攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
──と、話し込んでいるとオペレータが数人、近づいてくるのを感知する。元々この教会内の別の部屋にいたのは分かっていたけど、それがこちらに来るみたいだ。
シャルロットさん、神谷さん、アーデルハイドさんだろうけどプラスしてもう何人かいる。おそらく護衛の騎士さんとかかな? 聖女ったら要人だものな、御本人さんらが強くたってSPさんもつくもんな。
そうして実際に見えてくるその人達。俺とそう変わらない法衣の少女が一人と、落ち着いた色合いの服のおばあさんがまず先頭切ってやって来た。
ダンジョン聖教七代目聖女、シャルロット・モリガナさんと五代目聖女、神谷美穂さんだ。
「みなさま、お待たせいたしました。ダンジョン聖教七代目聖女、シャルロット・モリガナです。本日は急なお呼び出しにもかかわらず快く応じていただき、まこと感謝の言葉もありません」
「同じくダンジョン聖教五代目聖女、神谷美穂。三代目様の無理無茶極まる要求に振り回してしまい申しわけありませんでした。みなさまにおかれましては、ご壮健のようで何よりです」
「シャルロットさん、神谷さん」
「ハッハッハー。時間ピッタリだね、グーッド!」
待ち合わせの時刻である14時30分、ジャストピッタリに姿を見せた顔見知りの聖女お二人の挨拶にこちらも会釈して返す。
特にエリスさんが相変わらずの軽いノリで、サムズアップなんかしちゃったりしてるね。
でもねこの人、誰あろう初代聖女なんだ。
ダンジョン聖教にとっては伝説どころか神話そのものの人である彼女がそういう振る舞いをしたってのは、余人ならともかく目の前の方々には大きすぎるものだったみたいだ。
シャルロットさんや神谷さんはおろか、後ろに続く騎士っぽい人達もすぐさま跪いてエリスさんを拝み始めてしまったよ。
「えぇ……? あ、あの。えーっと、君達?」
「我らが仰ぐべき偉大なる初代聖女様、お久しぶりにてございます」
「チェーホワ統括理事ならびにS級探査者の方々、そして山形さんにもご足労いただいたこと感謝に堪えませんが……とりわけやはり、初代様がお越しくださったことは我らダンジョン聖教にとりあまりにも喜ばしく祝福すべきことなれば。今まさにここに、四人もの聖女が集ったのです」
「おお、我らが聖女様方!」
「ダンジョン聖教に幸いあれ! 歴代聖女様方に祝福と幸運あれ!!」
「怖ぁ……」
他の何より真っ先にエリスさんを拝み始める光景に、なぜだろうあまりに既視感と親近感を覚えずにはいられない。これ見たことあるよここじゃないどこかで、そうだね伝道師以下救世の光の信者さん達だね!
やはりエリスさんも俺同様に神輿なのか……いや歴代聖女さん方もそうっちゃそうなんだけど、伝説とか神話に名を刻むらしい初代聖女さんはやっぱり扱いが違うや。
当のエリスさん本人はすっかりドン引きしてるけどね。
チラチラ俺なりヴァールなりに助けを求める視線を向けてくるけど、さすがにこればかりはダンジョン聖教内の話ですしおすし。
サウダーデさんやベナウィさんまでもが明後日の方向に遠い目を向けているほどだもの。俺にどうにかできるわけないじゃないの。
「ファファファ〜エリス先輩が本気で困らされる相手なんて、今じゃダンジョン聖教の取り巻き連中くらいさねえ。昔にゃラウラさんが似たようなムーヴかまして、その度に先輩が今みたいに苦笑いしてたっけねえ」
「ま、マリー……」
「そのへん、アンタだけはいつまでも変わらない温度感と距離感だねえ──アーデルハイド。エリス先輩を敬していないわけじゃないにしろ、やりすぎなほどにまでは敬わないスタンス。ったく、仮にも聖女経験者でそれなんだから、ある意味尖りすぎだっての」
「あはははははは! 人間尖ってナンボでしょう? と言いますか、少なくともあなたには何も言われたくないんですけどマリアベール先輩」
そんななか、マリーさんだけは気楽に笑ってシャルロットさん達側の一人、特に跪いてとかせず立ったまま、明らか面白がってこちらを見ている老年の女性に話しかけていた。
神谷さんと同じくらいかもうちょい上の年齢で、でも若々しくて溌剌とした雰囲気をしている。上質のローブに上からロングコートを羽織った姿は、長身なのも相まって歴戦の女武官ってイメージさえあるほどだ。
白髪を肩口で切り揃えた、穏やかながらも不敵に笑い声をあげるそんな老女はマリーさんにいきなり鋭く言葉を向けた。
怖ぁ……この方が、例の三代目聖女!
「今やすっかり人の良いお婆ちゃんって面しちゃって、結局70年も切った張ったした化物とも思えませんよ私には……と。みなさま申し遅れました、私は三代目聖女マルティナ・アーデルハイドです。すでに知り合いの方ばかりですがそちらの方、ええとシャイニング山形さん?」
「アッハイ。ええと厳密には山形公平ですけど」
「そう。山形さん以外とは大体知り合いなのでアレですが、どうぞ以後、お見知りおきくださいませ」
そのお婆さん、マルティナ・アーデルハイドさんは、そう言って主に俺を見据えて挨拶してきた。
屈託のない微笑みながらどこか、こちらを見定めるかのような眼差しだった。
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