攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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同じ話を2話分投稿していたため、急遽ですが今日だけ2話分投稿しますー
失礼しましたー


忘れちゃいけない、焼肉は野菜も主役

 十分に熱の通った金網に、まずはタンを数枚並べる。すぐにジュウジュウと肉の焼ける音が心地よく鼓膜を揺らす様は、否応なしにこれから始まる魅惑の宴への期待を膨らませてくれる。

 その間、隣で梨沙さんがいそいそと俺と自分の分、肉の受け皿とお箸を用意してくれていて助かるよ。もちろんタレも三種類、焼肉タレと胡麻塩タレとレモン汁とあるね。

 

「ありがとう梨沙さん。タンは割合すぐ焼けるからね、もう少しだけ待っててよ」

「お野菜も焼くね公平くん。肉ばっかりだと栄養が偏るし、バランスよく食べようねー」

「夏の時もそうだったけど、佐山がやたら山形に甲斐甲斐しくなるよなあこういう時。おーい木下、肉焼いてくれー」

「自分で焼け! ったく……あんたこそ山さん見習いなっての。梨沙に尽くされるだけじゃないんだから」

 

 夏に行った打ち上げの際は、なんだかすっかり梨沙さんにお世話されっぱなしだった俺だけど今回はしっかり焼くのも頑張るぞ。やってもらいっぱなしは申しわけないからね。

 彼女も彼女で相変わらずのギャルママJKぶりで、何やら俺の食事バランスを考えてか野菜盛りを順番に焼き始めているよ。それを見た対面の二人、松田くんと木下さんがお互いに肩を寄せ合いながら言い合う始末だ。

 おーい、こっちを出汁にしていちゃつくのやめてけろー。

 

 他方、隣のテーブルでは案の定だけどフードファイトが始まりつつある。遠野さんがすさまじい勢いで金網に肉を並べ始めたのだ。

 なんなら焼く必要がない品──一品料理とか生野菜サラダとかスープとかそのへん──を先んじて頼み、肉が出来上がるまでにもうすでに食べ始めているよ。

 もはやわけがわからない。

 

「いただきまーす! がぶがぶむしゃむしゃ! 美味しいー!」

「いっぱい食べろよ遠野。肉、いい具合のところで皿に寄せとくからな」

「えへへ、ありがとう片岡くん! 片岡くんもいっぱい食べてね!」

「ああ」

「…………なんか、すくすく育つ娘を愛でる父親みたいだな」

「改めて間近で見るとやばいわねー、遠野さん……」

 

 こちらもこちらで甲斐甲斐しく肉を焼く、片岡くんの姿がもはや父親か保父さんだ。慈愛あふれる眼差ししてるから余計にそう見えるんだろう。

 二人と同じテーブルにいるクラスメイトのお二人さんも、若干引きつつコメントしてるし。もしかしたら夏の時の俺ちゃんと梨沙さんもこんなふうに見られていたのかもしれないと思うと、なおのこと今回はしっかりお返しするぞって気にはなるかなあ。

 

 と、タンがいよいよ焼けてきた。受け皿にまとめて乗せて、さらに新しいのを金網に投入。

 焼けた肉は梨沙さんと半分こだ。野菜もピーマンとかタマネギが焼けたため、そちらもお皿に盛り付けるよ。

 

「よし、とりあえずこのくらいか。ささ、食べよう食べよう」

「うん。いただきます」

「いただきまーす。まずはタンと来たらレモン汁、と」

 

 いただきますと手を合わせてから、まずは脂滴るいいお肉がしっかり焼けたタンを自分の皿にいくらか乗せて食べる。

 レモン汁に軽くつけて頬張れば、すぐさま広がる濃厚な肉汁の旨味。舌の上で広がるその味わいに、レモン汁のさわやかな酸味が合わさっていく。

 

 弾力も素敵だ。コリコリしたような、けれど柔らかなその食感は噛めば噛むほど味わいが染みていく。

 美味い……! 空腹も合わさり、至福が訪れているかのような極上の心地。そこに加えて頼んでいた白米なんかも少し口に含むと、もうたまらない!

 

 

『ふ、ふふはははははっ!! 素晴らしい! この味、食感に香ばしさ! レモン汁というチョイスも最高だ! 何考えたら肉に果汁つけて貪るなんて発想するんだこの世界! ただ焼いて食うだけでは済まない技術の深淵、文化の最奥をここに垣間見る心地だよ!!』

 

 

 脳内のアルマさんもすっかり昂り高笑いしちゃってるよ。気持ちは分かる、そのくらい脳の髄まで旨味が刻まれちゃうもの。

 おっと野菜ももちろんいただくよ。焦げ付かない程度によく焼けたピーマンとタマネギを、それぞれタレにつけてこちらも食べる。

 

 火が通って温かく、シャキシャキした食感のそれらをタレの濃厚で濃い味付けで食べるのも焼肉ならではだ。

 歯応えもよく、噛めば甘みや苦みがタレに絡まり相乗効果で互いの旨味を引き立て合う。青臭い風味もいい。思うにピーマンって、焼肉でこそ輝きを放つお野菜さんだと思うんだよね個人的に。

 

「美味しい……! んー、最高だね!」

「そうだね梨沙さん! ああ、どんどん焼こうどんどん焼こう!」

「タンが終わったら次、ロースにしよっか。トウモロコシとかシイタケ、エリンギなんかも焼こうね」

 

 感無量の味わい。今年一年いろいろあったけど、そうしたアレコレでの疲れもまとめてぶっ飛ばすようなエネルギッシュな幸福に梨沙さんと二人で浸る。

 終業式を終えた日、今日から冬休みだということでテンションが高いのもあってどんどん焼いてどんどん食べちゃう勢いだよ。

 

 次に焼いたタンも出来上がりかけだし、そしたらお次はロースにお野菜、キノコ類も入れちゃおう!

 始まったばかりの焼肉を、ペース配分など考える間もなくとにかく楽しみまくるぞ!




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