攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
はい。というわけで探査も終わり帰ることとなりました。いつもながらのワームホールで即時、ダンジョン出口の手前までショートカットして脱出したよ。
時刻はいい感じにお昼過ぎ。ぼちぼち腹も減ってきたってなもんで、全探組に報告が終わったらいっちょご飯でも行こうかって話をしながら俺達は、公園からダンジョンが消え去るのを眺めていたりした。
「……にしても、いろいろ知ったからには当たり前ですけどパイセン、改めてチートですね。そりゃ各クランも腫れ物扱いしますよ、いろいろと」
「急に腫れ物扱い!? いやまあ事実というか、薄っすら感じてはいたけども!」
「あー……まあ、分かりやすすぎるくらい特大の出る杭ですもんねー、公平さんはー」
平和な公園が取り戻されたのを見届けてから一路、全探組に向けて歩き始めた矢先の唐突なディスり。なんだよガムちゃん、地味に薄々気づいていたからこそ目を逸らしていた事実を突きつけてくるなよう。
リーベさえ苦笑いして認めるほどには、悲しいかな俺ちゃんと来たら各クラン方面から腫れ物というか、アンタッチャブルな扱いをされているのが実際のところではある。
これがパーティ単位とかだったら別にね、そんなことはないんだよ。談話室とかで寛いでるとたまに、いろんなパーティの方々と気さくにお話する機会もあるし。
でもクランとなると、やはり組織だってくるからだろう一切そのへん絡みの話はされてこないのだ。気になって何度か触れると大体ああ、うんまあねアハハ! みたいに流されてしまうのが常なのである。かなしい。
そんな俺ちゃんの悲しきモンスターぶりを語れば、おかし三人娘やリーベは苦笑いし、シャーリヒッタに至っては唇を尖らせて不満げに反応していた。
前者はともかく後者のシャーリヒッタちゃん、ちょっぴりプンスカって感じである。
「そりゃ、公平サンの実力や存在そのものがあまりに次元違いで至高にして究極なのは事実真実だからよォ。それを魂的に感じ取っちまって無意識に距離を取るのもおかしかねェことかもしれねェがよ」
「えぇ……?」
「にしたってハブるのはよくねェぜ! ぶっちゃけ公平サン的にもクランなんざ関わるつもりはないでしょうけど、あからさまに距離を置かれるのも心外なんだと思うんだぜ! ねぇ公平サン!」
「うんまあそれはそうなんだけど、ちょーっと昂りすぎだから落ち着こうねシャーリヒッタちゃん。後でお菓子買ってあげるから」
「やったぜ! 公平サンからの賜り物だぜ!!」
俺のために不満を顕にしてくれるのは良いんだけど、若干ベクトルがこれはこれでおかしいし荒ぶりすぎである。
ありがたいのも事実なのでやんわりと頭を撫でてお菓子を買ってあげることを告げると、天真爛漫なシャーリヒッタは瞳を煌めかせて俺に抱きついてきた。ほとんど大型犬である。
実際、この子の言うとおり俺はクランに参加するつもりはない。普通にソロ探査とインターフェイサーの活動だけで十分すぎるし、いろいろ異物なのも間違いないからね。
特にクラン対抗戦、なんてものが間近に控えているらしいことを考えると余計、俺なんて際立って悪目立ちしてるのはどこにも属さないほうがいいはずだ。
そしてそこについては、チョコさんやアメさんも同意見みたいだね。
シャーリヒッタの言葉を受けて、やはり気まずげにしつつも同意してきた。
「あはは……まあ、ねえ? 山形さんが仮にどこか、新人クランに入っちゃったりしたらもう、その時点で対抗戦の勝者が決まりかねないしね」
「先生のお力そのものもさることながら、端的にその、探査頻度や速度が桁違いですし。先ほどのワームホールみたいなのを効率よく使ってしまうと、それだけで勝敗が決しかねないところはありますね〜」
「そうなんですよねー。それにそうなるとクランに入ってもたぶん、俺なんてのは便利なアッシーくんくらいにしか扱われない気もしてますし。ああ、あとは人脈目当ての方とかもいないとも限らないのは、関口くん見てたらなんとなく思いますしね」
「関口さんも大概、上っ面だけの連中に取り巻かれて大変そうですからね。まああっちは自分からやってることなんで、文字通り身から出た錆ではありますけど」
一言で言うと、俺の性能がスピーディな探査に向きすぎているというのが裏目に出た形になる。
空間転移なんて探査速度を異様に速められる技、使える身内がいたら当然有効活用したくなるだろうことは容易に想像がつく。
クラン対抗戦は諸々例外や救済措置はあるものの、基本的にはクランごとの期間中の探査数によるポイント獲得で競い合う大会らしいからね。
その探査数を、行き帰りをほぼカットできてしまうという俺ちゃんならば効率を何倍にもしてしまえちゃうわけなのだ。平たく言えば直接コアのある部屋まで行って帰ってくる、それだけで探査数稼げちゃうからね、極論。
そのうえ、下手に大御所さんと付き合いが多数あるもんだから、たぶんそのへん目当てに近づいてくる方もいるだろうなーって予感も覚えている。
関口くんの話とか聞いてると、どうしてもねー……彼の場合はガムちゃんも言うとおり、自分でパーティー開いて人脈形成したりしてるからそういう人達に囲まれるのも織り込み済みだろうけど、陰キャボッチがデフォな俺ちゃんからするとやはり、堪ったもんじゃないとは思っちゃうだろう。
そのあたりを考えると、やはりクランなんてものには俺は参加すべきじゃないってのが結論になるんだね。
再三言うけど普通の探査とインターフェイサーでの活動だけでも割とお腹いっぱいだし、私生活とのバランスを考えると今くらいのほうがやっぱりちょうど良いように思うよ。
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