攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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AIと歩く街

 そんなこんなで午前中、それなりにダラダラのんびり過ごした俺は、昼前になってリーベとともに家を出た。

 ここからはダンジョン探査の時間だ、スイッチ切り替え、仕事モードに切り替えなきゃな。服も最初から神魔終焉結界を発動している。そろそろ恥ずかしいとか言ってるのもアレだしな。慣れなきゃ。

 

 香苗さんたちとの待ち合わせは昼過ぎからなんだが、途中、商店街でご飯を食べて行くつもりをしている。

 当初は一人の予定だったんだが、リーベも来るってなったので二人での食事だ。さて、どうするかな。

 

「ファストフードは、さすがに頻度高いし。ラーメンとかにするかな?」

「あっ、あそことかどうです? 大型スーパーのフードコートで売ってる、カレーとか」

「カレーかぁ」

 

 昼ごはん何する問題を、あれこれと話しながら歩く。要するにハンバーガーかラーメンかカレーかなんだが、どれも微妙にしっくりこない。

 というかリーベ、めちゃくちゃ人目についてるんだよなあ。夏の暑さもぶっ飛ぶような、人間離れした美少女であることは間違いないからか、歩くだけで周囲の人たちの視線を釘付けにしている。

 

 傍から見た時、そんなレベルの美少女の隣で歩く俺ってどう見られてるんだろうね……

 男女問わずたまに、俺とリーベを見比べて奇妙な顔をするのがなんとも言われぬ趣がある。まあ、微笑ましそうに見てくる人もそれなりにいるので、そこまで悪いコンビでもないのかもしれないけど。

 ポツリ、リーベが呟いた。

 

「こうしてると二人、恋人みたいですよねー……」

「…………そ、そうかな」

「そうですよ」

 

 頬を染めてしっとりした空気を出してくるのはネタなのか、ガチなのか。どちらにせよ反応に困るセリフで、俺はぎこちない返答しかできない。

 つい今朝方にはヴァールにキレたり、俺にキレられたりとコミカルな話題にこと欠かないのがこいつだが。こんなふうに大人しくしてると、途端に深窓の令嬢めいてくるんだから、やっぱり女の子ってすごいんだな〜って感心するよ。

 内心あたふたしつつも、それでもどうにか答える。

 

「そ、そう見られてるなら、結構嬉しいかな。光栄だし」

「ふふ。手でも繋いじゃいますかー?」

「えっ。いや、あのう」

 

 いたずらっぽく笑いかける、リーベの小悪魔なことときたら!

 結局その、せっかくなのでちょっとだけ手は繋いだよ。小さくて暖かな手が、余計に俺をドキドキさせる。

 

「公平さん、手、おっきいんですねー」

 

 なんてリーベも頬を染めて俯いて、言ってくるんだから余計にだ。

 なんだこいつ、いつものトンチキマスコットぶりはどうした? アイにマスコット枠取られてしまいますー! などと、ミニチュアドラゴン相手に本気で威嚇していた馬鹿すぎるお前はどこへ行った!?

 

「途方もなく失礼なこと、考えてませんー?」

「え、いやアイに立場を取られるかもとブチギレてた珍獣とは思えないなーくらいしか」

「途方もなく失礼ですよー!?」

 

 あ、吠えた。わずか数分しか保たなかったな、しっとりした令嬢フォーム。

 正直ホッとしながら、抗議するリーベを横目にさてと考える。マジで昼、どうしようか。なんとなーく麺が食いたい気分だし、ここはラーメンだろうか? いやでも一人ならまだしも、誰か連れてってなるとカレーとかのほうがいい気もする。

 

 ふうむ、と周りを見回す。今は商店街に向かう途中、ちょうど駅前だ。ファストフード店が近くにあるが、それ以外はコンビニか、居酒屋か、大衆食堂くらいしか飯屋なんて……

 いや。あったな、もう一ついい感じのが。

 俺は立ち止まった。むーむー唸ってたマスコットリーベちゃんが、キョトンと俺を見る。

 

「公平さん?」

「……駅の入り口のすぐ隣にさ、パン屋あるじゃん。あそこたしかイートインもできて、スパゲッティとかも売ってたはずだ」

「パン屋って、ああ、お母様や優子ちゃんがたまに、塩パンとか買ってくるお店ですねー。リーベちゃんも一回、行ったことありますよー」

 

 思い出した店はパン屋ってか、駅前喫茶みたいなところだ。基本、持ち帰りでパンを買う風に山形家では利用しているんだけど、店内食ももちろん可能で、なんなら店内限定でスパゲッティなんかも売ってたりするのだ。

 すぐ隣には本屋もあるので、本屋をうろついて本なんか買って、小腹が空いたらパン屋でお持ち帰り、なんてのが個人的には好きなムーヴだね。

 

 それはさておくにしても、スパゲッティってのは結構、いいチョイスな気がするのだ。パンもいくつか買って、コーヒーやらジュースやらと美味しくいただく。

 リーベと二人で食事ってなると、なんかこれがしっくり来そうな予感がしていた。

 

「いいですねースパゲッティ。パンも併せてちょっとこう、イタリア風ですねー」

「だろ? リーベと一緒に食べるんなら、こういう方向でもいいのかなってふと思い付いたんだよ」

「え。それってー、リーベちゃんにはオシャレな西洋料理が似合うってことですか〜? あは、公平さんたらお上手ー!」

「見た目だけは似合いそうだしなあ」

「どーいう意味ですかー!?」

 

 すかさず図に乗るな、こいつ……まあ、特に異論はなさそうでよかった。

 中身はあんまり似合ってないことを、全身で表現してくるリーベをどうどうと抑え。俺は彼女を連れて、そのパン屋目指して駅口へと向かった。

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