攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
倉庫内の整理とか仕分け、そろそろ大掃除とかも兼ねてやんないとなー! と思いつつも歩いて歩いて辿り着いたよ全探組施設。
寒空で、しかも今日はそんなに天気も良くなくて曇りがちななかをそれでも探査者のみなさんがそこそこいて、探査依頼を受けたりこなしたり報告したりしてらっしゃる。
そんななか、俺達三人はとりあえず談話室に行くことにした。いきなり休憩ッスか良いご身分ッスねと言われるかもだけど、さしあたりおかし三人娘からの連絡があるかちょっぴりだけ待とうかなって感じなのだ。
それに談話室に置いてある探査者用雑誌とか、アレ地味に読むの楽しみなんだよね。
なんていうか分かるかなー、自分で買うほどではないんだけれどどっかの施設で手持ち無沙汰な時、自由に読んでいい棚に置いてあったらつい読んじゃう感じのアレ。
地味に有名探査者さんのコラムとか載ってると気にもなるしね。なんなら以前、それら雑誌の表紙を香苗さんや宥さん、関口くんが飾ってたりしたもんで知り合いのお仕事を覗き見る感覚にもなったりして。興味深いよねーいろいろ。
「…………あ、ダンコちゃんゾーンだ。ちょっとなんか買っていこう」
「え。公平さん、アレのファンでしたっけ?」
「いや、特には。でも広瀬さんとアイの手前、なんだかスルーするのも気まずいなってこないだの話聞いて思っちゃって」
「あー、アイのやつにマスコットとしての人気を奪われちまったってヤツでしたっけ。でも元からンなモン大してなかったんじゃ」
「それ以上いけない」
談話室に向かう途中、全探組公式マスコットこと"ダンジョンコアのダンコちゃん"のグッズ物販ブースが見えてきたので立ち寄ることにする。
リーベにも言ったが別にファンじゃない。でもなんか、こないだおかし三人娘との探査の時にいろいろ聞いちゃったし……迂闊なシャーリヒッタの発言を制止しつつもそのへん、アレコレ思い返す。
ことの発端はまさかのうちのアイちゃんだ。あのミニチュア・ドラゴンがWSOの公式マスコットとして世に出て数ヶ月経つが、今やその人気は世界規模で爆発的な広がり高まりを見せている。
アクリルスタンド、ぬいぐるみ、ポスター、果ては写真集などなどのグッズがすぐさま作られ売り出されては、即日完売御礼となるレベルなのだ。
で、そうなると相対的にダンコちゃんの影が薄くなるのは必然というか、そもそもアイの登場以前からさして人気上々話題沸騰ってタイプのマスコットじゃなかったからね。
ものの見事にアイ・ショックの余波をモロに受けてしまったらしく、ダンコちゃんの生みの親である当施設本部長の広瀬さんとしては、どうにかこうにか状況を打開したい想いがあるらしかった。
その一環がこちらの物販ブースである。
ダンジョンコアをモチーフにした、かわいいんだかかわいくないんだか絶妙に微妙な塩梅のゆるキャラのグッズが棚に陳列されている様はまさしく必死だ。
そしてそうなるとアイを世に出すきっかけ、どころかアイをアイとして成立させた張本人である俺としましてはですね……さすがにちょっと悪い気がするというか、せめて俺くらいは買わせてもらうかなって気分にもなっちゃってるわけなのだった。
「まあ、アイ人気の影ではあるけどダンコちゃんも依然、コアな人気はあるみたいだけどな。ダンジョンコアだけに」
「聞かなかったことにしますねー。実際、たまに見かけるに一応まったく売れてないわけではなさそうですけど……広瀬本部長の健気な奮闘は分かりますがー、ちょっと過剰なきらいはあるかもですかねー」
「でもオレ、なんだかんだダンコちゃんも嫌いじゃないんだぜ。語尾に必ずダンコってつけるところとか意地を感じるんだぜ。あとキャッチフレーズの"断固たるダンジョンコアのダンコちゃん"ってのもなかなか意味不明で味わいがあるんだぜェ……」
「えぇ……?」
ダンコちゃんに悪印象を持ってないのは何よりだけど、気に入るところがそこなのかという想いはある。なんだかピントのズレたシャーリヒッタに、俺もリーベも苦笑いだ。
さておき、以上の成り行きから俺もせっかくなのでアクリルスタンドとぬいぐるみなんかを買っておくことにする。物販ブースのスタッフさんもにこやかに応対してくださって良い感じだ、正直この手のグッズにしてはだいぶお高い気がする値段にもこの際、目を瞑ることにしよう。
買ったグッズを入れた手提げ袋を持って談話室へ。朝一だけどちょこちょこっと人がいて、のんびり雑談なんてしているね。
俺達もそれに倣い、適当に空いているテーブルに着席して一息ついた。
「よし、じゃあちょっとおかし三人娘からメッセージが来てないか確認しようかな。そんで一時間ほど待って、特に連絡なければ軽い探査ってことでよろしく」
「わかりましたー。スマホアプリのほうで依頼、見繕っておきますねー」
「リーベに付き合うんだぜ!」
そんな会話をして、三人それぞれスマホに向き合う。俺はおかし三人娘のメッセージを確認、リーベとシャーリヒッタは依頼探しだ。
さてさて、どうなってるかな? ────スマホを開くとすぐに通知が来ているのが見えた。メッセージアプリ、まさしく噂のガムちゃんからだ。
早いな、めっちゃ早い。
さすが覇王忍者はテキパキ動くよと感心しつつも、俺は通知をタップしてメッセージを確認した。
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