攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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バカップルには勝てなかったよ……

 梨沙さんはやはりギャルママJKやったんや! ……という、春香からの毒電波を受信したかのような感想を抱きながらもいざ、レースゲームへ。

 最大四人対戦につき、あと一人は遠野さんが入っての四つ巴戦となる。とりわけやはり俺と松田くんと片岡くんの男子勢の争いが今回の勝負の見どころだろう。

 

 筐体の、なんか運転席みたいなシートにそれぞれ座ってゲーム開始だ。やるぜやるぜ俺はやるぜ、今回ばかりはトップスピード山形くんになるぜ。

 リアリスティー・トップスピードさんに聞かれたらものすごく良い笑顔で啓蒙されそうな意気込みでことに臨めば、ほかの三人もみんな意気軒昂に闘志を燃やしているのが見えた。

 

「思えばお前らとは長い……わけでもない付き合いだが、とうとうここらで雌雄を決することになるぜ。まあこのグループのリーダーったらやっぱ俺だし? 勝つのもまあ、俺じゃね?」

「リーダーが最強でなければならない理由もないだろ。その理屈で言うならうちの学校の最強は校長先生ってことになるぞ。いやまあ、話の長さは最強だけど」

「酷かったね、今日の終業式も……それはともかく片岡くんの言うとおり、リーダーは松田くんかもだけど速さはわからないからね。負けないぞ!」

「お腹すいた……これ終わったらちょっとフードコート行かない?」

「怖ぁ……」

 

 男衆ときたらすっかり芝居がかっているわけだけど、それはそれとして校長先生のお話は長かった。本当に長かった。そして遠野さんの食欲もすごい、本当にすごい。

 焼肉まであと二時間ほどだって言ってるのに執拗に間食を狙うのシンプルに怖いんだよね、これがプロのフードファイターかぁ。

 

 一同、遠野さんの食欲と校長先生のお話の長さについ想いを馳せつつもいよいよゲームスタートだ。カウントが始まり、アクセルを吹かしていく。

 そして号砲、すぐさまスタートダッシュ! タイミングはバッチリでいち早く抜きん出たものの、松田くんや片岡くんも負けじとスタートダッシュを決めてくる!

 なんなら遠野さんだって追いすがってくるほどだ、さすがにやり込んでるゲームだけあってみんな、お早いなー!

 

「頑張って、公平くん!」

「松田も負けんなー。あ、でもいいか別にこいつは負けても」

「はあ!? なんでだよ木下ぁ!!」

「なんかグループリーダー気取ってんのがシャクだし。そりゃなんとなく顔役なのは認めるけど、自分で言うなってーの」

「ぐうの音も出ない正論! 調子乗ってごめんなみんなぁ!!」

「いいよ別に!?」

 

 後ろからの声援を受けつつ、木下さんと漫才する松田くんに若干ニヤニヤしつつ。しかしてゴール目指して駆け抜ける俺と片岡くんと遠野さん。

 慣れたハンドル捌きだもんで、結構いい塩梅にリードできているのが今の俺だけどその瞬間、ゲームの流れにも変化が見えてきた。

 

 片岡くんがブーストアイテムを得て一気に加速したのだ。しがそれを追おうとすると、タイミング悪く遠野さんの操作している車とぶつかりお互い足を引っ張られる形で減速してしまう。

 うわ、やられた!? あっという間に抜き去られて、そのままゴールまで駆け抜ける片岡くんだ。

 

「遠野さん、まさかのアシスト!?」

「全然そんなつもりは……ごめんちょっとあるかも! 片岡くんだけ応援されないのってちょっとアレだし。た、他意はないけどね!」

「あ、ありがとう遠野……? な、なんかごめん山形。たぶん勝っちゃうわ、俺」

「別に良いよー、ナイス片岡くん!」

 

 もはや他意しかないやんけ! と、片岡くん贔屓の遠野さんがアシストしてきたのを受けて思わず砂糖を吐きそう。

 見ました? こちらのお二人さんは普段からちょくちょくこんな感じで互いをフォローし合ってるんですことよ。もはや付き合ってないのが不自然なほどのラブラブさん達じゃないか。

 

 見れば松田くんも木下さんも苦笑いしてるし、梨沙さんなんか呆れ返ってるほどだ。よっぽどでしてよこんなもの。

 結局片岡くんがぶっちぎり1位で俺が2位、遠野さんが3位の松田くんがビリという結果に。松田くんはアレだね、木下さんとのやり取りでペースを崩した感が強いよ。こっちもこっちで砂糖を吐きそう。

 

「公平くん、お疲れ様! なんていうか……真知子すごいね、いろいろ」

「ありがとう、あははは。片岡くん絡みになるとなんだかんだとすごいよねえ、彼女」

「松田ー、罰ゲームとしてジュース奢れー」

「邪魔したオメーも金出せよ木下ぁ!」

「あー、ありがとうな遠野。おかげで勝てたよ」

「えへへへ! い、いつも助けてもらってるしこのくらいはね! あはは!」

 

 ゲームを終えて席から離れると、俺のところに梨沙さんがやって来て労ってくれた。

 遠野さんのまさかの片岡くんフォローには思わず笑っちゃったけど、裏を返せばそれだけ彼を想っているってことなんだろうから微笑ましくもあるよね。

 

 松田くんと木下さんも相変わらず丁々発止のやり取りで、なんだかんだと仲睦まじくてご馳走様だよ。

 気付けばどことなく甘酸っぱい匂いが二組から醸し出されていて、俺と梨沙さんは遠い目をするやら顔を見合わせて笑い合うやらなのでした。




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