攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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因果律管理機構・コマンドプロンプト

 超解剖! これがコマンドプロンプトだ! ……的な、子供向け雑誌とかにある、特撮ヒーローのスペックをまとめたブロマイドページってわけじゃないけれども。

 コマンドプロンプトとしての俺の能力について、どうにも聞きたがっているみんなに向けて、俺はつらつらとそのへんを話し始めていた。

 

「えー……と。因果ってのがそもそも、AがあるからBになる、っていう原因と結果のセットなんですよね」

「因果応報とか、よく言いますね」

「まあそんな感じです。で、俺ことコマンドプロンプトってのが元々、その因果を管理する機構でして」

 

 因果律管理機構コマンドプロンプト。それが正式な俺ちゃんの正体なわけだが、これってのがつまるところ、この世界のありとあらゆる原因と結果を管理する役割のシステムなわけ。

 それゆえ、俺には元より因果をまるっと編集したり、ばしっと操作したりする権能が備わっているのだ。人格が生まれる前からなので、言ってしまえばこの世の始まりからずっと持っている能力なわけだった。

 てなことを述べると、ベナウィさんがポツリと言う。

 

「そう考えると、ミスター公平は本当は、コマンドプロンプトであることも含めると天文学的な年齢なのですね」

「えっ……いえ、あくまで人格は500年前に発生したわけですし。高々500歳ってところですよ、ええ」

 

 こ、怖ぁ……危うく138億歳以上にされるところだった!

 なんの気もない純粋な発言だったんだろうけど、それだけにとんでもない年寄りにされかねなかったのは恐ろしい話だ。いや、500歳でも大概だけども。

 僕山形プロンプトくん、ごひゃくさい! などと脳内にて供述しつつもどうにか気を取り直して、続ける。

 

「それはさておき。そういう原因と結果を改竄、あるいは復元する能力が俺の、コマンドプロンプトとしての能力です。実際になにか、してみましょうか。そうだな……」

 

 キョロキョロと周囲を見回して、何か適当なものがないか見てみる。改竄したところで特に大きな影響のなさそうなもの。

 ……いや、ていうか俺自身でいいじゃん。こないだ作ったじゃん、丁度いいものを。

 思い出して俺は、指を鳴らして呟いた。

 

「神魔終焉結界、起動」

「きゅっ!?」

 

 瞬間、俺の服装が変わった。黒い半袖シャツに白い長ズボン、そして身の丈より大きい蒼いコート。

 神魔終焉結界。邪悪なる思念との決戦後、コマンドプロンプトとしての覚醒と融合を果たした俺、山形公平が権能を駆使して創り上げた、俺の俺による俺のための戦闘衣装だ。

 つまりはこの服装も因果改変の産物ということになる。

 

「服が!?」

「公平さん、マジシャン!?」

「! それは、あなたの権能で編んだのか」

「ああ。人間ゆえの制約をある程度カバーできるようにな」

 

 香苗さんを除いて驚く一同。なんとなく、こう、ちょっとしてやったり感が湧いてきて気分良くなったりしちゃう。

 それはともかく、神魔終焉結界について少しだけ説明する。香苗さん以外には詳しく話すつもりもないので、本当にちょっとだけだ……権能で作った服で、これを利用して今の俺は、空を飛んだり空間転移ができたりするってことのみ話す。

 で、そこからさらに踏み込んでの、因果改変について。

 

「たとえば空を飛ぶとかだと、《山形公平は空を飛べるから空を飛べる》とか。A地点からB地点への空間転移だと、《AとBは繋がってるからAからBへ行ける》とか」

「ふむ? つまり前提条件を自由に変動させてしまえるということ、ですか?」

「ああ、それが近い表現になるかもですね。前者だと元々、俺に飛行能力があったってことにして空を飛びますし、後者だと元々、AとBが繋がっていたってことにして移動できるようにします」

「それって……ほとんど過去改変じゃないですか……!」

 

 慄然とした様子で、望月さんが呟いた。他のみんなも、呆然と俺を見ている。

 まあ、そう思うよな。というか実際に、過去あった原因に手を加えているのだから実質的には過去改変だ。因果改変とは本当になんでもありで、原因を弄れば過去改変、結果を弄れば現在あるいは未来改変となる代物だったりする。

 

 ただ、まあ。

 永続的なものではないんだよね、これが。

 

「少なくとも今ここにいる俺、山形公平の力だと、神魔終焉結界の力を加味しても因果改変は限定的、かつ一時的なものしかできません。なので永続的な改変は不可能ですし、そもそもできたって、やるつもりもありませんよ」

「制限がある、ということですね?」

「ええ。人間の肉体には耐えきれない権能というのもありますし、大掛かりな因果改変には相応のリソースが必要ということもあります」

 

 当然ながら、因果を弄るなんてのはとてつもなくエネルギーを使う。普通の人間なら下手すると、空を飛ぶ、くらいの因果改変だけでも即死するレベルだ。

 探査者として強化された肉体と、元より権能を持つ俺だからこそ、ある程度までもそうした行為に及べるわけなんだが。とはいえやはり無い袖は振れない。

 対象によっては、因果改変を行うだけのエネルギーが不足するため、改変できないことだって色々あるわけだ。

 

「俺の大元である因果律管理機構・コマンドプロンプトの本体ならば本当になんでもありなんですけどね。言ってしまえば端末、仮初の姿な山形公平では、身の回りに関して便利遣いできるツール、くらいのものでしかありませんよ」

「便利、どころではないと思いますけどね、それだけでも」

 

 呆れたようにベナウィさんが言った。

 俺もそう思います。

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