攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

263 / 2045
説明会は現場でやるんじゃない、会議室でやるんだ!

 翌、7月16日。スッキリとした目覚め。

 今日も天気が晴朗なれば、カーテンの隙間から眩い太陽がさんさんと光を降り注いでいる。うーん、良い朝だ。

 起き上がって軽くストレッチ。背筋を伸ばすと小気味良い音が背骨から鳴る。サクッと私服に着替えてふう、と一息。

 おはようございます。

 

「公平さーん、入りますよー」

「おーっす」

 

 タイミングよくリーベが部屋に入ってくる。ん、今日は入る前に確認できたな、えらい!

 相変わらずびっくりするくらいかわいい。毎朝こうして起こしに来てくれるわけだけど、毎度毎回、幸せな心地で一日をスタートできるから正直、すごくありがたい。まあ本人に言うとどこまでも果てしなく調子に乗るだろうから、あんまり言うつもりもないけど。

 

「おはようございまーっす! かわいいかわいいリーベちゃん、今日も今日とて起こしにきちゃいましたーっ! 嬉しいですか? ハッピーですか? リーベちゃんも同じ気持ちでーっす!!」

 

 というか言ってなくても調子に乗っている気がするな、こいつ。まあ、上機嫌なのは良いことだけども。

 さて、彼女を伴ってリビングへ向かう。テーブルには朝食のベーコンエッグにサラダ、ウインナーとそして白米。父ちゃんは先に食い終わって新聞を読んでるけど、母ちゃん優子ちゃんは今しがた、席に着いたみたいだった。

 なにはともあれ、声をかける。

 

「おはよーっす」

「はいおはよう、リーベちゃんも」

「おはよ、二人とも!」

「はい、お母様! お父様も優子ちゃんも、おはようございまーっす!」

 

 元気に挨拶を交わす山形家。変わりない素敵な日常だ。夏休み初日ってのもあって、いつもよりキラキラしている気がする。たぶん気のせい。

 さておき俺とリーベも席に着く。いただきますしてさあ朝食だ。今日も美味しくいただこう。

 

 昨日、たらふく焼肉食ったんだけどすでに腹が減っている。健啖な自分に感心すら抱きつつ、俺は食事を始めた。

 

「今日よね、たしか。あんたの、何? 説明」

「ああ、うん。10時からね」

「探査者組合本部の、大会議室で行いますよー」

「全探組の施設なんて、初めて行くなあ」

「私もー」

 

 いよいよ迎えた俺主催、世界に何が起こっていたのかについての説明会with山形プロンプトくんカミングアウトの儀。家族もそれなりに興味を持っているみたいで、しきりに気にしている。

 俺としてはぶっちゃけ、そこまで時間をかけたくもないイベントではあるんだけどね。サクッと済ませて、そのまま祝勝会と行きたいところだ。

 リーベが、ふと尋ねてきた。

 

「そう言えば、今日のその会とか祝勝会とかってー、誰が来るんでしたっけー?」

「んー……と。とりあえずあの戦いに参加してた、香苗さんマリーさんリンちゃんベナウィさん、あとソフィアさんとヴァールは来るとして」

「逆にそのへんが来なかったら、一体誰が来るのかって感じですねー」

 

 まあたしかに。祝勝会も兼ねてるってのにあの人たちがいなかったら、片手落ち感がすさまじいしな。

 三界機構と天地開闢結界を攻略するために創造された、四つの決戦スキルの保持者。そして先代アドミニストレータと先代精霊知能として、ワールドプロセッサとの盟約の下にWSOを創設した、ソフィア・チェーホワとヴァール。

 そのへんはもちろん確定だ。さらに俺は、指折り数える。

 

「えー後は、望月さんに広瀬さんと、あとなんかWSOの偉い人。この辺はあれだな、望月さんはともかくあとの三人はソフィアさんが呼んだな」

「WSOの重役ですかー。ちなみにモッチーは?」

「あの人もこの騒動に関して言えば、当事者の一人だからな。厳密に言えば被害者だけど」

 

 我らが県組合本部長の広瀬さんには、これまでかなりお世話になってきたから話を聞いてもらいたかったんだけど、ソフィアさんは他にも何人か、この大ダンジョン時代において探査者業界を牽引しているようなトップ層を呼んでいるらしい。

 あんまり大袈裟にしないでほしい気はする……でも探査者という職種そのものに関わる話でもあるからな。仕方ないとは思う。

 

 反面、望月さんは俺が呼んだ。

 俺にスキルが託されてからの三ヶ月、つまりはアドミニストレータ計画が遂行された時期において彼女こそ唯一、明確な形で邪悪なる思念の被害を受けていた人だ。なにしろリッチに乗っ取られていたわけだからな。

 彼女に対しても、俺の口から、なぜそのようなことになったのかという根本的なところを説明しておかなければならない気がしたのだ。いわゆる説明責任というやつか。

 邪悪なる思念を、意識だけだが己の魂に匿っている俺だからこそ、彼女への筋は通したいと思ったんだね。

 

「そんでもって俺の家族、あとお前な、リーベ。そんなくらいか」

「結構な集まりになりますねー。お偉い人も来るなんて、さてさてどうなりますやらー」

「どうなるも何も、もう全部済んだあとだからな。身内以外に対してなんて、ソフィアさんの政治的配慮でしかないよ。彼女がうまいことやるでしょ」

 

 なにしろWSOを統べる女傑だからな。

 面倒くさい表舞台のあれこれは、彼女に全て任せてしまおう。彼女も、それを承知の上で人を呼んだんだろうから、な。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。