攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
レースゲーム後もいろいろ、音ゲーとかメダルゲームなんかも楽しむ俺達。毎回何人かがプレイしてその後ろから残るメンツが応援しながら観戦するって感じなんだけど、これが普通に楽しかったりする。
正味、自分でプレイするより後ろから見てるほうが性に合うんだよね。そもそも対人ゲームが苦手というのもあるし、嬉しそうに楽しんでいる人を見るのが好きだっていうのもあるのだ。
「よーっし来た来た、メダルゲーット! ふふん、見たかしら松田! これが本当のゲーマー様の実力なのよ」
「うわうっぜ勝ち誇られてる。お前、俺がさっきのレースでビリッケツだったからってマウント取るなよなあ」
「別にぃ? そんなつもりありませんけど。でもなんかグループリーダー気取った挙げ句ドヤ顔で最速がどうとか片岡くんや山さんに仕掛けといて即わからせられてんのオモロってなっただけですー」
「オモロってなってんじゃねーか!」
今はなんかすごく大きい、複数人で囲んで座ってメダルの山を何やらやり取りするゲームを木下さんと松田くん、遠野さんに梨沙さんが遊んでいる。
そしてそれを俺と片岡くんがしげしげと眺めている構図になるね。他にも老若男女問わずいろんなメダルゲームに参加していて、繁盛しているのが窺えるよ。
まあ、実のところメダルゲームはよく分からないので今、みんなが何をどうしているのかも全然ピンと来てないんだけどね。
これは片岡くんにしてもそうだし、なんなら流れで参加してる遠野さんなんかもちんぷんかんぷんでとりあえずメダルを適当にぶっこんでいらっしゃるよ。
「うーんなんかよく分かんないけど、とにかく楽しそうなら良いよね!」
「……ああ、そうだな! 正直このコイン集めて何がどうなるのかも把握できてないけど、なんか楽しそうだしそれだけでもいいよな!」
全然分かんないけど、なんか筐体がやたら派手に光ったり液晶に演出動画が流れたり音がしたりしてるから楽しそうだし良いかあ! と、後方から二人で腕組みして満足げに笑っておく。
良いんだよこういうのはノリで。楽しめればそれで勝ちなら、なんとなくでも乗っかっとけば良いのである。
なんならさっき俺を応援してくれていた、梨沙さんのすぐ近くで見てるのも楽しい。ギャルらしいのかそうでないのか、こういう時には存外はしゃぐところがあるからね、彼女。
今もどうやらメダルをいっぱい稼げたみたいだ。満面の笑みで俺に振り向いてきている。かわいい。
「公平くん! なんかよく分かんないけどいっぱいメダル取れたよ、いぇーい!」
「いぇーい! ていうか梨沙さんもなんかよく分かんないんだ!? 前にも何回かやってなかったかなこの手のゲーム!」
「えへへ、いつも適当なの。基本クレーンゲームばっかだしね、私。でも今日はさすがに、ぬいぐるみとか抱えて焼肉屋さんに行くのもねー」
「ああ、まあねえ」
ここにもなんかよく分かってないギャルがいた。事実上、どうもルールをきちんと理解して遊んでるのが松田くんと木下さんだけっぽいみたいだよ、怖ぁ……でも楽しいからまあいいよね。
ちなみに今彼女も言ったとおり、普段遊ぶのは基本クレーンゲームばかりな俺ちゃん達だ。特に梨沙さんはぬいぐるみとかを目当てにしがちなんだけれども、今回はこれからクラスの打ち上げで焼肉だからね。
さすがに匂いが染み付きそうなぬいぐるみは取りづらいか。
そんなこんなで遊ぶ俺達だけど、そうこうしているうちに良い時間になってきた。16時30分を過ぎたあたりで、もうぼちぼち店に向かうとちょうどいい頃合いに辿り着けるだろう。
おそらくクラスメイトもいるだろうからね。ということでゲーセンを離れていざ、打ち上げ会場へと向かうことにしたのだ。
「あー、楽しかった! いやメダルゲーム良いなあ、よく分かんねーけど!」
「ホントね、夢中になれちゃうわ! よくわからないけど!」
「え……松田くんと涼子もよく分かってないのにやってたの!? あんな熱中して!?」
「事実上誰一人なんにも理解せずメダルをあーだこーだしてたのか……」
「えぇ……?」
怖ぁ……最低限一番はしゃいでた松田くんと木下さんだけはゲームのルールを把握してるとばかり思っていたのに。
その二人すら知らなかったらもはやこのグループ、よく分からないゲームをプレイしている自分達にはしゃいでただけの珍奇極まる集団だったんじゃん。
いや楽しかったから別段それはそれで良いんだけれど、なんだか狐につままれたような感覚である。みんなして顔を見合わせて笑う。
きっと将来、大人になってもこんなふうに集まった時、今日のこの時の話をして同じように笑うんだろうな。そう考えると、これも一つの良い思い出だよ。
「あはは、何やってんだろうね私達! ……よーし、そろそろ行こっか、お店」
「笑いすぎてお腹ペコペコだよー。焼肉、焼肉、待ちに待った焼肉!!」
「あんた笑う前からずっとお腹ペコペコでしょうに」
「んでもたしかに腹は減ったぜ! 今日は食うぞぉー!」
楽しくおしゃべりしながら、夕暮れにさしかかり赤く染まり始めた空の下を歩く。
最高の友人達と一緒に、俺もまた程よい空腹を覚えつつ焼肉屋さんへと向かっていった。
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