攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
インターフェイサーの初勢揃い、かつ初模擬戦を終えてから一夜明けた。特に問題なく冬の日、山形公平です。
あの模擬戦のあと、ミュトスのお家で織田やイヴさんも交えて楽しくパーティーなんかして超楽しかったわけだけど、今日も今日とて全探組施設に来ているよ。
昨日も大概ノリノリだった俺ちゃんだけど、今日はもっと気分アゲアゲだ。なぜかってそりゃ、今日をもって期末テストが終わったからだね。
つまり今年も残すところ、ひたすら半ドンが続いて終業式を迎えたらそこからクリスマスと年末年始と楽しいイベントが目白押しなのだ。
こんなのウキウキにもなるよね、そりゃ。ワクワクで探査だってしちゃうぞ。
ちなみに今日も香苗さんと待ち合わせしていて、俺が依頼を受けてから現地で合流する予定になってるね。
ともかくそんな感じに勢い込んで全探組施設に行ったら、たまたま出くわした顔見知りの方々もいたりする。
それでも高まるテンションは止まらないぜ。
「今日の探査も良い探査になりそうだなあ! 半ドン半ドン、終業式終業式! そしてクリスマスに年末年始! うっひょう休みだあ!」
「はしゃぎすぎだろお前、山形……気持ちは分かるけど。さすがの救世主様もそういうところは学生相応なんだな」
「はしゃぐパイセンってばお子様感ありますよね。私より二つ年上なのに、なんか同学年の男子くらいに見えますよパイセン」
「厨二扱い!? 高校一年生ですけど!」
苦笑いというか、どこか微笑ましい顔で俺を見てくる彼ら彼女らに言葉の冷水を浴びせかけられてしまった。誰が中学二年生だよ、れっきとした16歳なんですけどこちとら。
というわけでこれがまた偶然なんだけど、ふらっと放課後探査でもすっべと立ち寄った施設にて出くわしたのがこちらの方々だ。
言わずと知れたクラスメイトにして県下最大級のイケメン探査者、関口くん。その関口くんが指導役を務めている新人探査者パーティ、おかし三人娘のチョコさん、アメさん、ガムちゃん。
組み合わせとして不自然なはずもないんだけど、なんだかお揃いで見かけるのは久々な四人がそこにはいたんだね。
気恥ずかしさを紛らわせる意味で咳払いしつつ、そのへんのところを尋ねてみる。
「コホン、ケホケホ……えーと、失礼しやした。ていうかなんか久々に見るね、四人での組み合わせ。これから探査?」
「ああ、まあな。実力的にもう、指導担当なんていらないレベルではあるんだけど一応、規則で一年は決まった頻度で指導役による指導探査が必要だから」
「関口さんにはまだまだたっくさんのこと、教わってるんですよ山形さん! やっぱり関口さんはすごいです!!」
「チョコちゃんは相変わらず、関口くんに首ったけね〜」
俺自身がだいぶイレギュラーだもんでいまいちピンと来ない話なんだけど、実はそうなんだよ指導役による新人指導って、短くても一年間は継続して行われるものなんだよね、普通。
おかし三人娘もデビューしてそろそろえーっと、3ヶ月だか4ヶ月くらいか。なのでまだまだ指導役の関口くんによる監督下での探査ノルマが定められているのだ。
まあ、すべての探査が必ずそうである必要もなくて、だから俺と関口くんがブッキングする機会がほぼなかったんだよね。
チョコさんなんかは明確に彼に恋するウフフな乙女で、やはりそうした指導を受けながらの探査は一際喜ばしいイベントのようだ。見ていて応援したくなるくらい真っすぐに好意を打ち出しているよ。
その隣でアメさんもほんわかしてるし。ガムちゃんはまったくどうでも良さげで、そのへんもおかし三人娘それぞれらしい反応だね。
「……山形相手にそう持ち上げられても、身の丈を知った今だと反応に困るな、チョコ」
「いやいや、関口くんは立派だしすごいよ。そこは俺とか関係なく間違いないことだからね? 今も三人への指導、きっちりやってるのが伝わってくるし」
「そうなんですよ、先生〜。関口くんもいろいろ知識を持っていて、探査の時に教わることはまだまだたくさんあるんです」
「そのへんはさすがのパイセンでも追いついてないところかもですね、単純に年季が違いますし。ま、覇王忍者的にはどちらにせよすべてを我が力とし覇道を歩む糧とするばかりなんですけどね」
「は、覇王忍者ガムちゃん様……」
「最近、山形の影響を受けてるのかガムの覇王忍者化が止まらないんだが……」
怖ぁ……しれっと覇王忍者が俺のせいみたいになってる。俺関係なく覇王忍者は最初から覇王忍者だったんですけど?
ガムちゃんのあまりの大器ぶりに慄く関口くんだけど、なんだかんだやはり指導役として立派にやっているみたいだ。特に年季から来る探査関係の知識面は、当然ながら俺よりたくさんのことを知っているからね。
当初はいろいろあってぎこちなかったおかし三人娘との関係性も、だいぶお互い信頼しあえる良いものになっているみたいだし。本当、夏に比べて段違いだもんで俺も一安心だよ。
少しだけでもそうした改善に、俺が役立てるところがあったのならそれに勝る喜びはない。関口くんもおかし三人娘も、翳りのないやり取りをしてくれているのがなんだかまぶしいや。
「うんうん。仲良きことは美しきかな」
「これもひとえに先生と伝道師香苗さんのおかげです〜。救世主様バンザイ〜!」
「まっ、結局そういうことだな。山形と香苗さんあっての今の俺やおかし三人娘だ……改めてありがとうな、山形」
「い、いやいや。お気になさらず。たまたまその場にいたからお手伝いしただけだし、うん」
「……そんなふうに軽いノリで当たり前のように人を救えるから、パイセンは救世主って呼ばれてるんだよねー、ふふっ。ありがとうございます、パーイセン」
「本当にその節はありがとうございました、山形さん!」
俺にまで感謝の言葉を向けてくる四人に、なんだか気恥ずかしいやら誇らしいやら照れくさいやらだ。
けれど悪い気はしない……助けられた心がそこにあるのなら、それこそが何より嬉しいことだからね。
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