二人の姿を見て砂糖吐きそうなくらいだもの。

 

 これも青春かあ。

 まるで自覚のないお二人さんに、梨沙さんと顔を見合わせて肩をすくめる俺ちゃんでした。




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