攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

2156 / 2156
続々と大物が住み着くようになっていっているふるさと……

 結局、アーデルハイドさんとの面会もそこそこに終わって恙無く解散という形になった。

 初めてお会いして初めて会話したわけだけど、なんというかこれまでにないタイプの方で新鮮な刺激をもらえた気がしたよ。

 

 現地で解散したわけだけど、マリーさんやサウダーデさん、ベナウィさんはアーデルハイドさんや神谷さん、エリスさんとともに最寄りの居酒屋目掛けて直行していった。ある程度予想はしていたけどやはり呑みに行くらしい。

 マリーさんの若い頃の酒絡みでの行状を知っているからか、一瞬アーデルハイドさんの顔が盛大に引きつっていたのが印象的だったなあ。まあ、今はさすがに相当セーブして呑んでるから安心してほしいね。

 

 で、一方で帰路に着くのが俺、ヴァール、シャルロットさんだ。俺はもちろん自宅へ直帰、他三人は同じホテルに滞在してるとのことで、途中の駅まではご一緒する形になる。

 そしたら道中、シャルロットさんがいきなり謝ってきたからこれまた驚きだよ。

 

「山形さん、統括理事……三代目様が失礼なことをいろいろ言ってしまいすみませんでした」

「え? あ、いえお気になさらず、ホントお気になさらず。そんな頭なんて下げなくても、シャルロットさん御自身のことですらないのに」

「そうだぞ、シャルロット。ワタシも山形公平も本当にアーデルハイドの発言に思うところはないのだ。それにダンジョン聖教を担う立場とはいえ、君がそんなことまで背負う必要はない」

「しかし……いえ、ありがとうございます。お二人の寛大さに感謝いたします」

 

 どうやらアーデルハイドさんの発言が、彼女からするとずいぶん肝を冷やす程度には危なっかしいものだったみたいだ。

 まあ、それなりにザックリ斬り込んできたところはあるからそう思っても仕方はないか。

 

 だけど俺もヴァールも何一つ気にしていないし、あの人に対して何か嫌な気分になったとかもない。

 あそこまで自分の軸をしっかり持ち、自分なりの信念や思想信条からこちらを苦手と言うならばそれは尊重されるべきだと思うほどだ。

 

 そもそも、それを踏まえてなお公人としてはこちらに敬意を持って接してくださっていたのがあの人だ。そのスタンスを立派に思い尊敬こそすれど、どうして嫌うものか。

 ……今や弱冠14歳でダンジョン聖教を担う者として、七代目聖女としてシャルロットさんが気にするのももちろん分かるけどね。

 心配することはないと、言い聞かせるように彼女へと告げる。

 

「今日は俺にとっても素晴らしい出会いでした。何よりシャルロットさんに、神谷さんと並んであんなふうに傍にいてくれる人がいてくれるのがとても嬉しかったんです」

「山形さん」

「ヴァールの言うように、あなた一人でぜんぶ背負うことはありません。というかできませんよそんなこと、やったら潰れちゃいますし。頼れる人、近くにいる人に頼って良いんです」

「もちろん我々も、君が頼ってくれるならば可能な限り力になる。もうあと数年もすれば、ワタシやソフィア、エリスなどはこの近辺でのんびりしているだろうからな」

「引退……統括理事はもちろん、初代様も能力者犯罪捜査官を辞されるのですよね。以前、葵さんから聞きました」

 

 うなずくヴァール。シャルロットさんの言うようにソフィアさんやこの子のみならず、エリスさんまでもが能力者犯罪捜査官を引退するらしくて驚かされたのは、俺にとっても記憶に新しいものだ。

 先んじて弟子の葵さんともコンビを解消したからね……葵さんのほうはアンジェさん、ランレイさんとトリオを組んで今後活動するらしいけど、エリスさんはエリスさんでまた別のポジションに着くんだとか。

 

 同じく引退に向けて動いている、WSO統括理事の護衛。なんならお互いに引退した後も、一緒に俺の家の近くに住み着くとのことだ。

 ヴァールはしみじみと、暮れてきた空を見上げて感慨深げに語る。

 

「こんな日が来るとは、な。統括理事を引退することは邪悪なる思念を撃退した時点で、いいやソフィアとワタシがWSOを立ち上げた時から当然織り込み済みだったが……そこにエリスまでもがいてくれる。しかも、そこから先の暮らしにも付き合うというのだから」

「ビックリだよなあ。エリスさんが引退するってのもだけど、お前と合流して今後活動をともにしていくってのもさ」

「ダンジョン聖教としましては、聖都モリガニアにこそお住みいただきたい気持ちはありますが……さすがにそれは高望みというものでしょうね」

「さすがに勘弁してやってくれ、それは。モリガニアは今となっては一大宗教都市だが、元はエリスの故郷、かつては小さくとも温かで長閑な村だったのだ。何かにつけ過去を想起させられては、あの子の心に悪い」

「それは、そうだろうなあ……」

 

 難しい話だ。そもそも自分の生まれ故郷がいつの間にやら、自分を神輿にした宗教の一大都市になっているシチュエーションがまず意味不明だし。

 もはや面影一つないんじゃ、仮にふるさとに戻ったって昔年と比較してしまって苦しくなることもあり得るだろうしなあ。

 

 ……ないとは思うけど、将来俺の今いるこの町が救世の光の都市とかって扱われだしたらどうしよう。

 そんなことも考えちゃって、なおのことエリスさんの複雑な立場が我がことのように思える俺ちゃんであった。




【ファンボックスやってますー】
https://tentacle-claw.fanbox.cc/
限定スピンオフ「日々是好日、大ダンジョン時代」と無料で設定とか裏話とか見れますー
ソフィア、ヴァールとエリスのほのぼのライフですー(*´ω`*)

「大ダンジョン時代クロニクル」
https://syosetu.org/novel/362785/
第三部・第三次モンスターハザード前編─黄金の胎動─
連載始めました!
よろしくお願いしますー

「大ダンジョン時代ヒストリア」完結!
https://syosetu.org/novel/333780/
よろしくお願いいたしますー

「攻略! 大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」コミカライズ発売中!
ぜひともみなさまお求めよろしくお願いしますー!

コミカライズ版スキルがポエミーも好評配信中!
下記URLからご覧いただけますのでよろしくお願いします!
 pash-up!様
 ( https://comicpash.jp/series/d2669e2447a32 )
 はじめ、pixivコミック様、ニコニコ漫画様にて閲覧いただけますー!
 
 加えて書籍版1巻、2巻も好評発売中です!
 ( https://pashbooks.jp/tax_series/poemy/ )
 よろしくお願いしますー!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

芸術的で文化的な異世界生活を目指して(作者:生しょうゆ)(オリジナルファンタジー/日常)

異世界に転生したからといって冒険する必要はない。▼転生者ジョット・ブレイクはそう考える。別に自分は戦いたくもないし苦労したくもない。好きな時間に起きてオペラなり博物館なりを見に行く生活が理想である。その横にこの世で最も美しい少女を侍らせれば、そこは地上の楽園だろう。▼しかし現実は厳しいのだ。魔術の才能があったばかりに帝国学院に通わされるし、絵画や彫刻を手に入…


総合評価:28205/評価:8.96/連載:81話/更新日時:2026年08月22日(土) 18:37 小説情報

現代ダンジョン発生初日。世界がパニックになる中、俺だけが攻略wikiの知識で最強ビルドを試している~将来のSSS級探索者? ああ、全員俺の弟子です~(作者:パラレル・ゲーマー)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

ある日の朝、世界各地に「ダンジョンゲート」が出現した。 自衛隊が出動し、人々がパニックに逃げ惑う中、35歳の社畜サラリーマン・八代匠(やしろ たくみ)だけは、震える手で歓喜していた。▼「間違いない。ここは、俺が死ぬほどやり込んだ神ゲー『ダンジョン・フロンティア』の世界だ!」▼初期の混乱期(黎明期)こそが最大のチャンスだと知る彼は、すぐさま会社を辞め、脳内の「…


総合評価:6348/評価:7.66/連載:149話/更新日時:2026年04月05日(日) 22:42 小説情報

全員覚悟ガンギマリなエロゲーの邪教徒モブに転生してしまった件(作者:へぶん99)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 正教徒vs邪教徒で争ってるファンタジーなエロゲーの邪教徒モブ側に転生したらしい。▼ ただし、戦いに勝つためならガチで何でもやってくるガンギマリな奴らしかいない模様。▼ 俺の人生終わってるかもしれねぇ。▼*2026年1月20日より書籍版第四巻発売中!▼*2026年7月5日よりチャンピオンクロス様にてコミカライズ版配信中です!毎月第一日曜日更新となります!


総合評価:27097/評価:8.55/連載:139話/更新日時:2026年08月27日(木) 21:02 小説情報

【完結】俺は死んだはずだよな? (作者:破れ綴じ)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

「なのになんで生きてる? しかも全く違う体で?」▼ *▼ 処刑された盗賊崩れの男アシェルが、何故か全く知らない肉体・全く知らない場所で目覚めて、何とか生き延びるために奮闘するお話です。その過程で色んな人の脳を焼いたり、因縁を作っていったり、修羅場に巻き込まれたりします。▼ 全10章100話完結+おまけ20話+設定です。


総合評価:10309/評価:9.09/完結:121話/更新日時:2026年06月24日(水) 12:15 小説情報

全滅エンドを死に物狂いで回避した。パーティが病んだ。(作者:雨糸雀)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

 ――だからさ、別に片目片足くらいどうってことないって。俺は平気だから。大丈夫だって見捨てないから。償いとかそういうのもいいから。すべて捧げるとか言われても困るから。重い。重いってば!!▼■カクヨム様とマルチ投稿▼■11/26 コミカライズ連載開始▼■11/29 書籍3巻発売


総合評価:65304/評価:9.14/連載:63話/更新日時:2026年07月08日(水) 07:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>