攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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(イケメンを呪うような)そういう目をしたっ!!

 駅に到着して、隣県までの切符を買う。件の竜虎大学へは一回乗り換えをしなければならず、そのへんの案内はすべて宥さん任せだ。

 とはいえこの駅からざっと30分ほどで大学の最寄り駅にたどり着けるわけなので、交通の便は意外に悪くないところにある学舎らしい。

 改札を抜けてホームに向かいがてら、みんなで宥さんの説明を聞く。

 

「私は探査学部在籍なんですけど、探査学部や文学部や経済学部、法学部や国際学部は隣県の第二学舎で。理工学部と社会学部、農学部はこちらの県にある第三学舎で、とそれぞれの学舎で日々、授業を受けています」

「いくつか学舎があるのは知ってましたけど、学部ごとで区分けしてるんですか……」

「そうなんです。その上で文学部の学生は1回生と2回生では今から向かう第二学舎に、3回生と4回生になると他の場所にある、第一学舎で学ぶんです。文学部の学生が特に多いので、さらに分割しているんですね」

「へぁ〜……多いんですねえ、学生さん〜」

 

 リーベが間の抜けた声で感嘆している。俺もだけど。

 大学って聞いて漠然とこう、でかい学舎で沢山の人が学んだり遊んだりしているってイメージしかないので、具体的な区割りとか制度を聞くと現実味が出てきてなんか、へぁ〜ってなるね。

 駅のホーム、白線の内側にて電車を待つ。乗換駅まで新快速なら10分ちょっとだ。隣県までがめちゃくちゃ近くて助かるよなあ、このへんに住んでると。

 数分したら電車が来る。引き続き、宥さんの話に俺は耳を傾けた。

 

「部活動やサークルの拠点施設は第二学舎のほうにあります。私が所属する文芸部や、今回のイベントを主催している探査者サークル、カレッジサーチャーズの部室もその施設内です」

「え。カレッジサーチャーズなんですか、竜虎大学の探査者サークルって」

「大学生の探査者さんで集まって動画とか配信してる、あの人たちですよね?」

 

 キョトンと、俺と逢坂さんとで聞くと宥さんはにっこり笑って頷いた。カレッジサーチャーズ、学生探査者で構成される全国規模の探査者サークルで、ダンジョン探査動画や各種企画動画で人気沸騰の大手グループだね。

 昨日、ミーハードラゴンのアイが食い入るように動画を見ていたのを思い出す。そっか、予想外れて彼ら関連のイベントだったか。

 まあ竜虎大学は有名大学だし、彼らのサークルもあっておかしくはないよな。

 

「カレッジサーチャーズ! えーカレチャ来るって嘘、マジ!?」

「たっつんとかEMISIとか来るのかな!?」

「えみえみ来たらサインほしいかも、私」

 

 中学生女子たちは優子ちゃん含め、カレッジサーチャーズでも一際人気の探査者たちに会えるんじゃないかと色めき立っている。

 何人か聞いたことある名だ、たしかEMISIさんはアイのお気に入りだった。真っ赤な髪でチョイワルって感じのイケメンさんだな。

 

 やはり顔か、顔なのか。と思わず遠い目になる。

 ていうかカレチャが略称なんだ? カレーチャーハンみたいで、それは公式なんだろうか? そこもちょっぴり気になるよ、俺。

 

「え、誰ですその人たち?」

「動画配信で有名な学生探査者さんたちだよ、リーベ。カレッジサーチャーズってグループがあってだな──」

 

 首を傾げて誰何を問うリーベに、カレチャについて説明する。こいつは動画とかでも主にバーチャル配信者の動画を見てるから、ダンジョン配信とかは見ないんだよね。

 かいつまんで説明すると、感心したように彼女は吐息を漏らした。探査者として、今や全国規模の探査者集団であるカレチャについて知っといて、まあ損はないしな。

 

「──かくかくしかじかそもさんせっぱ。というわけだ、わかったかね新人リーベくん」

「なるほどー、それで先輩公平さんは何やら、イケメンを呪う顔になってたんですねー」

「なっとらんわ! どんな顔だそれ!」

 

 先輩風を吹かしてみたらとんでもないことを言われた。

 たしかにイケメンに対する羨みはあるっていうか、フツメン男子として当然の嗜みだと自負するところだけれど。呪うまではいかんよさすがに。

 と、宥さんと逢坂さんが言ってくる。

 

「公平様のご尊顔は、誰かと比べられるようなものではありませんよリーベちゃん? 愛らしくも凛々しい眼差し、遠く見据えるその表情はまるで、この世界の行く末さえも見抜いていらっしゃるかのような荘厳さを纏うご表情でこんなに素敵なお顔、この世のどこを探しても公平様の他にはおられません」

「え、えぇ……?」

「望月さんのアレはアレとして……私も、公平さんは結構かっこいいって思いますよ? やっかんで他の人を呪うなんて、何もそんなことしなくても……」

「してませんけど!?」

 

 着実に伝道師2号になりつつある宥さんに捕まってドン引きのリーベ。人聞きの悪い事を言うからそういう目に遭うんだよやーいリーベ〜!

 と、かくいう俺は俺で逢坂さんにいらぬフォローを受けてるし。かっこいいって言われるのは嬉しいし頬が緩むけど、やってもない呪いを咎めないでください。

 でたらめな嘘も、こういうふうに風評として扱われていくのだろうか? 怖ぁ……

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