攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
二つ目の部屋が見えてきた。なかにはこれまたオーソドックスにスライム二体とゴブリンが一体、うろついている。
まだこっちには気づいていないうちに、ガムちゃんはさっそく先制攻撃をかまそうとアメさんやチョコさんに指示を投げていた。
「ん、じゃあアメ姉はノムくんに土砂を出してもらって、シーぴょんでそれを風で吹き上げてもらってください。あいつらの感覚器官を潰したら、私とチョコさんで攻撃するって流れで」
「分かったわ〜。よろしくお願いしますね、お二方」
『ぐもも。ぐも』
『ひゅるる〜ひゅる〜』
「砂嵐が起きてるなら近接戦は良くないね。じゃあ私は今回弓で攻撃かな。ガムちゃんはもちろん《忍術》か」
「ですね。地味に私も手札増えてるんで、パイセンにそのへんご評価いただきたいんで気合入れますよ」
土の精霊と風の精霊のコンビネーションってことで、今度は直接的に威力がある感じでなく牽制的な、相手の目なり耳なりを潰す戦術を採るらしい。
おそらくは火と土とか、水と風とかでも似たような連携はすでに考えているんだろう。同時に二体、喚び出せるようになった時点でここまでバリエーション豊富な戦術が取れるんだから、やはり《召喚》の持つ可能性は大きいと言えるね。
そして今回は遠距離攻撃主体ということでおもむろに携帯式の弓矢を取り出し組み立てるチョコさん。関口くんが持ってるのよりはグレードが落ちるやつだけど、それでも剣、槍に続いて三つ目の武装交換か。
いろんな武器に適正があるという、ある意味超ストレートに天才な彼女ならではのこれもまた手札の多さだね。ガムちゃんもレベルが上がったことで《忍術》で行使できる技が増えたようだし、加速度的に強くなっていってるのが分かるよ。
部屋に出る直前にて立ち止まる。ここまで来ればスライム達もゴブリンもこちらに気づいて、臨戦態勢でじりじり距離を近づけてきている。
巻き起こす砂嵐に、こちらまで影響を受ける前に始めるべきだなこれは──そう思った矢先、さすが同様に考えたかガムちゃんの鋭い声が飛んだ!
「それじゃあ手筈通りにっ! アメ姉!」
「はいっ! お願いします、精霊様方!」
『ぐも〜』
『ひゅ〜』
「ぴぎ? ぴぎぴぎ!?」
「げぎゃぎゃ!? げぎゃっげぎゃあっ!!」
アメさんの願いに応じて即座に動くノムくんシーぴょん。まずはノムくんがおもむろに地面を叩けば、それだけで敵の周囲にどっさりと土砂が現れた。
囲むように積もったそれは柔らかく、塹壕にもならない強度だが……ゆえにシーぴょんが口笛とともに巻き起こす風に乗って、瞬く間に規模の小さな砂嵐を巻き起こしたのだ!
相手からするといきなり目の前に土塊の小山ができたかと思えば、すぐさまそれが強風によって巻き上げられ自分達の視界や聴覚を塞いできたことになる。
さぞや驚いているだろう。叫び、呻く声を聞きながらもガムちゃんとチョコさんがそれぞれ、その砂嵐に向けて攻撃を仕掛けた。
「《忍術》! 水遁・水鉄砲ってね!」
「《弓術》! ブレイブブレイバー・ハードショット!」
「ガムちゃんは新忍術に、チョコさんは関口くんのと同じ技か!」
「槍は早瀬さんからの伝授だが、剣と弓に関しては俺の技をそのまま引き継いでいるからな! それらを必要に応じて使い分ける、それが今のチョコだ!」
忍者っぽくこう、手を独特の動きでわちゃわちゃさせて印を組むガムちゃん。そして敵に向けその指を向ければ、途端に先端から水の弾丸が3発、発射された。
今現在、ガムちゃんのレベルは31らしく火遁、水遁、風遁、そして土遁までを覚えている。つまり最低限の手札は構築できており、後は状況に応じて使い分ける形になるね。
加えてチョコさんも、関口くんから引き継いだ弓技、ブレイブブレイバーを使って力強い矢の一撃を放った。
剣技と弓技に用いているこれらの技は、元々は彼のオリジナルだからね。それを引き継いだチョコさんは、恋する乙女でもあり師を敬愛する弟子でもあるってことだろう。
「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃあ!? ぐげ──」
「ぴぎぎ!? ぴぎぃ」
「的確に撃ち抜きましたね、二人とも。ゴブリンとスライムが一体倒れました。残りはスライム一体だけ」
「ガムちゃん! ここは合体攻撃で行こうか! 《弓術》!」
「おっ! そういう派手めの良いですね覇王忍者的にもグッドです、《忍術》!!」
たちまち水弾と矢の一撃がそれぞれ、ゴブリンとスライムを倒すのが砂嵐のなかでも見えた。狙いもバッチリだね、さすが。
残るはもう一体のスライムばかりなんだけど……ここでまさかの合体攻撃らしい。チョコさんが再度弓に矢を番えたところに、ガムちゃんが忍術を行使するのが見えた。
《忍術》は攻撃のみならず牽制、防御、さらには支援にまで適応できる幅広い使用用途が強みの一つだ。属性も多岐に及ぶことから、相応の賢明さは要求されるもののできることの範囲は相当に広い。
それをもって、ガムちゃんはチョコさんの矢に忍術による追加効果を付与したのだ。
「────火遁・火属性付与! やっちゃってください、チョコさん!」
「任せてガムちゃん! いくよ《弓術》、シノビブレイバー・フレイムアロー!!」
「ぴぎぎゃあーっ!? ぴ、ぴぎぃ────」
《忍術》と《弓術》のコラボレーション、つまりはシノビブレイバー。
火遁によって火を纒った矢の一撃が鋭く放たれてはスライムを撃ち抜き、すぐさま光の粒子へと変えていく。
勝利だ。多種多様なスキル、コンビネーションを披露してのみごとなまでの完勝。
到底新人パーティとも思えない堂々たる戦いぶりを、おかし三人娘は見せてくれたのだ。
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