攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

436 / 2046
ドラゴン退治でつながるキズナ

 ところで当のタカちゃんナカちゃんは、どうしてここに? とイベントに参加している理由を聞くと、意外な答えが返ってきた。

 なんでも高木さんが実は竜虎大学のOBだそうで。別の大学で一回生をしている中島さんを誘い、母校で行われる探査者イベントだからと参加したらしいのだ。

 

「大学いた頃、タカちゃんまだ一般パリピだったんでェ、せっかくだし母校のカレチャとか覗いてみてぇなあって思ったんすよねェ〜」

「そうだったんですか! お二人とも、進学されてるんですね」

「まあ、学ぶことに価値がない場面なんてないからね。探査者として、学びの機会を得るのは大切だと思ったから」

「ってな感じで知り合いだとォ、ナカちゃんがいっちゃん真面目ってかカッケェんで誘って来てみたんよウェイ!」

 

 ウェアウェアウェイウェイ言いつつも、両手でサムズアップする高木さん。中島さんもそれに苦笑しつつも、サムズアップで返している。仲良しかよ。

 マジで仲いいんだな、この二人……っていうか意外なんだけど、あの探査者ツアーに参加してた人たち、結構SNSで繋がってるみたいなんだよな。

 

 話を聞いてると、ドラゴン相手に一致団結したことで吊り橋効果じゃないけど、やたらみんなで意気投合したようで、ツアー終了時に有志でSNSのグループを立ち上げたとか。

 年齢も経験も実力も級すらもバラバラながら、上述の経緯ゆえか不思議と繋がりが強いコミュニティになっているそうだ。

 

 俺とダンジョン探査してくれた奈良さんや新田さんはじめ、掛村さんや関口くんさえもそのグループに参加しているんだってさ。

 正直そんなの全然知らなかったんだけど、そこはやはり入院で途中離脱したのが響いてたみたいだ。香苗さんやマリーさんも俺の見舞いやら騒ぎの事後処理やらで離脱しているから、彼女たちも知らない話かもしれないね。

 

「正式な集団として活動してるわけじゃないから、気楽に参加できるのは助かっているよ。僕は……まあいろいろあって、友だちの少ない出身なんだ。だから、あのツアーで世界が広がった気すらしてるよ」

「へ、へえ。それはなんていうか、いい話じゃないですか」

 

 いろいろあって友だちの少ない出身って、何それ怖ぁ……絶対アレじゃん、修めてる武術関係じゃん。

 ジワっと滲み出るような闇を察知して反応に困る。やけに嬉しそうというか、若干遠い目をしているのがなんとも触れづらい。

 高木さんが、フウーッと甲高く声をあげつつもツッコんだ。

 

「ウェーイ……ナカちゃんさあ、たまーに壮絶な過去匂わせにかかるよね」

「……えっ!? そ、そうかな。そんな面倒くさい言動してたんだ、僕……」

「そうだよ。いいじゃん過去は過去で今は今だし未来は未来、気にせず行こーぜウェイ〜」

「は、はは……そうだね。タカちゃんのいうとおりだ」

 

 軽く言って、その場で手足をくねくねはしゃがせて不思議な踊りを披露してきた。タカちゃん軽っ、ナカちゃんも自覚がなかったのか、困惑してるし。

 でもなんか、サラリと言われたことでどこか嬉しそうにも笑っているな。自覚がなかったあたり相当、無意識に過去を引きずっているんだろうけど、だからこそ過去は過去と断言してくれた高木さんが、ありがたいんだろうな。

 

 ──と。香苗さんたちが向こうから戻ってきた。手にはそれぞれ、トレイに料理の盛られたお皿を載せている。なんか給食みたいでワクワクするかも。

 高木さんも気づいたようで、そんじゃあと言ってきた。

 

「俺ら昼飯食ったし、ちょっくら散策してくっぜぇ〜。ヤマちゃん、午後からのイベントもよろしくなぁ!」

「ああそうだ、さっき言ってたSNSを教えておくよ山形くん。他のみんなも君のこと、気にしているからね。一言だけでも無事だと伝えてもらえると、みんな喜ぶよ」

「あ、ありがとうございます」

 

 入れ違うように退散するみたいだ。中島さんから件のツアー参加者SNSを教えてもらって、二人は俺に手を振りながらも去っていく。

 なんていうか、相変わらず不思議なコンビだったな。でも変にしっくり来るから、やっぱり相性がいいってことなんだろう。

 ツアーの人たちのコミュニティも教えてもらえたし、思わぬ出会いでまた、俺の世界も広がっていきそうだ。

 

「お待たせしました公平くん。先程の二人は……たしか、GW中の探査者ツアーで見かけましたね」

 

 席に戻ってきて、トレイをテーブルに置きがてら香苗さんが聞いてきた。この人もツアーに参加して、ドラゴン退治の総指揮もしていたからか、高木さんと中島さんに見覚えがあったみたいだ。

 俺は頷き、答えた。

 

「ええ。高木さんと中島さんですね。金髪のほう、高木さんがこの大学のOBだそうで、イベントに参加しているみたいなんですよ」

「そうなのですか? ということは私の先輩なんですね、ええと、高木さんは」

「あ……と、そうなりますね。宥さん、高木さんの後輩なんだ」

 

 言われて気づく、実は先輩後輩関係にあたる高木さんと宥さん。あのチャラいパリピと文学系清楚美女が、時期は離れているにせよ同じ竜虎大学生ってことなんだな。

 ……結びつかねえ〜。大学ってやっぱり、当たり前だけどいろんな人がいるよなあ。




ブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします
書籍1巻発売中です。電子書籍も併せてよろしくおねがいします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。