攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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クッキングアイドル・愛妻?リーベちゃん!

 隣県は竜虎大学の、探査者イベントにお邪魔させてもらってから早、2日ほどが経つ。

 相変わらずも夏は盛りで、毎日毎日危険なまでの暑さが続く。こうなるとダンジョン探査もなかなか行くの面倒くさくなるなあって感じなのだけれど、それでも行かないわけにもいかない。

 

「公平さん、今日は探査ですかー?」

「ああ、もうちょいしたら出かける。例によって香苗さんも一緒だよ」

 

 朝、ご飯も済ませて自室。

 リーベが当たり前のように居座り、アイと戯れながらも聞いてくる。答えて俺は、スマホを操作しなあがら続けた。

 

「晩ごはんには普通に帰ってくるとは思うよ。長丁場のダンジョンにもそのうちまた、潜ろうかなーとは思ってるけど今日はサクッと済むのをこなすさ」

「よかったですー! 今日のお夕飯はカレーですよー! お母様監修の元、かわいいかわいいリーベちゃんと優子ちゃんの共同作業ですー! 挑戦、挑戦!」

「きゅー、きゅー!」

 

 はしゃぐリーベに甲高く鳴くアイ。そうか、今日は二人の作るカレーかぁ。

 リーベの料理の腕前はこないだ味わったから不安はないけど、優子ちゃんとってのは率直にいって不安だ。あの子、料理始めたの昨日じゃん……

 

 探査者イベントから帰っての晩、夕食を食べているとおもむろに母ちゃんが言い出したのだ。優子、あんた明日から料理しなさい、って。

 なんで!? とあまりに唐突な話に愕然とする妹ちゃんだったけど、成績不振とリーベが頑張っていること。何より夏休みで壮絶に暇々してるでしょうとあれこれ連ねられてはぐうの音も出ない。

 

『あの公平ですら、2日に1日は世のため人のためにダンジョン探査してるんだよ。あんたもちょっとは見習いなさい』

『ううう……わかりましたあ』

 

 と、いうやり取りがあったわけなんだけど。なんだろう流れ弾が俺に来てる気がする。

 あの俺ですらって何? もしかして中学3年の夏休み、勉強そっちのけで新作ゲームやり倒してたことを今でも根に持っていますかお母様? 怖ぁ……妹ちゃんも一切反論とかフォローとかもしてくれないし。かなしい。

 

 さておきそんなわけで昨日から優子ちゃんも、リーベと並んで母ちゃんの料理教室を受けることになったのである。

 ただまあ、前にも言ったけど母ちゃんの説明下手は世界レベルだ。頭の中で思ってることをまるで言語化できてない感じがすごいので、精霊知能たるリーベとは異なり妹ちゃんは難儀することだろう。

 無理せず、気長にやっていってほしいもんだね。

 

「わかった。二人のカレーを楽しみにして、今日の探査は頑張ってくるよ」

「はーい! 愛妻あーんど愛妹料理、絶対に美味しいって言わせちゃいますからねー!」

「愛妹はわかるけど愛妻……?」

「そこ引っかかりますー!?」

 

 引っかかるでしょそりゃあ。俺はまだまだ独身でございましてよー。

 と、軽口にて応えつつスマホを見る。探査者専用のチャットアプリで、複数人でグループを作り、そこで内輪の話ができる。この間のイベントで中島さんから教わったもので、俺も昨日から一つ、グループに参加している。

 今日も今日とて朝から賑やかなチャット画面を見てつい、にやつく。

 

「元気そうにしてるなあ。新田さんに掛村さん、それに奈良さんも」

 

 そう、高木さんや中島さんと同じく探査者ツアーの時に知り合った3人、新田さんと掛村さん、奈良さんが朝から会話に混じっていたのだ。

 別の探査者さんの振ってきた話題にそれぞれ、個性的な反応を返している。

 

 新田さんは顔文字をふんだんに使ったなんていうか、まだまだ若いぞ! 的な感じだし、掛村さんは言葉少なで淡白な感じだし。

 奈良さんに至ってはリアル同様叫びまくってるよ。うおおおお! とか暑さに負けない正義で探査だぜー! とか。あの人どんな時でも熱血なんだね。

 ああ、彼に対しての反応が概ねスルーかお、おう……みたいなドン引きばかりだ。つらい。でもまあ朝からされると若干、胸焼け感があるのは正直わかるよ。

 

「あー、アイの騒ぎの直前で一緒に探査していた人たちですかー。こないだも二人、来てましたよねイベントに」

「あの頃はお前、まだ俺の脳内住みだったもんな。俺の視界をつうじて知ってはいるか」

 

 スマホを眺める俺に、リーベが話しかけてくる。

 彼女はGW時点ではまだ、受肉条件を満たしていなかったために今のアルマみたく、俺の脳内に住み着いていたのだ。

 懐かしいなあ。アルマと違ってすぐ騒ぐから、脳内でやかましくて仕方なかったんだよ、この子。授業中の目覚ましとか、細かい場面でのアドバイスとか。そういうところではもちろん、世話になったんだけどね。

 振り返りながら答える。

 

「あのツアーに参加していた探査者のみんな、ずいぶん仲よくなったみたいでさ。こうやってグループチャットで集まって、ちょっとした探査者サロンを作ってるんだよ」

「へー! え、あのツアーってそんな、終わったあとまでガッツリグループを形成しちゃえるものなんですか!?」

 

 ビックリして、次いで質問してくる。リーベも思ったようだけど、俺としても意外な話、ツアー終了後にこんなふうにして繋がりが維持されるものなんだ……って思いはある。

 探査者同士の交流が目的だったとはいえ、ぶっちゃけ終わってから縁を結ぶなんてこと、めったにないと思ってたしな。




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