攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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急なキャラ変は家族から変に見られがちだぞ!

 バズってる割にはイマイチメディア露出は少なくて助かってる、そんなアイドルリーベの活躍はとりあえず置いといて。

 用意ができたよ、パーティーだ! 並べられたテーブル二つにてんこ盛りのオードブル、ピザ、チキンにサラダになんかクラッカーにいろいろ乗っけて食べるアレとか!

 

 これですよこれ、これが我が家のクリスマス!

 ……いやまあ、例年に比べても規模が3倍くらいになってるんだけどね、人数に比例して料理の量も。なんなら酒の量なんて5倍はあるの。

 ある程度のギャップは想定していた俺や両親、妹ちゃんだけどいざ目の当たりにするとやはり、この光景のインパクトに圧倒されるところはあるよね。

 

「うーむ。まるで我が家が一端の上流階級のホームパーティーみたいなことになるなんてなあ。人生ってのは何が起きるか分からんもんだ」

「人数が多いから規模がいつになく大きいわねー。まるでうちのリビングじゃないみたい。まあなんだかんだ言っても並べてる料理はスーパーのオードブルとかローストチキンとか宅配ピザとか、あとはちょっとしたおつまみくらいだし上流階級なんてとてもとてもだけれど」

「そんでもって集まってる人達みーんな! 目が飛び出るほどの美男美女だもん! この人達みんな兄ちゃんの知り合いなんだから、そこが一番の驚きポイントだよね」

「むごい、いやむごくないか。正味そこは俺もそう思ってる」

 

 忌憚ない我が家族の感想についついうなずく。前からも別に、過不足なくそれなりに豪華なクリスマスパーティーだったけど今回は次元が違うもの。そりゃ面食らうよ。

 何よりやはりこんなことになった原因が不肖、ソロでぼっちの我が家の長男こと山形公平くんなんだってんだからさあ。我ながら妹ちゃんの掛け値ない驚きポイントに分かるーってなっちゃったよ。

 

 しみじみと感慨に耽けつつテーブルを囲んで一同、着席する。上座は家主たる父ちゃんとして、そこから右回りに母ちゃん、俺、優子ちゃんにリーベ、シャーリヒッタ、ヴァールにエリスさん。

 さらにミュトス、神奈川さんとステラ、そして香苗さんと宥さんと一周する感じだ。ちょうど俺の真ん前に香苗さんが来る感じになるね。ちなみにアイも優子ちゃんとリーベの隣で専用机にちょこんと座ってるよ。

 ニコッと可憐に笑い、香苗さんと宥さんが話しかけてきた。

 

「改めまして公平くん、お昼はお疲れ様でした。メリークリスマス」

「メリークリスマスです、公平様」

「あっはいお疲れ様でした。メリークリスマスです」

「急にセーデルグレンなど連れてきて、お手数おかけしましたね。言いわけになりますが、前から彼女はああなると梃子でも動かないのでやむを得なかったんです。まったく信念にのめり込むのも考えものですね」

「…………そ、そですね? いえ、まあ俺も勉強させてもらったんでありがたいくらいでしたけども」

 

 怖ぁ……信念というか信仰にのめり込んでる人がなんか言ってる。自覚ないかもしれないですけどかなり似た者同士でしたよ、香苗さんとセーデルグレンさん。

 隣の使徒こと宥さんも興味津々に話を聞きつつ、やたらドヤ顔チックなニコニコ笑顔でうなずいてるし。宥さんがやるとめっちゃかわいいんだけど、でもやっぱり瞳には信仰の光が宿ってる気がするんだよ。

 

 それを俺と、あと父ちゃんと母ちゃんがちょっと苦笑いして見ている横で、優子ちゃんとリーベが神奈川さん、ステラと話している。

 ステラは相変わらず半透明のまま神奈川さんに後ろから抱きついているよ。ビジュアルの良いカップルだもんで眼福ってかごちそうさまなんだけど、一方で濡れ落葉感も漂う背後霊ぶりである。

 

「神奈川さんも兄ちゃん……兄が責任者? してる、えーっとなんだったっけリーベお姉ちゃん。インターホン? の人なんですよね。兄がご迷惑かけたりしてません?」

「インターフェイサーですねー。公平さんは総責任者ってことで基本、現場を回すのはシャーリヒッタ以下私達メンバーですから迷惑なわけもないですよー?」

「ああ、そうだよ優子さん。山形さん……いや君のお兄さんの公平さんにはむしろこちらこそお手数をおかけしてるくらいさ。俺自身のこともそうだけど、ステラのことも含めてな」

『うん。あなたはもっと兄を信じても良いと思うよ、山形優子さん。御方がコマンドプロンプトであることを差し引いたとしても、人間としての山形公平様は信頼と尊敬に値する方だから』

「あー……まあ一応その、家族的に信頼とかはしてるんですけどね。ほら、今年の春まで完全にパンピーちゃらんぽらんステテコ素っ頓狂な兄だったので。なかなか15年間の印象って拭い難いんですよねえ」

『そ、そうなの……兄妹の、絆? なのかな。余計なことを言ったならごめんなさいね?』

「えぇ……?」

 

 むごい。今度こそシンプルにむごいよ優子ちゃん。なんだよパンピーちゃらんぽらんステテコ素っ頓狂って、ステテコなんぞ一着たりとて持ってもないんだけれども!

 やんわりと俺ちゃんをリスペクトしてみ? と言ってくれたステラ大明神様にはへへへっ! って感じでありがたいんだけど、それに対して照れ隠しっぽく捲し立てる妹ちゃんが愛らしくもむごい。

 

 でもまあ、このくらいのほうがステラも言うけど兄妹って感じではあるよね。

 それに春先までパンピーちゃらんぽらんだったのは事実だし。こういう忌憚ないやりとりもまた、家族ならではってことだろうさ。




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