攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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ティーンエイジ・ヤマガタ・ポエミー・コウヘイ

 名前 山形公平 レベル668

 称号 邪念妄執、愚心礼賛

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光とともに風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 名称 ALWAYS CLEAR/澄み渡る空の下で

 名称 よみがえる風と大地の上で

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 

 スキル

 名称 清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師

 解説 熱さの裏に冷たさがあるように。光の裏には闇がある

 効果 任意の範囲内に攻性結界を展開する

 

 

「な、な──何このステータス!? 意味わかんない、ティーンエイジャーの妄想ノート!?」

「つらい」

 

 人様のステータスになんてこと言うんだ、アンジェさん。

 サソリオオトカゲを倒した直後、どういうんだと詰められて渋々ステータスをメモ帳に書いて見せたらこれである。何がひどいって、普通に意味不明な言葉の羅列なので反論しづらいってことだ。

 

 件の新スキル《清けき熱の涼やかに、照らす光の影法師》の性能はバッチリ機能し、俺の思い描いたとおりの攻性結界……すなわち俺が手ずから設定した専用空間が発生して、やりたい放題できた。

 それはよかったのだが、案の定というべきか香苗さんたちの質問攻めを今、食らってしまっていた。

 

「こ、攻性結界とはなんですか!? どのような能力です!?」

「えーと、端的に言うと攻撃を好きな場所に放てる空間ですね。あの空間をとおして放つ俺の攻撃は、すべて結界内の任意の場所から放てます」

「に、任意……! 結界内のすべてを支配する、まさしく神の力ではありませんか! おお、救世主様……! メモメモメモり、メモメモメモり!」

「み、御堂香苗……!?」

 

 香苗さんがスキルの詳細を知り、興奮して瞳を煌めかせている。ものすごい勢いでメモを取る彼女の姿に、ランレイさんが盛大に驚いているな。

 次にヴァールが聞いてきた。

 

「ふむ。極めて強力だが……負担は大丈夫なのか? あれだけの結界スキルならば、相当因果を弄っているだろう」

「ああ、まあ大丈夫。神魔終焉結界のサポートもあるし、5分程度まではノーリスクだ。それを過ぎると、人間の身体には相当キツいだろうけど」

「なるほど……逆にそこまでの時間、生き延びられる存在がどれほどいるやらな」

 

 肩をすくめて笑う。ヴァールにしては珍しく、皮肉げというかやれやれって感じの笑みだ。

 たしかに、5分もあの結界内で生きていられるやつはそういないだろう。俺のスキルは基本、対邪悪なる思念……アルマ戦を想定した威力だしな。

 

「スキル名、ポエミーですね公平さんー。もしかして結構、ハマっちゃったりしてます? その手のネーミング〜」

「…………ちがうよ? ぜんぜんちがうよ? あくまで俺は、ここまで来たら統一感を持たせた綺麗なステータスに仕上げたいなって思ってだね」

「たしかに統一感はありますねー……思春期って感じのテーマ性が見えてきますよー。うふ、うふふ! ワールドプロセッサも草葉の陰で喜んでるかもですよー、いよっ! 同好の士!!」

「お前のステータスもポエミーに改竄するぞゆるキャラぁ!!」

 

 リーベが久々にめっちゃウザい! 若干自分でも思っちゃってて考えないようにしているのに、そういうところだぞお前ぇ!

 ていうか勝手にワールドプロセッサを殺すな、お前そのうちあいつに説教されちゃうぞ!?

 

 ──とまあ、こんな感じであれやこれやと答えていたわけだが。

 一頻り質疑も終わらせて、俺はサソリオオトカゲの消滅した地点に赴いた。その場に転がる、皮と針とを回収する。針も皮も元々のサソリオオトカゲに対して半分くらいのサイズになっているが、それでも大きいことは大きい。

 ひとまず保管しておくか。俺はランレイさんに声をかけた。

 

「ランレイさん、ドロップした素材はこちらで預かっておきますね。ダンジョン探査後、皮についてはお渡しします」

「はひっ!? は、はいありがとうございますっ! で、でもあの、保管って……?」

 

 おもむろに小さく折り畳まれたエコバッグを取り出していたランレイさんが、きょとんと反応する。探査者専用の、素材がドロップした時用のバッグだな……俺もこの間までは使っていた。

 だが今となってはもう、より便利な方法での保管ができるからね。俺は神魔終焉結界の機能を発動した。

 

「空間よ、開け」

「ぴっ!?」

「えっ」

 

 呟くとともに、空間転移用の大穴が何もない虚空に開いた。接続先はシステム領域内、素材保管用に確保したある種の保管庫だ。そこに、皮と針とを放り込む。

 時間も空間も関係なく、完璧な形で入れたものを保存できる便利機能だね。とはいえ、人間の体で入るのはあんまりよろしくない空間なので、やっても精々手を突っ込むくらいだ。

 

 これまでにもダンジョン探査の際、倒したモンスターは素材を確定でドロップしてきていた。

 その度にエコバッグに詰めたり、香苗さんに持ってもらったりして、ありがたい恵みながらも正直なところ、これ嵩張るなァ……と微妙な顔つきにならざるを得なかったのだが。

 それを改善すべく結界に仕込んだ保管空間への接続機能は、目下のところ神魔終焉結界の機能の中で一番、普段使いする便利なものになってくれていた。

 

「よし、と。じゃあ行きましょうか。次からは引き続き、アンジェさんとランレイさんがメインということで」

「う、うん……なんでもありね、あんた……」

 

 アンジェさんのドン引き気味の反応。解せる、まあそうなるよね、こんなん見たら。

 苦笑いしつつも、俺たちは探査を続行した。

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