攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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とにかく直感的らしいぞ、三代目聖女様!

 乗った電車に偶然いた知り合い三人、ヴァールとエリスさんとマリーさん。言わずもがな世界トップクラスの探査者さん達で、彼女らもこれからダンジョン聖教施設へと向かうところだったらしい。

 もっと早めに行ってるもんかと思ってたけど案外ギリギリなんだなあ、俺ちゃんと同じタイミングなんて。

 

「みなさんお疲れさまです。えーっと、割とギリギリなんですね。俺も急ぎ気味だったんですけど、御三方もってのはなんだか意外というかなんというか」

「ファファファ! まあ私らも普段ならもうちょい早く出るんだけどね。今回はほら、アーデルハイドのやつと面会だろ? あいつ相手にそう気負う必要もないさねってことで、ちょっと遅めに出たんさね」

「マリアベールはともかく、ワタシはエリスに止められたのもある。どうも昔からアーデルハイドから嫌われ気味なものでな、あまり早く行っても気まずいだろうということらしい」

「えぇ……?」

 

 怖ぁ……アーデルハイドさんの前評判が実に微妙だ。

 マリーさんからの扱いもなんだがぞんざい気味なら、ヴァールに至っては嫌われてるから気を遣ってる感じの言葉まで出てきた。

 そんな悲しい気の遣い方する必要があるくらいって相当だよ、ちょっと。

 

 どういうんだろう? アーデルハイドさん、相当エキセントリックな人だったりするのかな。

 にしてもヴァール相手にバチバチっぽいのはすごいというか、聖女って意外とWSOと相性悪いのかなってちょっと思っちゃわなくもない。出会った当初のシャルロットさんや、アレクサンドラなんかも敵対的だったもんなあ。

 

 そのへんどうなんすか初代聖女様。

 エリスさんを見やると、彼女は苦笑いとともに頭を掻いて、しかし相変わらずのノリの軽さで答えてくれた。

 

「公平さんの物言いたげな目線いただき! なんちゃってーハッハッハー。まあアレだよ、アーデルハイドくんはちょっとこう、いろいろ直感的でさ」

「直感的? と、いうと」

「一目相手を見た時点で、自分とソリが合うか合わないかを悟っちゃってる節があるんだよね彼女。マリアベールからはハラスメント系先輩の予感を覚えて即座に距離を取ったし、ヴァールさんからは得体の知れないナニカを感じて嫌いというか、苦手になっちゃったんだってさ」

「…………それ、は」

 

 直感的。アーデルハイドさんは半ば本能で相手とのファーストインプレッションから感じたものを素直に受け取り、それを基準に対人関係を構築しているのか。

 一般的には少しばかり早計というか、短期にも取られかねないやり方だけど……マリーさんはともかく、ヴァールに対しての感覚は割と的を射ているっぽいのが気になるな。

 

 ソフィア・チェーホワの裏人格。厳密にはソフィアさんこそがヴァールに取り憑いているってのが正しいんだけど、そこをあえて自身が裏側に回ったヴァールの本質はやはり、どこまでいっても精霊知能だ。

 つまり人間の魂をしていない。そこを本能的に感じ取っての"得体の知れないナニカ"というのであれば、それはさすがに否定しがたいまさにドンピシャ真実だろう。

 

 仮に、初めて会った時からアーデルハイドさんがすでに、そこを見抜いたうえで言語化できない違和感をもって嫌いだと断じたのであれば──ヴァールには悪いけどすさまじい直感力だという外ない。

 マルティナ・アーデルハイドさんか。あるいはこれから初めて会う俺にも、何かを感じ取れたとしたら本物だろうな。

 

「誰がハラスメント系なんだか。ったくあの小娘と来たら……まあ若い頃にいろいろやってたのをアイツもいくらか近くで見てきたろうけど、基本後輩にゃ優しい質だって分からんもんかね」

「ハッハッハー、気に入らなければ誰にでも殴りかかってた元狂犬がなんか言ってるー」

「後輩には優しかったのはたしかだが、裏を返せば後輩以外には優しくなかったということだからな。ほぼ初対面のワタシやエリスに即座に食ってかかってきた65年前のお前のことは、今でもよく覚えているぞ」

「ファファファ〜、なんのことだか〜」

「怖ぁ……」

 

 謂れなきハラスメント系認定を受けて心外そうに呻いたマリーさんだけど、若き日の姿をよく覚えている先輩二人に即座に揶揄われて明後日の方向を向いて笑い始めちゃった。

 前から何度か聞いてたことだけど、マジでこの二人にも喧嘩売っていったんだね若い頃のこの人……65年前、第四次モンスターハザードにおける伝説の一幕ってところかな。

 

 そしてアーデルハイドさんは、そういう気質だった頃のマリーさんを見て自分には合わないと判断して距離を置き気味になったってところか。

 これについては、まあ……リア充パリピ陽キャを見た時の俺みたいなもんだと思えばまあ、分からなくもないかも。

 

 もちろんその人やその気質に問題があるわけではないんだけど、どうしても合わなさそうだしせめて近づかないようにしておこうって心理はたしかにある。あるのだ。

 そう思うとなんかアーデルハイドさんに親近感さえ湧いてきた気がするよ。いや話を聞くに向こうは向こうで結構気難しそうな人だし、俺とも合わない可能性のほうが高いんだけどね。




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