攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
歩くこと大体15分ほどして、俺達は件の高校の正門に辿り着いた。全探組からはやはり近く、これなら探査後もサクッと帰れるから道中楽でいいね。
そして、すでに香苗さんもいらっしゃっていて正門の前、いつものスーツ姿でクールビューティな感じで佇んでいるよ。
「さすが香苗さん、連絡してからすぐ出立した俺達よりも早く到着してるなんて。どうもお疲れ様です、山形ですけどー」
「お疲れ様です公平くん。それにおかし三人娘に関口もいますね。珍しいメンバーでの探査となりますが、今日はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします、香苗さん」
「よ、よろしくお願いします! 御堂さん!!」
近づいていって挨拶すると、そんな見かけのクールさとは真逆に温かく微笑んで迎えてくれる。
関口くんやおかし三人娘とも普通に挨拶を交わして、すぐに俺達は学校の部外者担当窓口まで行くこととなった。
地味に初めてかな? 東クォーツ高校以外の高校にお邪魔するのって。学校ってのも敷地が広いもんで、ダンジョンが発生することもなくはないためたまに依頼とかで見かけはしたんだけどね。
その都度、微妙にこちらの希望する条件と合致しない依頼ばかりだったので別のを受けていたのだ。そういう意味では今回の探査、おかし三人娘に付き添う形で俺も貴重な経験をさせてもらっていると言っても良いかもしれないね。
当たり前ながら東クォーツのいつもの感じとは空気感の異なる校舎の風景。こちらも半ドンで授業が終わっているのか、遠く見えるグラウンドなんかじゃ部活動に精を出す学生さんがいっぱいだ。
校舎内からは吹奏楽部さん達かな? 音楽の練習も聞こえてくる。慣れない空気に緊張するけど、反面なんだかワクワクするよ。
そんな内心のまま、部外者がまず最初に訪れる受付校舎にまで向かう。
やはりここでもコミュニケーションに長けたチョコさんが矢面だ。元気よく、窓口の教諭さんに話しかけていく。
「こんにちは! ダンジョン探査依頼を受けて全探組より来ました、探査者の徳島と鹿児島と新潟、関口と山形と御堂です!」
「ああ、どうもお疲れ様です。ただいま担当教諭を呼び出しますのでしばらくお待ちください」
「恐れ入ります!」
新人ながらもうすっかり慣れたもんで、完全にいつものやり取りって感じで交渉をこなしている。俺も毎度この手のご挨拶は当然させてもらってるけど、ここまでハキハキとはしてないからすごいや。
なんせ根が陰キャだもんで、暗いテンションなわけではないけど明るくもならず、なんだかふわっとぬるっとしたやりとりになっちゃうんだよね。人によっては絶妙な覇気のなさに、大丈夫かこいつ? みたいな目で見られることもたまにあるほどだ。
まあ、大体の場合はシャイニング山形のことをご存知だからそれなりに穏便にことは進むんだけどね。
それでもチョコさんくらいの勢いってのも良いもんだなーとか思っていると、すぐに担当らしい女性教諭さんがやって来られた。
「こんにちは、お疲れ様です。当校が出していた探査依頼を受けに来られたとのことですが、依頼受諾書を拝見しても?」
「はい! こちらになります、よろしくお願いします!」
「……はい、たしかに。それでは入校許可証をお配りしますので、それを身に着けて着いてきてください。ダンジョンのある場所までご案内いたします」
「ありがとうございます!」
淡々とした感じのその教諭さん、ドライな印象を受ける中年くらいの方だけどすぐに案内してくださるみたいだ。
人によっては軽い雑談から入ったり、場合によっては一服してからどうぞ、みたいな方もいるからこういうのも依頼者さんによって変わるところだね。
個人的にはこの方くらいサクッと進行していただけるほうが好みではあるかも。
入校許可証。首からぶら下げるあの、都会のキラキラしたOLさんが社員証とか入れてなんかピッてするらしい感じのアレを人数分受け取って首から提げる。
そしたらいざ、ダンジョンのあるところまでだ。教諭さんに続いて校舎のなかを歩くよ。わー、他校の校舎なんて新鮮だー。
「なんていうか、学校によって校舎の雰囲気とかも違いますね。東クォーツとはまた異なっていて、なんだか不思議な気分になります」
「ふふ、でしょうね。私もいくつかの学校の探査をしたことはありますが、やはりどの学校も空気感は異なっていました」
「私の通っていた高校とも雰囲気が違うわね〜」
「たしかチョコは商業高校だったかな。やっぱりそちらもこことは空気感違うのか?」
「そうですね、うまく説明はしづらいですけど、うちの高校っぽいところもあるけど決定的に違う感じもしてます。うーん、なんか不思議です!」
「へー……私はまだ中学生なんでアレですけど、やっぱりところ変わればってやつなんですね。参考になります」
現在進行系で高校に通っている俺、関口くん、チョコさんにかつて通っていた香苗さんとアメさんが小声でやりとりする。当たり前といえば当たり前なんだけど、学校によって雰囲気って異なるものなんだなあ。
唯一まだ中学生のガムちゃんなんかはピンと来てないみたいだけど、しげしげと校舎内を見回してはふむふむとうなずいているね。
この子も来年あたり、うちの妹ちゃんや逢坂さん同様に高校受験を迎えるはずだ。
その時、どこの高校を選ぶかってところでも今回の探査は参考になるかもしれないね。
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