攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
イヴさんvs神奈川さんに続いての第二試合目、俺vsヴァール、シャーリヒッタも終わりを告げた。
先ほども言ったがパッと見、俺の圧勝に見える内容だったとは思うけど、二人のコンビネーションがみごと炸裂した内容の模擬戦だったと思うよ。
それは試合後、集まってきたインターフェイサーの面々と織田が口々に感想を述べ合っているところからも伺える。
勝者の俺ばかりかヴァールとシャーリヒッタの健闘をも、よく讃えてくれているものな。
「お疲れ様でしたー! いやー公平さんはもちろんながら、あなた達二人もよくあそこまで戦えたと思いますよー! リーベちゃん姉として鼻が高い、高い!」
「後釜、お前まで姉を気取るな。気取るにしてもワタシが姉だ……実際、自分でも力は尽くしたと思うがな。それはシャーリヒッタとて同じだろう」
「もちろんだぜ! 失礼のないように全身全霊で挑んで、そんでも全然手も足もでなかったんだぜェ」
「お、お二方でそれだと不肖ミュトスめなんぞ、たやすく赤子の手をひねるみたいにされちゃうんでしょうねえ……精霊知能がコマンドプロンプト様と戦うって、よくよく考えても無理無茶無謀ですしおすし」
まずはリーベやミュトスがヴァール、シャーリヒッタを労う。コマンドプロンプト相手によく粘ったという点からの評価は、まあ精霊知能としては一般的なものだろう。
通常、模擬戦であったとてコマンドプロンプトと矛を交えるなんてシチュエーションまずないからね。それでも仮にそうなったとて、出力や権能、魂の格からして何もできずに倒されると考えるのは不自然なことではない。
それをああまで手を変え品を変え、連係し全力を尽くして戦い抜いた。その時点で彼女ら二人は掛け値なく賞賛に値するのは当然だろう。
神奈川さんやイヴさん、織田といったシステム領域に触れて間もない面々もそのへんは薄々、把握しているみたいだし。
「あの二人があそこまでやって、てんで話にならなかったのか……! 俺の目から見ても明らかに山形さんは全力じゃなかった。そもそも常に相手方に攻撃させて、それを打ち破るばかりだったし」
「相手の実力を引き出させ、それを真っ向から打ち破り問題点を洗い出す……これはまさしく師としての動きでした。なるほど、やはり真なる造物主たるお師匠様にあっては、精霊知能という存在でさえ教え子も同然ということなのですね」
「クククク、そういうことだろうなレギンレイヴ。実に得難いものを得た心地だ。正真正銘の異次元存在、そのなかでも至高天たるコマンドプロンプトの実力の一片を、私はたしかにこの目でこの耳でこの肌で感じ取れた……!! ククク、ククククッ!! これだから世界は面白い、全知全能では飽き足りぬ知り得ぬモノを知る歓びが、たしかにあるのだから!!」
「えぇ……? ていうか師匠みたいでしたかね、そんなつもり全然なかったんですけど……」
怖ぁ……なんか最高神さんがハッスルしていらっしゃるよ。よっぽど好奇心を刺激されたんだか知らんけど、ミュトスが目をウルウルさせてドン引いているので勘弁してあげてほしい。
北欧神話の最高神、オーディン。戦神でありながら知的好奇心にすべてを注力するような逸話を持つというその概念存在のアバターたる織田は、やはり未知なるものへの意欲とか情熱がすさまじいんだな。
あとシレッとイヴさんに師匠ムーヴしてる的なこと言われてるけど、別にそんなつもりは毛頭ないので念のため言っておく。
あくまで思ったことを俺の、私の見地から述べただけで指導とか教育を気取ったわけではないのだ。大体、今しがたの模擬戦では俺も学ぶところがたしかにあった。
一方的な教導でない、相互互助的な高め合い。これこそがシステム領域主体の特殊部隊インターフェイサーにおいてはあるべき態度だと思うしね。
「さて……次はどうする? 順当にいけばミュトスとリーベになるけど、後方支援メインのリーベはサシの模擬戦に向いてないと思うんだけど」
「いえいえもちろんやりますともー! ふっふっふー、こう見えてリーベちゃん、探査者デビューしてから地味に手札を増やしてるんですよー! まあまだ修行中ですけど、同期の人達との探査のなかで新しいスタイルを勉強してるんですー!」
「おっマジか。まあたしかに、リーベも《破砕光粉》だけだと自衛にしても極端すぎだしな」
「フルパワーだと三界機構の防御さえ著しく低下させるようなスキルは、さすがに自衛用としては、な……」
これにて残る模擬戦まだやってないメンバーは、イヴさん付き添いの織田を除けばリーベとミュトスの二人のみだ。
となると必然的にこの二人で、となるんだけれど、リーベもリーベなりに攻撃手段を身につけつつある様子ながら、さりとてミュトス相手には少し危ういかな? とも思う。
まずもってリーベが支援専門みたいなところあるからね。攻撃手段として一応、《破砕光粉》があるけどアレは細かい威力調整がしにくい上、威力が極端に高くてモンスター以外には早々使うべきものではない。
となると、同期の方々と修行中らしい新スタイル次第なわけだが……ひとまずそれがどんなものか、前もって話しておいてもらうべきだろうね、ここは。
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