攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
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おかし三人娘による新クラン、その目的とか理念、方針。
ガムちゃんが語るところの覇王忍者の覇道はまあ一旦置いといて、緩やかな探査者互助団体ってところに香苗さんが反応していた。
探査者の互助。そもそもパーティからしてそんな性質はあって、それがさらに大規模に発展したのがクラン制度だったりするだろう。
もっと言えばそうした形がより政治的、かつ国際的に組織だった集団こそがWSOだったり全探組だと言えるね。
つまりそのへん、探査者としては基本的な心得に当て嵌まる理念だと俺は思うんだけど……殊更にそこを強調し、あまつさえ緩やかなと表現してみせるガムちゃんの意図は一体なんなんだろうか?
関口くんともども彼女を見る俺に、チョコさんとアメさんが続けて補足説明を入れてくれた。
「えーっと、クランとしては互助ってのがミソでして! いろんな探査者の方と、緩いつながりのなかでお互い努力しあったり助け合ったりしていけたらいいなーって。ほら、クランって割と厳しいルールや年齢制限、ノルマがあったりするじゃないですか」
「私達はそういうのが難しくて、こうしてクランを結成したんですから……それなら同じようなものじゃなくて、もっと緩やかで穏やかな互助会を創りたいと思ったんです〜」
「覇道も立派なミソですけど? ……まあ、互助が前提としてあるのはそれはそうです。他のクランみたいに、自分達のコミュニティのためのノルマとかそんなの取っ払っちゃって、集まりたい人だけ集まりたい時に集まって緩く手を取り合えばいいじゃんって。そんな感じなんです」
「なるほど……そういう意味での緩やかさか。アレだね、大学のサークルとか、同好会って感じに近いのかな」
三人の説明から見えてきた輪郭。それはシンプルな話、本当に緩い探査者の集まり、相互支援団体……本来の意味でのサークルって感じだと俺は受け取った。
聞く限り、他のクランって割とそれぞれルールがあって、しがらみもそれなりらしいからね。もちろんそれはそれで組織としての強さ、安定感につながってるんだけれど、苦手な人がいるだろうことも理解できる。
実際、おかし三人娘はそういうのが嫌でここに至るまで彼らクランのスカウトを避けてきて、終いには自分らで創るって選択に至ったんだろうからね。
ぶっちゃけ俺個人としても、そういう縛りがあるような集団に入る気にはちょっとなれないから気持ちは分かるよ。
そのへん、どんなクランでも如才なく振る舞えるだろう陽キャ代表関口くんもピンときた様子で答える。
「つまり、世間一般のクランよりはしがらみやルールが緩くて、それゆえに参加も各々好きな塩梅で、ってくらいのクランなんだな。そういうところは、探せばなくはないだろうけどたしかに昨今だと珍しいな」
「ていうか、よそのクランがあれこれ面倒くさすぎるんですよ実際。調べてみたら一番最初にできたクラン、早瀬会なんてのは発足当初はずいぶんおおらかなクランだったそうなのに、後追いでいろんなクランができるにつれてなんでか縛りだらけが当たり前になったみたいですし」
「そこは時代の流れもあれば、組織としての強固さを確保するために必要なことでもありますからね。実際、その早瀬会を仕切っていた大親分こと早瀬光太郎さんも晩年、仕方なかったとはしつつも中期以降の早瀬会は居心地悪かったなどと素直なことを自伝に残しています」
「自伝て……ていうかそんな、大親分なんて言われるような人でもそんなだったんですね」
「どうも相当に型破りな人物だったようですから、窮屈さを感じたのでしょうね。そのへんの気質は孫娘の葵さんにも受け継がれているところはあるかもしれません。彼女も大概、破天荒ですから」
クランという制度そのものの歴史を踏まえつつの解説。日本どころか世界で最初のクランを創ったのが誰あろう、葵さんの祖父である光太郎さんだそうなんだけど。
そんな大人物でさえ、組織を統率するにあたって次第に厳格化していく流れに辟易していたという。最初はおかし三人娘の理想とする緩やかさを持ったクランだったのが、時代の流れとともに本格的な組織に変わっていったんだね。
翻って考えるに、そうした問題は今回のおかし三人娘の新クランにもそのまま当て嵌まることだろう。今から発足してしばらくはいいけど、もしも運営に成功して規模を大きくしていった場合、同じように組織としてより体制化が進むことは免れない。
そうなったら他のクランと同じ、ルールや縛りのある団体になっていくことは容易に想像がつく。それはそれで当然の話だし、別に悪いことではないにせよ……おかし三人娘の本意からは逸れるだろうことも間違いないのだ。
「思うところは分かったけど、ガムちゃん……もしもその、早瀬会や他のクランみたいに君達のクランもやがて、そういうルールや枠組みを導入して、緩やかで居られなくなった時はどうするつもりなのかな。どうしたっていずれはそうなっていくと思うんだけど」
「パーイセン、そのへんにももう、私らは私らなりに答えを見つけてますよ」
そのへん、何か考えているんだろうか? さすがにそのへんノープランだと、いつかどこかで彼女ら自身がつらい思いをしてしまいそうで怖いよ。
俺が質問を投げかけると、ガムちゃんは真剣な表情でしかし、軽いトーンでアッサリと答えてみせたのだ。
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