攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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二学期が終わり、そして年末年始が近づく……

 はー、食った食った。話もそこそこに焼肉やらお野菜やら米やらサンチュやら食べまくってたら、もうすっかり宴も終了間際な時間になった。

 もうすっかり満腹だよ、だってマジで食ったもの俺。普段の倍は食べたもの俺。

 

 こりゃあ相当なカロリーになったし、しばらくの間は気合い入れて探査しないとさすがにプクプク山形くんになりかねないぞ。内心ちょっとした危機感をも抱く、本当にそのレベルで食べたのだ。

 隣で、控えめながらそれなりの量を食べ終えた梨沙さんまでもが目を丸くしているよ。ちなみに関口くんは各席を回って挨拶というか、話をしにいっているので既にここにはいないね。

 

「わわ。公平くん、すごく食べたね……真知子みたい」

「いやー、焼肉なんてなんか久々なもんで、へへへ。あと遠野さんと同じくらいってのはさすがに過言だよ、彼女こそ本気でメニュー網羅したじゃん」

「まあね。てかそれで体型が変わらないのおかしくない? ちょっと世界の不思議っていうか神秘っていうか、理不尽なものを感じちゃうんだけど……」

「まぁ、ねえ……」

 

 梨沙さん直々に遠野さんみたーい! とお褒め……お褒め? お褒めかなぁ……なお言葉を賜るんだけど、ちょっと待って彼女は常に俺のはるか上を行く者。

 メニューを制覇してみせるというまさかの偉業を成し遂げているのが、何を隠そう彼女なのだ。

 

 もう何がなんだか分からないよ。梨沙さんばかりか松田くん、木下さんもとうの昔に食べ終えて、今は唖然としつつ彼女を見ている。

 まだ食ってんだよこの人、ギリギリまで攻めるとかいって。それお腹の容量がギリギリとかじゃなく、ラストオーダーの時間ギリギリまで攻めるって意味なんだろうね。

 もうあと数分だもんね。そろそろ来るかな店員さん。

 

「パクパクむしゃむしゃモリモリまるまる!! んー! 美味しい! やっぱりカルビは最高だね!」

「遠野、そろそろラストオーダーが近いぞ。締めのアイス、何にする?」

「んー、バニラで! えっへっへへへぇ……このお店、スイーツも美味しいから大好き!」

「はは、そうか。気に入ったならそれは何よりだ」

 

 猛烈な勢いで肉を焼き、タレをつけて頬張り白米をいただく。そんなローテーションでもう一時間以上もペースを落とすことなくやってきている彼女こそはまさにフードファイターだ。

 セコンドの片岡くんも、なぜだか慈しみとドヤ顔の混じった複雑な表情で甲斐甲斐しく遠野さんの世話を焼いている。

 

 なんか、地味にじっとりしてない彼?

 遠野さんが基本さっぱりした気質だし、まあお似合いと言えばお似合いなのかなあ。

 

 そして間もなくラストオーダーが来た。問題なく締めのスイーツを頼めば、ほどなくしてソレがやって来る。

 俺ちゃんも遠野さんに倣うわけじゃないけど、至ってオーソドックスなバニラアイスだ。冬場だけどこうやって熱いものを食べて温まった身体に通す、アイスクリームが堪らなく贅沢に感じるお年頃だよ。

 

 

『んんーっふふふん! 熱の通った脂が舌に残る口内に、まったく冷えた甘味を投入して終わりだなんてこの世界の食文化はまったくもう、最高にもほどがある! かつて食らったよその世界じゃ、こんな贅沢は最高権力者がどれだけ代価を支払ったってできなかったものだ! それがこうも当たり前に、なんなら自宅でも楽チンにできちゃうんだからすごいよ、本当に』

 

 

 散々肉食った後に頬張る、アイスクリームがもたらす多幸感とリッチさ、そして宴の終わり感はえも言われぬ風情があるよね。

 脳内のアルマも今回、最初から最後までご満悦で味覚を味わっていたな。まあ何よりなんだけども、せめて人が話してる最中はボリューム落とせよと言いたい。

 

 ま、賑やかなのは嫌いじゃないけどね。そんな打ち上げもそろそろ幕引きだ。他の席のクラスメイト達は言うに及ばず、遠野さんまできっちり箸やスプーンを手元に置いて食事を終える。

 さあ、最後にさやかちゃん先生からの一言でもって終わりだ。立ち上がる先生は、夏ほどへべれけではないもののそれなりに酔いが回っているみたいではあった。

 

「えへぇ……それではぁ、そろそろ打ち上げも終わりになりますのでご挨拶しまぁす〜。みなさーん、二学期も本当にお疲れさまでしたぁ」

「お疲れさまでーす!」

「みんなそれぞれ、とてもよく頑張ってましたね〜。学生として遊びや勉強もそうですしぃ、部活も、運動も……関口くんや山形くんにとっては、探査者活動も当て嵌まると思いますぅ」

「アッハイ」

「みんな、本当にお疲れ!」

 

 怖ぁ……急に名指しで来るやん。

 思わずアッハイとしか返せない俺ちゃんと異なり、関口くんがこれまた如才なくさわやかなスマイルで周囲に手を振ってるのがなんともらしいというか。さすがだよ。

 

 しかしまあ、本当にいろいろあった二学期だった。俺の場合は主に探査者方面だったけど、他の人達もみんなそれぞれ忙しかったり大変だったりしたんだろう。

 みんな、それぞれにそれぞれのタスクを負っている。人によって規模は違えど、かかる負担、重みはみんな等しく大変なんだ。それが誰しもにとっての、当たり前の日常でもある。

 

 やっぱり探査者としては、そんな当たり前の日常のなかでせめてモンスターやダンジョンに脅かされるようなことは防ぎたいって思いがあるからね。

 だから頑張るのさ。俺だけじゃなく関口くんだって、他のあらゆる探査者達だって。

 

「冬休みを超えた先ぃ、三学期にももしかしたらいろいろあるかもですけど……まずは二学期を無事に終えられたことを喜ばしく思いましょう〜! そして年末年始もみなさん、どうか怪我事故ないように過ごしてくださぁーい!」

「はーいっ!!」

「それではみなさん、お手を合わせてぇ〜ごちそうさまでした!」

 

 気持ちも新たにしつつ、さやかちゃん先生のスピーチに合わせて手を合わせ、店と食材、そして楽しいひとときへの感謝を告げる。

 ごちそうさまでした! 本当に楽しい打ち上げパーティーだったよ。




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