攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
器用にも片手に剣を、もう片手には槍を手に持ち振るうチョコさん。その姿は新人とはとても思えないほどに堂々とした威風だ。
彼女の一番の個性であり探査者としての特徴を端的に示したそんなスタイルのまま、彼女は残る三体のゴブリンに相対していた。
すなわち武芸百般。剣、槍のみならず斧でも弓矢でも杖でも鞭でもなんでもござれで扱えるという、ある種の天才性こそが徳島千代子の最大の個性なのだ。
実際すさまじいよ……あといくらかでも武器術関係のスキルを習得できれば、それらが統合した《武器術マスタリー》を獲得できてしまいかねないほどに、武器そのものと彼女は相性が良い。
「さーて、お次は三体目……!」
「ぐ……ぐぐぎぎゃぎゃぎゃあーっ!!」
「そんな動きならいくらでも対応できる! せああっ!!」
今だって、弱々しくとも仕掛けてきたゴブリン三体目の攻撃を容易く剣で撃ち払う。すでに瀕死と言っていい相手なら、片手でも余裕であしらえるんだね。
そうしてがら空きになったその胴体に、これまた流れるような動きで彼女は槍を振りかざしたのだ。
葵さんから手ほどきを受けたらしい槍捌きだけど、片手でも様になっているのはシンプルに器用の一言だ。
両手でしっかり握ったほうがもちろん、パワーやスピード的にはより良いんだろうけど……今の変則的な二刀流スタイルはあれはあれで手数が必然的に多くなるし、テクニックさえあるなら今後とも活かしていけそうな動きなんだね。
「そして《槍術》! 早瀬さん直伝の技を食らえ!!」
「ぐ、ぐげげげっ!?」
「必殺、飛騨一閃ッ!! だぁりゃあーっ!!」
万力込めての横薙ぎはまさしく一閃。鋭い刃がゴブリンの首を文字通り撥ね飛ばした。
即座に光の粒子へと変ずる三体目。続けざまに残る二体の下に踏み込むチョコさんは、しかもそこに新たな攻撃さえ挟んでいた。
薙ぎの動きのまま、遠心力に任せて剣を投げ放つ。投擲技術も磨いているのか手慣れた所作で、剣がまっすぐに四体目のゴブリンへと向かっていく。
平時ならば弾くなり受け止めるなりできるかもしれない勢いだが、今はやはり炎のダメージでろくに身動きもできていないようで追いつけていない。
当然、無防備のまま投げつけられた剣をそのまま食らう四体目。肩に深々と刺さった剣に、思わずと言った叫びをあげていく。
そこに接近するチョコさんの、両手でしっかり握られた、槍が奔る──!
「ぐぎゃ────ぎぁ、ああああっ!!」
「こっからが槍の本領だい────! 連撃、木曽二段ッ!!」
「ぎががががっ!?」
「派生技? ……最初の横一閃技からの連撃を想定した技ですか。アレも葵さんの仕込みでしょうね、新人が考えるにしては手が込みすぎています」
縦の斬撃二発。続けざまに放たれた槍の二撃目が、四体目のゴブリンを圧倒して斬り裂いた。その姿を見て香苗さんが思わずつぶやくのを横目にする。
派生技。それ単体でなく前後に別の技を差し込むことでコンビネーションとして成立させるタイプの技か。今で言うなら最初の飛騨一閃とやらによる横薙ぎのあと、即座に木曽二段とかいう縦斬撃に移行するよう最初から一連の動きとして構築されている技群だな。
彼女が言うように、こう言ってはなんだけどチョコさんくらいの新人さんがいきなりそんなの編み出せるとは思えない。やはり出どころは葵さんなんだろうな。
そんな考察に、すかさず答えたのがおかし三人娘の残り二人のアメさんとガムちゃんだ。やはりパーティメンバーとしてそのへん、詳しいところを知ってるんだね。
「いかにも伝道師香苗さん、今の技は早瀬さんからの教えですね〜。なんでもお祖父様から受け継いだ、早瀬流の槍術ですとか〜」
「日本探査史に残る大親分、早瀬光太郎さんが編み出した技らしいですよ。中部地方の槍使いは基本、あの飛騨とか木曽とかを習得できれば一人前扱いなんですって」
「早瀬光太郎さんの槍術……! それがまさか、巡り巡ってチョコさんにまで引き継がれるなんて!」
「早瀬流槍術と言うべき技術体系があることは承知していましたが、実際に見るのは初めてですね。なるほど」
思わぬつながりだけど、なるほど。葵さん直伝ということは当然、彼女の祖父である早瀬光太郎さんの技術の系譜も汲むことになるか。
第三次モンスターハザードにて台頭した日本の英雄探査者。ヴァールやエリスさん、マリーさんやロナルドさんとも肩を並べたという日本の大探査者その人の槍技を今、使ってるんならあの技群の完成度の高さもうなずけるよ。
というかそんな技まで教えるあたり、葵さんも結構ガチめにおかし三人娘のことを気にかけてくれているんだろうね。
たしか指導教官のなかでも彼女だけは能力者犯罪捜査官の仕事が優先のため、アドバイザーというかちょっと見程度の立ち位置でしかなかったはずだ。
それを祖父譲りの技まで仕込むってのは、チョコさんの持つ素質や可能性に対して真摯に向き合ってくれていると見るべきだろう。
「ッこれで終わりぃっ!!」
「ぐぎぎぎぇぇええええっ!?」
「────よーし完全勝利! さすがに弱ったゴブリンだったらこんな数でも、私一人でやれなきゃしょうがないもんね! ぶい!!」
勢いのまま、最後の五体目も葬り去る。
あらかじめ斥候が弱らせていたといえどゴブリン五体、チョコさんはみごとに瞬殺してみせたのだった。
「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第三部・第三次モンスターハザード前編─黄金の胎動─
連載始めました!
よろしくお願いしますー
「大ダンジョン時代ヒストリア」100年史編完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー
【お知らせ】
「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!
コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
pash-up!様
( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
よろしくお願いしますー!