攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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山形くん流・未来予知の破り方

「エクスターミネートォッ!!」

「ギルティチェイン! さあ、行けいっ!!」

「どちらも今度はフルパワーで来るか!」

 

 小手調べ程度の鉄鎖乱舞を力任せに突破して、加勢に入ったエレメンタルスライサーまでをも容赦なく蹴散らした。

 これらをもってシャーリヒッタもヴァールもさすがに、思考を切り替えたみたいだね。

 

 すなわち、フルパワーでの猛攻連打だ。力を試したいのは向こうとて同じだろうけど、さすがに出力が違いすぎる以上はそんな余裕なんてないからね。

 いつもモンスター相手とかにやってるようなやり方も戦術としては大いに価値があるものの……こと今回の俺相手には、そんな悠長な真似をしていては一方的な負けを喫するだけだと感じたんだろう。

 

 そしてたぶん、そいつは当たりだ!

 トップギアで鎌を振り上げ接近してくるシャーリヒッタと、その後ろから猛烈な勢いで極大の鉄鎖を放つヴァールへ俺は叫んだ!

 

「肉弾戦のシャーリヒッタと、遠距離戦のヴァールのコンビ! 敵に回すとやりづらいことこの上ないけど、それでもこのくらいはどうにかさせてもらう!」

「父様相手に、手は抜けねェッ!!」

「生半可な小手調べはもうしない! コマンドプロンプト、覚悟ォッ!!」

「タイミングも噛み合っている。まったく即興でよくやれる……!!」

 

 山形くんビームを拳に纏い、俺は彼女ら二人のコンビネーションを迎え撃つ。

 さすがというべきか、鎌と鉄鎖が俺に放たれたタイミングが完璧だ。どちらかに対応すれば、しなかったほうが確実にヒットするよう演算されている。

 

 こうした連携において、精霊知能の演算能力は抜群の冴えを見せるな。ボッチがデフォの山形くんにはなかなかやりづらい、二種類それぞれの全力攻撃。

 しかし、演算能力にかけては私とて負けてはいないのだ。当然すべて読み切っており、その上で俺は拳を振るった。

 

 狙いはシャーリヒッタ、鎌の斬撃エクスターミネートだ!

 すさまじい速度で振り下ろされる鎌に真っ向から拳を振り上げるアッパーカット、ぶつかり青白い光を放つ拳と刃!

 吹き飛ぶ鎌、そしてシャーリヒッタ。しかし次いで鉄鎖が来るのを、俺はたしかにこの目で見ていた。

 

「ぐううっ、こっちが先かァ!? ンでも鉄鎖が来るんだぜ、父様ァ!!」

「鎌を先に迎撃した! 鉄鎖が来るぞ!?」

「で、でも鉄鎖のほうを相手にすると、それはそれでシャーリヒッタさんの鎌がドンピシャ!? う、うひぇー怖い、どちらにせよ確実に食らうやつでありんすよアレー!?」

『普段の山形様なら、たぶん身も蓋もなくスキルなり魂の力なりでまとめて吹き飛ばしてる。なんなら因果操作で即無力化してるかもだけど……これは模擬戦、そして御方はお二人の力を確認なさってる』

「その縛りのなかだと、さすがにシャーリヒッタやヴァールの攻撃も一撃入れる目は出てくるんですねー……!」

 

 瞬間的に刹那、吹き飛ばされるシャーリヒッタや外野の精霊知能達の声を遠くに聞く。そうしている間にも迫るギルティチェイン、その先にいるヴァール。

 その表情は険しい無表情、断じて油断も隙もなければ余裕の欠片とて見当たらない。鉄鎖乱舞をあの破られ方をしたことで、おそらく俺がどう出てくるか測りかねているんだろう。明確に、演算能力では敵わない俺が相手だからな。

 

 私達クラスの演算能力を持つ者がぶつかり合った際、おそらくはこうなるだろうなと見越していた弱点だ──お互い読み合いばかり気にしだす。そして例外行動にやや、弱くなる。

 お互い有利を確定させるために、今を置き去りにして演算のほうに意識がいきやすいんだね。

 

「ワタシの演算がどこまで通用するかは分からん! しかし打てるだけの手は想定し尽くしている、今度は早々当たり負けんッ!!」

「…………ふ」

 

 健気なまでに愚直に、精霊知能として持ち得るすべてを駆使して向かってくるヴァールを素晴らしく思う。猛烈な勢いで迫るギルティチェインへ、俺は微かに微笑んだ。

 だが、それこそが俺にとっては大きな好機なんだよ。絶対的にも近しい演算能力も、対処法が分かっているなら何なりとなるということだ。

 

 ましてこの子達は俺のことをよく知るゆえに余計、こう来るなんて思わないはずだ。

 そうだろう? 普段からいろいろやってきてる俺だが、これだけはしたことがなかったものな!!

 

「覚えておけヴァール。予測なんてものはしょせん、意図しない小石の一つでさざ波が立つものなのさ」

「ッ!? 何を────」

「たしか、こうだったかな? ────しぃぃぃぃぃぃやぁっ!!」

 

 ギルティチェインを寸でのところで回避する。意図的にギリギリ、身を翻しての危機一髪。

 だがヴァールはそこから追加で薙ぎ払うなり派生の鉄鎖を放つなりしてくるだろう。その動作までの一瞬で、俺はさらに身体をコンパクトに捻った。

 ──右脚を、思い切り振り上げて。

 

 俺の脚が上がり始めた時点でもう、彼女も気づいたらしく今度こそ驚愕をその顔に貼り付けていた。演算の前提条件を覆されたんだ、そうもなるだろう。

 そう。俺は今まさに俺の知る限り最強クラスの脚技を誇る仲間の技を──シェン・フェイリンの星界拳を模倣した蹴りを、ギルティチェインに叩き込んだのだ!




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