攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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求む:追放されたあと無双しそうなタイプのサポーター

 探査者ワークショップにて、E級探査者用のアイテムを見繕う。武器は俺にはなんの縁もないので、防具とアイテムの二択になる。

 

 たとえば防具。F級の時には下着に耐刃耐圧シャツを着て終わりというものだったが、E級になるとちょっとグレードアップする。

 耐刃性能がアップし、さらに耐圧のみならず耐熱耐寒も付いている。要するにこれを着てればどこでも同じような体感温度になる、らしい。本当かよ。

 

 安全靴は割と分かりやすくパワーアップしている。これまでのものは爪先部分だけに鉄が仕込まれている、普通のワークショップで売ってるのと大差ないものだったわけだが。

 今度のE級用のは、何と靴底まで分厚い鉄でできている。その分、重量もアホみたいな重さで、非探査者だと履けはしても歩くなんてとてもじゃないけどできなさそうな代物だ。

 

「F級でも、最初のうちはこれを履くことは難しいでしょうね。レベルが上がるうちに、筋力も強化されていくので難なくなっていきますが」

「そうですね……最初の新人用ダンジョンでこれ履けって言われたら相当キツかったと思います」

「公平くんの場合は、スキルもありますから余裕じゃないですか。ソロという条件付きですがやはり、身体能力10倍はとてつもないですよ」

 

 それはたしかに。逆に言えば俺だったらいけるわけだけど、他の人ならたぶん、行けてないわけで。

 身の丈に合った装備を付けることの大切さが、なるほどよく分かる一品だと思った。

 

 さて、お次はアイテムだ。こっちはまあ、特に代わり映えはない。

 懐中電灯に、携帯用の消毒液に絆創膏、ガーゼなどの救急キット。念の為にロープとかピッケルをカバンに入れる。

 

 たまにあるみたいなんだよ、ダンジョンの入り口が変に深く、しかも脆いパターンが。そんでもって探査者が入る時に崩れて、踏破したものの出てくることができないみたいな話も冗談みたいだけど、ある。

 それがたとえば町中とか、人気の多い場所のダンジョンだったらまだ良いけれど……誰も来ないような森の奥でそんな目に遭い、結局ダンジョンコアを握りしめたまま餓死したって報告も、もうずいぶん古い話だけどある。

 

 俺なんかはスキルの効果でゴリ押ししがちだから忘れそうになるけど、基本的にダンジョンなんて殺意の塊だ。

 モンスターは言うまでもなく、ダンジョン自体も危険な罠だらけだ。上級向けのダンジョンになると、踏むと即死ぬトラップなんてのもあるとか。鬼か。

 

「どこまで何を用意したら良いのか、分からなくなりますねえ」

「持ち込みすぎても嵩張りますしね。通常は、複数人でパーティを組んで各人、異なる方向性で備えをしてくるものですが……」

「俺、基本ソロですからね」

 

 ソロ戦闘でなければフルパワーを出せない、スキルの仕様がこの時ばかりは恨めしい。上級になればなるほど、増えていく罠などダンジョンの悪辣さに俺は果たして耐えきれるのだろうか?

 現時点で判明している、俺という探査者が抱える問題の一つでもある、ソロゆえの対応力の低さ。これは早急にどうにかしたいところだ……どうにかなるの? これ。

 渋面を浮かべる俺に、香苗さんは少しばかり考えてから、こんな提案をしてきた。

 

「公平くんのみ戦闘要員のパーティ……いえ、この場合はキャラバンとでも言うべきですかね。そういう形で団体を組んでみる、というのはありかもしれません」

「キャラバン? 俺だけ戦闘要員って、他の人はどうするんですか」

「それこそ荷物持ち、あるいは探索や索敵、斥候などを任せるんです。そういった役割のメンバーさえ、戦闘時の仲間と見做すようならば無理筋ですが……通るならば公平くんの負担は明らかに減ります」

 

 なるほど……戦闘面以外で役割を持つ、いわゆるサポーターたちと一緒に組むのは、それならありかもしれないのか。

 例のスキル《風さえ吹かない荒野を行くよ》の効果は《一人で戦う時、全能力が10倍になる》というものだ。ここから読み取れる分には、一人で戦いさえするならば、別に何人組でダンジョンに潜ろうが関係ないんじゃないか?

 どうなんだリーベ、お前の見解を聞きたい。

 

『んー……まあ、ありだとは思いますよ? ただ、相当な腕利きを用意しないと、公平さんが単なる護衛係になりかねないとは思いますけど。サポーターが戦意を持った時点でもう、一人で戦ってない判定食らう可能性だってありますしー』

 

 げ……そんなシビアなのかもしれないのか。となると相当厳しいぞ。

 大体サポーターっても、ダンジョンに潜る以上は戦う術は当然、持っているんだ。そんな彼らに一切の戦意を放棄させて、ひたすら俺のサポートだけしろと? モンスターに出くわしても、絶対に反撃しないどころか敵意すら持たずに、俺の応援だけしていろと?

 

 無理だ、それは。そんな影そのものみたいなサポーターは探査者としてやっていけない。よしんばやっていけたって、そこまで特化した人がそこいらにいるとも思えない。

 香苗さんにその旨伝えると、彼女も同じ結論に至ったみたいで、残念そうに自分の意見を撤回していた。

 

 実現できたら最高なんだけどね。いくらなんでも、現実味がないよね……

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