攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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いざ征かん、ダンジョン聖教教会へ!

 美味しいパンを食べて、コーヒーもブラックなんかキメて大人びちゃって、なんちゃって──それからみんなと別れて電車に乗って、家路について。

 そうして自宅に着いたのが昼過ぎのことだ。予定では14時に件のダンジョン聖教の施設に集合なのでそんなに余裕はなかったりするね。

 ちょっぴり急ごー。

 

「ただいま! そそくさそそくさ……」

「おかえり! あくせくあくせく……はしてないけど、あんた昼からなんか用事あるんじゃないの? 遅刻はダメよー」

「ごめんごめん、すぐ支度するー」

 

 気持ち早歩きで帰ってきて、気持ち急いだ感じでただいまってしたら母ちゃんがのんびりした声だけを居間からよこしてきた。なんかパリパリ言ってるけど煎餅でも齧ってるなこれは。

 さっさと自室に行って荷物を下ろして早着替え。神魔終焉結界にするか迷ったけど別に探査でもなし、私服で良いだろう。プライベートながらお偉いさんとの面会なのでまあ、それなりに大人しい無難な格好で、と。

 

 なんか持ってこいとかって話もないので、着の身着のまま手ぶらで準備OK。というわけで出かけるよと声かけにリビングに向かうと、案の定テレビを観ながら煎餅をかじってらっしゃる我が家のママ上様がいらっしゃる。

 ソファにてくつろぎ、膝にはお昼寝中のアイを乗っけて優しく撫でている。ワイングラスとか片手に持ってたらすっげぇワルのやるやつじゃーん!

 

「きゅう……きゅう……きゅきゅきゅ……きゅう……」

「アイ、よく寝てるね……じゃあ行ってくるよ、晩には戻るからよろしく。今日の晩ごはんは?」

「お父ちゃんのリクエストでスコッチエッグ。リーベちゃんとシャーリヒッタちゃんも夕方には帰るって言ってたから、あんたも遅くなりすぎないようにね」

「うん」

 

 微かに鼻息を立て、身体を丸めて寝ているアイの愛らしさはさすがだ。俺も起こさないよう、優しく少しだけその背中を撫でる。

 今晩はスコッチエッグだ。言うなればゆで卵入りのメンチカツって感じの代物で、食いごたえ抜群でしかも肉汁がとってもジューシーなんだ。

 良いね、最高。父ちゃんも渋いところ突くよね、たぶん酒のあてとしてのリクエストなんだけど俺も大好きだ。

 

 こりゃあ夕飯も楽しみになってきたってもんで、ちょっとルンルン気分になりながらもいざ、家を出る。

 ダンジョン聖教の施設はここからちょっと遠くて、ローカル線の電車に乗って数駅跨いだところの、繁華街近くにある教会だね。

 

 ちょうど織田の住まいたるマンションが近めなのかな。まあ今回はそっちを訪ねることもないだろうけど。

 とにかく歩き出す。普通に間に合う時間だけれど、今回集まるメンツはみなさん真面目だから俺が来た時には待ちくたびれさせちゃってるかもしれない。やっぱり気持ち急がなくちゃね、そそくさそそくさ……

 

「えーと、今日来るとか言ってたのがたしかソフィアさん、あるいはヴァールにマリーさん、エリスさん。加えてサウダーデさんとベナウィさんか。そこに聖教側のシャルロットさんと神谷さんも交えてって形か。大所帯だなあ」

 

 移動しながら独り言つ。今日、アーデルハイドさんと面会するメンツは多いんだか少ないんだか、俺も含めて10人程度の規模だ。

 主に前からの知り合い、友人が主だって来るそうな。ソフィアさんにヴァール、エリスさんやマリーさんはもちろんながらサウダーデさんやベナウィさんは太平洋客船都市絡みで親交があるとかってグループチャットで言ってたよ。

 四代目のヴィルタネンさんが太平洋にお住まいらしいから、そのあたりのつながりだろう。

 

 うーん、みごとに俺だけ初対面である。本来ならば知り合いばかりの場に俺がノコノコと顔を出す筋合いもないんだけど、先方からのご指名を食らってしまっているからこればかりはね。

 まあ、仲間のみなさんがいてくださるからそうそう気まずいロンリー山形くんではないと思いたいけど。そも、最悪ソフィアさんなりヴァールなりに泣きつけばいいんだ。二人とも優しいからきっとなんとかしてくれる。何をどうするかは知らんけど。

 

 天下の統括理事を避難所扱いとか、恐ろしく罰当たりなことさえ想定しつつもローカル線の駅に着いたよ。ちょうど踏切が鳴り出して、目的地方面に向かう電車がやって来た。

 急いで切符買って改札抜けて。間に合った電車に乗っていざ、出発と。はあ、これなら少し余裕をもって辿り着きそうだ。

 

「うん? 山形公平、あなたもこの電車に乗るか。奇遇だな」

「ハッハッハー、まあ行き先同じですしねー。集合時間も割とギリギリですけど、これなら遅刻しても責任は四等分ですね! そしてヤッホー公平さん、こないだぶりー!」

「間に合うだろう、さすがに……というか遅刻は遅刻、責任はそれぞれ一人ずつに同じだけ問われるものだ。人数が増えたからと増減などすまい」

「ファファファ! まあアーデルハイドはそもそも遅刻くらいじゃ気にしないでしょうけどねえ。なんせ本人が割合遅刻魔ですし……と。公平ちゃん、なんか久しぶりだねえ。元気そうで何より」

「ヴァール? それにエリスさん、マリーさん!」

 

 ふう、と一息ついたところで、すぐに声をかけられそちらを向いた。座席に三人、並んで座る美少女二人に御老人一人。

 いずれももちろん、俺の知り合いだ。

 

 精霊知能ヴァール。初代聖女エリス・モリガナ。そして元S級探査者マリアベール・フランソワ。

 まさにこれから向かうアーデルハイドさんとの面会において、ご一緒する三人がそこにいたのだ。




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