攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
ダンジョン聖教の教会内、講堂にて再会するS級探査者三人衆。サウダーデさんにベナウィさんと、世にも名高い大探査者の方々だ。
こちらのヴァール、エリスさん、マリーさんも併せると冗談抜きに豪華メンバーすぎてヤバい。具体的に言うとぽつねんと交じっている一部でのみ祭り上げられているカルト宗教の救世主が浮きまくっているんだよね怖ぁ……
でもそういうのは抜きにしても、俺にとっても尊敬している素晴らしい先輩であり友人である方々だ。
近寄り、軽く握手を交わす。年端もいかない俺相手にも、お二人は気さくに話しかけてくれていた。
「文化祭ぶりかな、公平殿。その節は素晴らしい催しに招いていただいた、改めて礼を言うよ。ありがとう」
「こちらこそ、あの時はお付き合いくださってありがとうございました! もちろんベナウィさんも、お変わりなくお元気でしたか?」
「ええ、もちろん。久しぶりに師匠やマリアベール様をも交えて酒を楽しむ日々ですとも」
「ベナウィときたら、久しぶりに家族から離れての来日だからってずいぶん羽根を伸ばしているんだ。かく言う俺も、太平洋にはない日本のグルメや酒をそれなりに堪能させてもらっているよ」
「そ、そうなんですね。まあその、お酒はどうかほどほどに……」
最後に会ってから概ね一ヶ月とかそのくらい? なのでまあそこまで間が空いたわけでないものの、依然変わりなく元気そうなのはひとまず安心って感じだ。
でもベナウィさん、相変わらず呑兵衛すぎてそこはちょっと不安だなあ。何しろこの人、ミュトス並に酒飲みなイメージがあるからね。
大体気がつけばいつも酒を飲んでいる、実際は決してそんなことはないんだけどどうも印象が強い。それがベナウィさんだ。
なんなら師匠のサウダーデさん、そのまた師匠のマリーさんも結構飲むからね。
いやマリーさんについてはミュトスともどもリーベとヴァールの目があるから酒量に気を遣っては居るはずだけど。
まあ、さすがにそうそう問題になるほどの飲み方はしてないんだろうからそこは心配し過ぎもよくないか。
「それで、今日のメインがミスター・公平とミセス・アーデルハイドの面会でしたね。あの人もすでにこの教会におり、ミス・シャルロットやミス・神谷と一緒に応接間にいるみたいですよ。もうすぐにこちらに来るでしょう」
「あ、そうなんですね。まあ、メインってことはないでしょうけど。たしかに名指し喰らいましたけど、ちょっとした興味本位でのことでしょうし」
「うん? ……どうだろうな、そこは。アーデルハイドさんは度々太平洋に来られていて俺も多少面識はあるが、良くも悪くも裏表ない一直線な方だ。公平殿に興味を持って会いたいと言ったのであれば、本当にそのためだけに来日してきたとておかしくはないだろう」
「あー、そうですねサウダーデさん。アーデルハイドくんは昔から、神谷くんとはまた別の方向でまっすぐ目的に向かって邁進するタイプですからねーハッハッハー」
「えぇ……?」
なんでだよ。サブっていうか横道でいいよ俺のことなんか別に。良いじゃん古馴染みのみなさんとの再会がメインで。
ベナウィさんばかりかサウダーデさんもエリスさんも、アーデルハイドさんが来日した目的がまるで俺を直接的見ることにあるみたいに言うけどシンプルにおっかないよ。
だってその方、往年は能力者犯罪捜査官でもないのに世界各地のワルを神谷さんとしばいて回ってたって超武闘派聖女さんでしょ?
しかもマリーさんとも互角レベルの剣士だったってんだから、そんな方に目をつけられたとか端的に恐怖でしかないもんよ。
こちらとしてはできる限り無難にスムーズに、こうヌルッとご挨拶してヌルッと後は同窓会でもしてもろてーくらいの感覚でいるんだけども。
そのあたりのことをそれとなく、オブラートに包んで言うと、何やらヴァールに肩をポン、と叩かれた。
若干気の毒げな様子でこちらを見ている。なんだよう。
「山形公平……彼女の気性からして、まず間違いなく今回の来日の目的はシャルロットとあなただ。前者は言うまでもなく第八次モンスターハザードの顛末を受けての会談だな」
「ああ、まあそこはな? ダンジョン聖教もだしシャルロットさん自身も、先達の歴代聖女さんからのサポートやフォローは受けたほうがいいだろうし。でも俺に関しては」
「そのシャルロットを救い、神谷に認められ、エリスとも懇意な挙げ句アレクサンドラを追い詰めた新人探査者。アーデルハイドが直に会って確認したがるだけの条件は、十分すぎるほどに整っている」
「そ、そう言われちゃうとなんも言えないんだけどさあ」
「まあ、悪い人間ではないことは保証する。ただ少し直感的な好き嫌いが激しいだけで、聖女に相応しい人格者ではあるよ。基本はな……」
怖ぁ……何か含むものがありそうなの止めてよ!
基本的には悪い人じゃなくて聖女らしい人格者らしい、基本的には。そんな思わせぶりなことを告げるヴァールは、先ほど聞いたところだとその人格者さんに嫌われてるじゃないか。
どうも直感で魂とかの違和感を見抜いてくる人らしいし、ヴァールがダメなら俺もどうだか。
そのへんの不安もあるんだよなあ。まあ、揉め事とかになるのは周囲の方々が抑えてくださるだろうからそこは心配してないけどもね。
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