攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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おかしなトリオの探査者デビュー!

 暴走しだした香苗さんはさておき、俺は新人さんだという女性三人を見た。自分たちの身の置所をまだ見いだせていない感じの、初々しい空気が漂っている。

 初めての後輩さんかぁ……挨拶しとかないといけないのかな。見ず知らずの女の子に声をかけると事案扱いされやしないかと怖いんだけど、これでも一応先輩になるのなら、よろしくの一言くらいは言っとかないとまずいとも思うし。

 

 よし、ここは一念発起やってみようか!

 もし防犯ブザーを鳴らされそうになったら、その時はそれこそ香苗さんたちに助けてもらうのだ。一人では不審者かもしれない俺ちゃんでも、香苗さんたちと一緒なら精々挙動が怪しい荷物持ちくらいで済まされるかもしれないしな。

 というわけで、3人に声をかけたのだ。

 

「あ、あの……はじめまして」

「はじめまして! 山形さん、でしたよね! 私は徳島! 徳島千代子です! みんなからはチョコって呼ばれがちです、よろしくおねがいします!!」

「えっ。あ、は、はい。よろしく、です」

「お噂はかねがね! デビューして3ヶ月でいろんな伝説を打ち立てた天才にお会いできて、光栄です!」

「い、いえ……それ、ほど、でも」

 

 ま、眩しい! ハキハキしたフレッシュさが、どうしたことか目に染みる!

 3人のうち、赤い髪を肩口で揃えたボーイッシュな女の子である徳島さんが応えてきた。年の頃は俺と変わらないくらいだが、人当たりとか社交性は俺よりはるか上を行っている感じだ。ああ、ランレイさんがしゃがみ込んで怯えて、アンジェさんにドン引きされている……

 

「あなたが山形くんね? 新人の鹿児島天乃です。身内からはアメって呼ばれてるわ。よろしくね」

「よ、よろしくおねがいします。山形です」

「ふふ……御堂さんの動画配信、たまに見てるわ。すごいのね、君」

「あ、ありがとうございます」

 

 香苗さんや宥さんと同じくらいの年代だろうか、落ち着いたというよりはむしろ妖艶というか、色っぽい雰囲気のお姉様である鹿児島さん。しっとりとした黒髪ロングで背が高く、お嬢様って感じもする。

 この人は香苗さんの例の組織関係で俺を知っているらしい。なんというか、入りがそれなら狂信者のみなさんと仲良くなれる気がする。変に伝道されないことだけを願います。

 

「新潟花夢。花の夢と書いて、カノン。みんなからはガムって呼ばれてるかも。よろしくおねがいします」

「あ、どうも山形です。よろしくね新潟さん」

「よろしくおねがいします」

 

 一番素っ気ないというか、普通のやり取りをしたのが新潟さんだ。妹ちゃんや逢坂さんくらいの、まだ中学生って感じの歳かな? 金髪ながら小柄で雰囲気も静か、俺としては接しやすいタイプかもしれない。

 しかしあれだな……徳島さんがチョコ、鹿児島さんがアメ、新潟さんがガムとは、お菓子三人衆って感じのあだ名が揃ったな。これまた奇縁といえば奇縁か。

 

「いやー、なんの因果がチョコにアメにガムって美味しそうなトリオになりまして! まあ覚えやすくていいかなって思います!」

「私たち、基本的に三人一組でダンジョン探査をしようと思ってるの。だからあだ名が統一感あるのは、逆にキャッチーよね」

「そうだね。とにかく、よろしくおねがいします先輩」

「あ、こちらこそよろしくおねがいします」

 

 互いに会釈する。はじめての後輩さんたちとの顔合わせは、とりあえず無難な感じで終わってよかった。

 次いで香苗さんやアンジェさん、ランレイさんもせっかくだしと挨拶をしていく。俺相手と違い正真正銘、探査者の中でもトップクラスの人たちだから緊張しまくってるな、3人とも。

 

 そういえば香苗さんはS級になるらしいし、あとでそのへんの話も聞いてみようか。

 そんなことを考えていると、手続きを済ませたヴァールとリーベが戻ってきた。

 

「今、戻った。そこまで大きくはないダンジョンで、アンジェリーナとランレイを見極めるにはうってつけだろう……と。どうした、誰だ? あの4人は」

「たっだいまーですー! ……む!? むむむ、新規美少女3人発見! って、脇にいるのは彼、公平さんのクラスメイトさんですねー」

「関口くんな。彼は今、俺の後輩にあたる新規探査者の徳島さん、鹿児島さん、新潟さんを教育中らしいぞ」

 

 さっそく関口くんと新人トリオに目をつけた二人に、端的に説明する。

 俺の後輩ってところでえ? お前も新人じゃないの一応? みたいな顔をされたあたり、精霊知能からしても3ヶ月ってのはスパンとしては短すぎるんだろうな。

 と、関口くんが寄ってきた。

 

「山形、お前どういう人脈してるんだ……」

「どしたの、関口くん」

「香苗さんは元からだが、フランソワさんにシェンさんもA級の有名どころじゃないか。しかもそちらにいらっしゃるのって、まさかWSOの……」

 

 どことなくげっそりした感じなのは、香苗さんたちのネームバリューに圧倒されたのだろうか?

 見ればたしかに、後輩トリオたちもガクガクに緊張してるしな。まあそれ以上にランレイさんがビビり倒していて、もう何が何やらわからん光景だけれども。

 

 そしてさすがの目敏さ、ヴァールにも気づいているか。世間一般的にはソフィアさんであることも加味して、彼女はいつものぶっきらぼうさはそのままに、しかしソフィア・チェーホワとして対応した。

 

「はい。統括理事のソフィア・チェーホワです。そちらの山形公平様にはいろいろ世話になりました。よろしく頼みます」

「や、やっぱり……!? し、C級探査者の関口です! よろしくおねがいします!」

 

 いきなり探査者組織のトップに出くわしたんだ、こうもなるよなあ。

 さしもの関口くんですら緊張で震えているのだから、さすがはWSO統括理事ってところか。

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