攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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救世の会とクラスメイトと

 質疑の時間もそこそこに、駅前の集合地点にまで俺たちは辿り着いていた。

 肉眼でも見える、俺のクラスメートもチラホラといる。梨沙さんもいるな。集合時間にはまだちょっと早いけど、それなりにいい頃合いに着いたって感じか。

 

「あっ、公平くん!」

「おはよう、梨沙さん」

 

 真っ先に俺を見つけ、手を振る梨沙さんに応じる。青いYシャツに短パンととてもラフかつ動きやすそうな格好だ。ピアスとかネックレスもバッチリしてて、非常にそう、ギャルギャルしい。

 金属負けとかしないのかなあ、などと心の片隅で思いながらも近寄る。すでに来ていた他のクラスメート、松田くんや木下さんも寄ってきた。

 

「おっす山形! と……御堂さんと? もう二人?」

「ああ、探査者の先輩の望月宥さんと、あー、サポーターのリーベ。たまたま会ってさ、駅までご一緒してた」

「望月さんと、リーベさん」

 

 香苗さんはともかく宥さんとリーベは初対面だろう。梨沙さんはじめクラスメートのみんな、興味津々だ。というか、松田くんが嫉妬の目で俺を見ている。やめて。

 紹介を受けて宥さんとリーベが一歩前に出た。香苗さんもだけどこの人たち、本当に人目をひくレベルの美女美少女なので、梨沙さんたちもすっかりまじまじと彼女たちを凝視している。

 優雅に可憐に、二人が挨拶した。

 

「はじめまして、望月宥と申します。C級探査者であると同時に、いえそれ以上に救世主山形公平様を敬い奉る宗教組織、救世の会の大幹部をも務めております。みなさん、ともに公平様を崇めてまいりましょう、よろしくおねがいします」

「こーんにーちはー! みんな大好きかわいいかわいいリーベちゃんでーす! 今はまだですけどー、近いうちに宗教組織、救世の会のアイドルマスコットも務めちゃいまーす! みんな、よーろしーくねー! ピース! ピース!」

「ひどい」

 

 なんてこった、空気が死んだ。固まるクラスメートと俺、後方で香苗さんが腕組みしてうんうん頷いている。

 自信満々にカルト信者である旨をカミングアウトしたぞ、この二人……リーベに至ってはアイドルを自称すらして、はっきり言って事故ってる。

 宥さんも、さっき俺、探査者の先輩って言ったじゃん。百歩譲って信者であることを公表するのはいいかもだけど、せめて探査者としての自分を前面に出してほしかった。これじゃ宗教やってる探査者というか、探査もしてる狂信者じゃん。

 

「も、望月さん……御堂さんと同じような人とは、最近の配信とか見てわかってたけど、これは」

「リーベちゃん……かわいいけど、めちゃくちゃかわいい、けど……」

 

 松田くんと木下さんが目を白黒させている。控えめに言ってもドン引きの様相だ。これからこの人たちと遊びに行くってのに、何をしてくれてるんだ君たちは一体。

 と、梨沙さんが一歩前に出た。松田くんや木下さんと違ってドン引きした感じでもなく、むしろ戦意満々っていうか、やる気に満ち溢れている。なんで?

 宥さんとリーベ、香苗さんに向けて彼女は、ペコリと丁寧にお辞儀した。

 

「はじめまして、公平くんのクラスメートの佐山梨沙です。公平くんがいつも、お世話になっています」

「あら」

「ほほう」

「えぇ……?」

 

 なんてこった、いつの間にか梨沙さんが俺の保護者みたいになっている。まるで母ちゃんみたいな物言いだ。ていうかギャルギャルしいけどやっぱりこの子、めちゃくちゃ所作がしっかりしているぞ。明らかにご家庭での教えがよろしい感じだ。

 

 それを受けて宥さんの目が軽く見開かれ、リーベは瞳を煌めかせた。なんなら後ろの香苗さんなんか、ニヤリと不敵、あるいは不気味に微笑んでいる。獲物を見つけた笑みやめて?

 そんな彼女らに気づいているのかどうか知らないが、梨沙さんは続けて言う。

 

「御堂さんもですけど、望月さんの配信チャンネルももちろん拝見しています。あの、救世の会チャンネルも。公平くんが普段どんなふうに探査者として過ごしているのか詳しく語られていて、とても助かってます」

「……ふふ、それはよかった。私たちは公平様の偉大さとご活躍を知らしめるため、あのチャンネルにて啓蒙配信をしているの。助かると言ってもらえて、なんだか嬉しいわ」

「ええ。公平くんってば照れ屋ですから、自分がどんなに頑張ってるのか、全然アピールしないですから。そんなところも素敵なんですけどね、ふふ」

 

 怖ぁ……なんか変に笑い合ってる。夏の往来なのに妙にひんやりしてきた。ホラーかな?

 ていうか照れ屋て。別にそんな、学校でわざわざ探査者としての仕事を逐一吹聴するわけがない。関口くんですらそんなことしてないのに、俺をとんだ自意識過剰ボーイにしたいんだろうか、梨沙さんは。

 

「リーベさんも、はじめまして。以前に公平くんから、あなたのことは相棒のような人だって聞いていました。いつも公平くんを支えてくれてありがとうございます」

「いえいえー! リーベちゃんもー、公平さんから色々話は伺ってますよー? サッチーって呼んでいいですかー?」

「え……それはちょっと」

「やめなさいリーベ!」

 

 ニヤつきながら提案するリーベを止める。その呼び名は単体ならいいかもしれないが、香苗さんと並んだ時が非常にまずい気がする! やめなさい!!

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