攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
さて次なる部屋へとみんなで進む。ここから先もおかし三人娘による攻略がメインなわけなんだけど、ここで彼女達は戦術を変えるつもりらしくて先程とは異なる動きを見せた。
通り一遍のやり口に終始しないように、動き方にバリエーションを持たせるために……そう、覇王忍者ガムちゃん様が考える様々なプランを試していくんだね。
「よし! じゃあ今度はサラさんディーネちゃんから切り替えて、ノムくんシーぴょんのコンビでやってみましょうか。サラさんディーネちゃん、今回もありがとうございました」
「分かったわガムちゃん。お二方、今日も助かりました〜」
『くきゃ! くっきゃっきゃー』
『らーらー。らららら〜』
「あっ、還っていくのか。それに切り替えでノムくんに、シーぴょん?」
指示を出すガムちゃんと、それを受けたアメさんが揃ってサラさんディーネちゃんに礼を言う。チョコさんも続けて勢いよく頭を下げるよ。
概念存在への謝礼、たとえ位的には低い精霊であってもそれを欠かさない姿は立派だし正しい。火の精霊と水の精霊も嬉しそうに前足なり手なりを振って還っていくし、正しいコミュニケーションを取れていたと言えるだろう。
そして代わりに呼び出すらしい、あだ名だろうねノムくんシーぴょん。察するに別の精霊だろう……属性とかで言うなら土とか風かな?
どうあれこれから分かることだ。アメさんが再度、《召喚》を発動していった。
「条件は一つ、ダンジョン内であること──これをもってどうかお出でください、お力をお貸しください。スキル《召喚》発動! 概念存在は土の精霊ノーム、そして風の精霊シルフ!!」
『ぐもも。ぐももも。ぐも』
『ひゅーるるるー。ひゅるるる〜』
「別の精霊を喚んだのですか。これは……小人に、妖精?」
「サラさんだけ炎のトカゲみたいだったんですけど、他の精霊さん達は割と人型なんですよね。なんででしょう?」
スムーズに召喚を発動する声に応え、現れるその二体。
細い円錐状の帽子を被った白髭の老小人、ノーム。そして緑色の薄衣を纏い風を纒って漂う掌サイズの妖精めいた少女、シルフ。
ノームだからノムくんで、シルフだからシーぴょんか。しかしチョコさんが言うように、サラさんだけ動物で後のは全員人型なんだな。
おそらくはこれも人のイメージの影響が関与してるんだろう。そもそも精霊って概念自体、なんだか言う昔の錬金術師さんが編み出したものだしね。
それが現代に至るまで様々な文献や資料を通してファンタジー的な空想創作に流用され、かくなるイメージを形成して概念存在へと昇華されたんだろう。元より存在した自然界の要素が、イメージを得て擬人化されたともいえる。
「そう言えば愛知さんも精霊の力を引き出していたなあ。そのもの精霊を召喚するんじゃなくて、精霊が持つ自然界そのものの力を身に纏う《精霊憑依》や、その力を現世に顕現させる《連鎖顕現》と。思えばあの時に引き出していた風のエレメンタルっての、シルフことシーぴょんと同質存在だったんだろうな」
『ひゅるる? ひゅーるるるーるーるー』
「愛知……九葉さんですね、先生。私と同じ召喚スキルの持ち主にして、その頂点ともいえるS級探査者。お知り合いとは存じていましたが、もう一緒に探査までされていらっしゃったなんて。さすがです〜」
「アッ、ハイどうも。ええと前に一度だけ、シャルロットさんも交えて三人で探査をば、はい」
「七代目聖女ともかよ!? 相変わらず出鱈目な人脈してるな、お前……」
どうしても召喚スキルって絡みだと、やはり愛知さんの戦術戦法が頭を過る。彼女も精霊の力を喚び出していたけど、アレも今目の前にいるシルフのシーぴょんと本質的に同じモノの力を借りていたんだろう。
そのへん、精霊ってのはファジーなんだ。なんせ根本的に自然現象そのものだから、これと言った総体がなくて一部は名有り、一部は名無しだったり姿があったりなかったりする。
ゆえに召喚しやすさも段違いだったりするから、召喚者にとっては初心者の頃から頼れる存在でもあるんだろうけどね。
そのへん、つらつら述べればアメさんが反応してきた。自分の探査者としてのスタイルの延長線、目下のところその最果てにいるS級探査者の名前を聞いたのだから無理もないか。
愛知さんと、シャルロットさん。このお二人とダンジョン探査に臨んだことは記憶にも新しいよ。
そういえばあの時、都合がつかずに香苗さんはご一緒しなかったんだよなーと彼女のほうを見る。案の定というべきか、悔しげにしつつもさっそくおかし三人娘相手に句読点を飛ばしていらっしゃったよ。
「件の探査については私ももちろん聞き及んでおりますあまりにも無念なことに私はその日別の用事でご一緒できませんでしたが後日愛知さんとシャルロットさんにアポを取りその時のことをこと細かにお話いただいていますので偉大なる我らが救世主山形公平様のご活躍お言葉お教えを可能な限りメモメモメモることができましたその様子はインタビュー形式で動画に撮影して救世の光チャンネルにてコラボレーションの形で近日中にも公開する予定です地味にダンジョン聖教ともコラボする形になりますので我々が望むこの世の光こと山形公平様の救世主神話伝説はますます世界規模に伝播することになりますね救世主様バンザイ!!」
「救世主様バンザイ! 救世主様バンザイ!! 救世主様バンザイ〜!!」
「うわっ御堂さんが伝道師になってアメさんが使徒になっちゃった!?」
「パイセーンすみませんけどこの人達どうにかしてもらっていいですかー?」
「怖ぁ……伝道ストップ! 救世主的に伝道ストップで!」
今度は句読点さん達どこ行ったんだろ、南極とか?
あいも変わらずナチュラルに始まった伝道とバンザイを連呼する伝道師さんと使徒さんを、覇王忍者さんの要請に応じて慌てて止めに入る救世主くんなのでした。
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