攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

431 / 2046
シェンの胃袋は宇宙か?

 なんというか気の毒さが残る発表を終えて、ひとまず昼休憩を迎えることとなった。

 たっぷり1時間30分取るそうで、これは夏というのもあり、体調を慮って長めに取るのだとか。小早川さんのアナウンスに従い、講堂内には一時解散の雰囲気が漂う。

 

 お昼は学内の食堂が開放されているそうで、そこで食べていいとのことだった。イベント開始前、宥さんに案内された各施設にある、多種多様な学食だね。

 和洋中様々揃っているとのことだし、すごく楽しみだ。もうすっかり腹ペコだから、今なら何店かハシゴとかできそうな気がする。

 

「公平さん、お昼、お昼!」

「リンちゃん。お疲れ様」

「学食、たくさんあるって聞いた! 行こ! 目指せ全店舗制覇!」

「そ、そう……」

 

 と、ゲストの3人が例によってこちらに向かってきた。とりわけリンちゃんのテンションの上がりっぷりがすごい……待ちに待ったって感じだ。

 この子よく食べるし、さもありなんって感じだ。首都圏で初めてあった日も、中華街まで行っていくつもの店をハシゴしてひたすら食いまくってたくらいだもんな。

 途中、腹ごなしに自慢の星界拳を披露していたことも併せて印象深い。

 

「やあどうもミスター・公平。さきほどぶりですね」

「ベナウィさん」

「今しがたの発表、少しばかりミステイクが目立ちましたがよいものでした。一般の方には固すぎたきらいはありますが、私にはあのくらいの内容のほうがちょうど、聞きやすかったですよ」

 

 次いでベナウィさんが、今しがたの発表についてレビューしながらやって来る。この人的には結構好感触だったみたいだな。

 よかった。S級探査者の彼に認められたんならあの、発表者のお兄さんもいくらか報われるものだと信じたい。いろいろ難しそうな感じだったけど、必死というか頑張ってらっしゃったのは伝わってきたしね。

 いつかどこかでまた、発表を聞く機会があればその時はじっくり学ばせてもらいたい。

 

「結局、時間いっぱいまでどころか若干、オーバーする形で終わりましたね、午前の部は」

「あ、香苗さん。お疲れさまです」

「お疲れさまです公平くん。残念です、もしも時間が空いたりしたらその時間をお借りして、救世の会伝道師としてこの場にお集まりの救いを求める人々に救世主山形公平様への信仰の道を指し示し啓蒙することもできたでしょうに」

「時間いっぱいまでかけてくれて助かりました。さっきのお兄さんには感謝してもしたりませんね」

「なぜです!?」

 

 理解できません! とばかりに叫ぶいつもの調子の狂信者さん。空いた時間で伝道活動とか、恐ろしいこと考えるよねこの人ホント。

 隣で使徒が伝道師を、尊敬の眼差しで見つめているのがなおのことひどい。宥さんはどうも俺か香苗さんが絡むと狂信者モードが入っておかしくなるな……それ以外のところでは、まったくもって清楚で美人で可愛くてゆるふわあざといサークルの姫って感じの女子大生お姉さんなのに。

 

 ギャップに戦慄する俺はともかく、そんなゲストの3名を加えて俺たちは昼食を取るべく講堂を出た。竜虎大学第二学舎の公園に戻り、そこを起点にあちこちうろつくのだ。

 当然、人によって行きたいところも異なる。そのためグループを何人かに分け、それぞれ行きたいところに行こうという流れになっていた。

 

「ご飯! 学食巡り! 食べて食べて食べまくり!!」

「……という方は私とミス・フェイリンのグループへどうぞ。いわばそう、学食ツアーですね」

 

 ベナウィさんとリンちゃんのグループ、学食ツアー組。

 もう言うまでもなくフードファイトの気配しかないわけなんだけども、リンちゃんはともかくベナウィさんがそういうのに参加するのは正直意外だ。

 目を丸くする俺に、彼は苦笑いしてそっと呟いた。

 

「私はそこまで大食漢ではありませんよ、ミスター。言ってしまえばこのグループにおける保護者役です。ミス・フェイリンもやはり、社会的には未成年ですからね」

「ああ、なるほど」

「聞けばミス・御堂もミス・望月もフードファイトに興味はないそうですから。年長者として、ここは責任者を務めたく思います」

 

 ウインクしがてら微笑む。大人だ……ものすごく大人だ。

 たしかにゲストの3名の中、リンちゃんだけが唯一未成年だ。探査者としては一流であっても、社会通念においては保護者がついていてあげたほうがいい、そんな立ち位置でもある。

 それゆえにベナウィさんが今回、保護者という役割を買って出たと言うことなんだろう。紳士的というか、良識的な人だよなあ。

 

「私、学食ツアー行く!」

「かわいいかわいいリーベちゃんもー! グルメチャ〜ンスは逃しませんよー!」

「あ、じゃあ私も。大学生ってお昼、どんなご飯食べるのかあちこち見たいですし」

 

 そんなベナウィさんとリンちゃんの学食ツアーには、優子ちゃん、リーベ、そして新島さんが参加するみたいだ。

 新島さんはともかく妹ちゃんとリーベは、完全にフードファイトする気満々だね……晩ごはん食べられる程度に抑えとくといいんだけど。

 それこそ母ちゃんが、お残しは許しませんってなっちゃうからね。




ブックマーク登録と評価の方、よろしくおねがいします
明日から一日一回、0時投稿に戻ります。よろしくおねがいします。

7/1、本作「攻略!大ダンジョン時代 俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど」1巻が発売されています

WEB版において揺れたりブレたりしていた口調設定その他諸々を統一、言い回しや各シーンをより良い形で加筆修正を行いました
また書き下ろしで山形の中学生時代の話も掲載しております

書籍、または電子書籍でお求めいただけます
なにとぞよろしくおねがいします
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。