攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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そしておもむろに始まるワームホール品評会

 ミュトスの家に集いしインターフェイサーのメンバー全員、そして付随してイヴさんの保護者的な織田。

 客観的に見るとなかなかにカオスな組み合わせだ……コマンドプロンプトに精霊知能達に最高神に戦乙女。これで今からやることが戦闘訓練ってのも、なんだか変な感じはあるな。

 

 まあ、元から予定していたことだしみんなやる気だし今さらだけどね。とにかく現地に向かおうか。

 これより行くのはシステム領域と概念領域や現世領域の狭間にある膨大な層のデータ領域。この世界のありとあらゆる物事にまつわるデータが保管されている場所の、一区画を譲り受けてインターフェイサー用に拵えた特性の訓練場だ。

 

「データ領域とはこれまた、興味を唆る話です。概念領域よりもなお上層にあるというその場所に、至る概念存在は私とレギンレイヴが史上初と言えるでしょう」

「あー、まあ始原概念を除けばそうなるのかな? とはいえデータ領域のなかに創った俺達用の空間ってだけだぞ、その外側を覗くのはオススメしない。シンプルに混沌かつ情報量が膨大すぎて、概念存在であっても悪影響を受けかねないからな」

「クククク! 最高神たる私をしてそれとはなるほど、これから向かう場所はよほどなのでしょうね。そこまで含めてやはり、興奮を禁じ得ません」

「知的好奇心の塊だぜェ」

 

 分かりきっていたことだけど、完全にイヴさんを出汁にしてデータ領域を見学しに来てる織田に釘を差しておく。

 別段データ領域を覗くこと、それそのものにさしたる支障はこちらにはないんだけどね。言ったとおりで情報の混沌そのものを膨大に叩きつけられることになるから、よっぽどの強度の魂でない限り変な影響を受けないとも限らないのだ。

 

 そうだな……織田、というかオーディンのような最高神クラスでも心の健康に良くないよってくらいで、仮にイヴさんが覗いたりしたら下手すると精神的な性質からして歪みかねない。

 本来この領域にまでアクセスし得るのは始原概念や創造神クラスだからね。特に始原概念はデータ領域よりさらに上層にある、システム領域に一番近い領域に住んでいるからほぼ庭みたいなもんだろう。

 

 今やアメさんにメロつきまくって犬猫鳥に幼女の姿まで取り出している、お調子者四体のことを思う。

 あいつら戦闘力は皆無だしあんなノリだけれど、魂だけはマジで精霊知能クラスだからね。存在そのものの確実性とか強さ、固さで言えばそんじょそこらの概念存在なんて比較にもならないのだ。マジで戦闘力は皆無だけれど。

 

「さてさて! そんじゃ開くぜワームホールをよォ! シャーリヒッタ様の空間転移だ、とくと見やがれオラァ!!」

「そこまで気合を込めるような話でもなかろう……しかし出来はさすがだな。コマンドプロンプトには及ばずとも後釜にも劣らぬ精密さだ。ワタシでもなかなかこうはいくまい」

「リーベちゃんは生成速度や出入りする際の快適さを重視してますけどー、シャーリヒッタは転移座標の精密さに重きを置いてるんですねー。このへん、やっぱり個体差はありますねー」

 

 今回、ワームホールを開いてくれたのはシャーリヒッタだ。インターフェイサーの隊長としてやる気満々なあの子が、今日は率先していろいろ仕切ってくれるみたいだ。

 ミュトス家のリビングに、即座に現れるワームホール。ヴァールやリーベが評するように、転移先の座標の精密さにかけては相当なクオリティであることが見て取れるものだ。

 

 まあシステム側存在としての感覚によるものだから、イヴさんや織田、それに精霊知能になりたての神奈川さんやミュトスにはもしかしたら掴みにくい感覚だろう。

 特にイヴさんはそんなにワームホールに馴染みがないもんで、何やら空間転移品評会が開けそうな精霊知能達のノリに困惑しているのが見えるよ。

 

「うーむ……空間転移ってそんなにやる人によって変わるもんなんだな。山形さんの空間転移が桁違いってのは前から知ってたし、こないだはリーベさんのワームホールのクオリティにも驚かされたが」

『そうだね、案外変わるよ私の千尋。私が創るワームホールも、他の方のと比べていろいろ違いがあるから興味があれば感じ取ってみてね』

「ワームホール。空間転移の権能は神でも悪魔でも多種多様にありますが……ここまで当たり前のように簡単に行使するモノはなかなか見かけません。お師匠様、精霊知能とはこれが当然な存在なのですか?」

「お師匠様は止めてもらえませんかね……あー、まあ権能としてはもちろん標準的ですね。ここにいるリーベやシャーリヒッタ、ヴァールについてはそれらをステータスの形で落とし込まれているので、若干扱いが違いますが」

「ほう……? 詳しく聞きたいところですね、山形公平」

「ああ、まあ後でね。とりあえずはワームホールを潜ろうか」

 

 北欧神話側のお二人、イヴさんに織田も何やら興味津々だけど実際、精霊知能にとって空間転移ってのはステータス以前に権能としての標準装備だ。

 コマンドプロンプトを介しての因果操作技術に内包されていると言うべきかな……それを現世で扱うにあたってスキル、ステータスの形で獲得したのが今ここにいる精霊知能三姉妹やミュトス、神奈川さんにステラだったりする。

 

 権能とスキルで一緒やろ、という織田の疑問ももっともなんだけど、実は仕様の上でスキルにしたほうが空間転移だけに限って見れば効率が良いのだ。何しろスキルとはある意味、パッケージングされた権能と言えるものだからね。

 そうだな。そのへんをのちほど、詳しく説明しようか。シャーリヒッタの創ったワームホールへと歩きがてら、俺は織田とイヴさんへと視線をやるのだった。




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