攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─ 作:てんたくろー
スキル《俊足》を活かしたヒットアンドアウェイ戦法、スピード重視の立ち回りをするチョコさんと、召喚スキルを駆使して後方から立ち回るアメさん。
それでは残る一人、ガムちゃんのステータスとそれに伴う役割はどうなっているのか。順当に考えればサポーター、もしくはヒーラーってところだけれど……
「私のステータスです。まあ、それなりには自信ありますけど」
淡白にメモを見せるガムちゃん。なんていうかクールだ、逢坂さんをさらに物静かにしたような感じだろうか?
ともかく用紙を見る。どれどれ?
名前 新潟花夢 レベル7
称号 探検家
スキル
名称 縄術
名称 忍術
名称 気配感知
称号 探検家
効果 ダンジョン進入中、罠や隠し部屋の存在を感知しやすくなる
スキル
名前 縄術
効果 縄を使った技術の習熟に補正
名前 忍術
効果 忍術を使用可能
「新潟花夢。《縄術》での護身術に加えて《忍術》でいろんな属性の攻撃を行う……この子は極めて特殊な子ですね。《忍術》なんてスキル、大ダンジョン時代でも数えるほどしか保持者がいなかった超レア物らしいですから」
「存在こそ知っていましたが、実際に保持者と会うのは初めてですね、私も。魔導系や魔法系には及びませんが、その分多種多様な属性の範囲攻撃が行えるとか」
「はい。過去の文献を紐解くと火遁や水遁、風遁なんかも使えた同スキル保持者が過去、何人かいたみたいです」
ガムちゃんは前二人とはさらに異なり、極めてレアなスキルで独自の立ち回りを行う子のようだ。《忍術》とはまた、面白いものを持ってるなあ。個性の塊じゃないか。
たしかこのスキルは、あらゆる属性の範囲攻撃を使えるという汎用性の高い能力なんだけど、その分威力は各属性専門の魔導系、魔法系には遠く及ばないという塩梅になっていたはずだ。
器用貧乏と言われればそれはそう、と言えちゃうんだけど様々な状況に対応しやすいってのは、探査者としては大きな利点でもある。
だからレベルが上がっていくと、もしかしたらガムちゃんが一番実力的には伸びるのかもしれないな。
「ガムは今のところ火属性の火遁のみ使えます。他の忍術の習得条件が果たしてレベル依存なのか、自力で編み出す必要があるのかは定かでないのですけど……複数属性の術を使えれば、あらゆる場面でなんらかの役割を持つことができる、オールラウンダーになることが期待できますね」
「忍術自体が、威力が総じて低いという欠点はありますがたしかにそうですね。ふむ……なるほど面白い3人組です」
「そうですよね! ありがとうございます!」
それぞれがそれぞれに個性豊かな三人娘を、自慢げに誇る関口くん。心底から彼女たちの教官として、しっかりと指導してあげたいって気持ちがありありと見える。
こうなると俺も香苗さんも、協力することに否やはない。香苗さんにとっては後進、俺にとってはほぼ同期の人たちだからね。何か力になってあげたいって思いは当然ある。
香苗さんが俺に、尋ねてきた。
「公平くんは彼女たちのステータスから何か、気になるところや方針などは思い浮かびますか? 私としては、3人とも今は自身のすでに持っているスキルを、ひたすら研鑽していくべきとは思うのですが」
「俺もだいたい同じ意見ですね。ただ、アメさんに関しては少し、身の振り方を考える必要があるのかなー? とかはちょっと、思ったりしますけど」
「私?」
いきなり指名されて驚いた様子のアメさん。関口くんや他の二人も、目を丸くしてこちらを見ている。
いやまあ、そこまで大した話じゃないんだけどね。アメさん……鹿児島天乃さんのステータスから探査スタイルを想像した時、どうしても気になる点がいくつかあるってだけだから。
努めて穏やかに俺は笑い、説明する。
「率直に、《召喚》以外で自衛できるスキルはあったほうがいいかなってのがまず一つ。今見た感じだと、召喚したモノが無力化された場合、アメさんが事実上行動不能に陥りますし」
「ああ、そこか。それは俺も考えていてな、一応《柔術》なり《合気》なりの護身術を、技能訓練校なりで身につけられないか確認してる」
「お、さすが。それなら俺の言うことじゃなかったね、失礼しました」
自衛力のなさは関口くんも憂慮してたみたいだ、よかった。技能訓練校にまで確認してるとは、さすがにフットワークが軽いや。
《柔術》や《合気》ってのも、あくまで自衛力に焦点を当てた感じだね。いずれにせよ関連技能の習熟速度が早まる系のスキルだけど、自身のスタイルを確立する上で取っ掛かりになるって意味では大事だからね、この手のスキルも。
じゃあその点は問題なし、として。
もう一つ、ここは香苗さんでも知らないかもしれないなってところを俺は指摘した。
「それと、《召喚》について。おそらくアメさんのメインスキルになると思いますけど、ここも少し考える必要があるかなーと」
「それは、どういう?」
「あのスキルは元々、概念存在が各自定めている条件を満たすことで、対応するモノを呼び出せる能力なんですけど……そもそもそのへんの条件についてある程度知らないとランダムに近くなるので、とにかく安定性が低いんですよね。レベルが低いと満たせる条件数も少ないので下位下級の連中しか呼び出せないですし──っと?」
問われるがまま、俺の知る限りでの《召喚》の仕様について喋っていると、何やら関口くんと三人娘の視線がおかしい。
何この人、詳しすぎてキモい……みたいなそんな視線を感じる。つらい。
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