攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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自由度の高いコンフィグは大体バグの温床

 アメさんの《召喚》について思うところをつらつら述べていると、関口くんはじめおかし三人娘から変な目で見られてしまっている。

 あれか、ちょっとベラベラ喋りすぎたかもしれないか。考えてみれば新人の俺がそんなとこまで知ってるっておかしな話だし、怪しまれるのも当然かもしれない。

 俺は誤魔化し笑いを浮かべ、頭を掻いた。

 

「……って、こないだ読んだ"スキル・称号学研究"って本に記載されてたんだよ。最近スキルに凝っててさあ、つい早口になっちゃったんだ、あはは。キモくてごめんなさい」

「いや、まあ、そうか……キモいとまでは言わないけど、早口だったのはそうだな」

 

 関口くんの微妙な表情が心に刺さる。和解してから相当態度が軟化している彼なわけだけれど、今回ばかりはもうちょい辛辣でも構わないですよ? 早口だったのはマジで自覚なかったしね怖ぁ……

 ふと当のアメさんを見ると、目を丸くしつつもなるほど、と呟いている。

 

「特殊な存在……概念存在って言うのね? その方々を呼ぶにも、向こうが提示する条件を満たす必要がある、と。条件の意味が正直わかってなかったんだけど、そういう仕組みなのね」

「召喚スキルについて、組合とか教育のほうで何かしら指導などは受けられたり、したんですか?」

「触り程度には、ね。召喚スキル自体、不明瞭な箇所が多いから実用的な部分がメインで、理屈のほうはあんまりって感じかしら」

「そう、なんですね……」

 

 たしかに召喚関係のスキルは、オペレータ側には未知の部分が多いだろうな。概念存在とダイレクトに交信する以上、何かの拍子にシステム側にアクセスしないとも限らないから、WSOっていうかヴァールも過度の理屈は制限しているのかもしれない。

 ただ、少しばかり締めつけすぎていてこれはこれで危険だ。概念存在には人間に対して敵対的なモノだって少なくないんだし、理屈と知識はそれなりに備えていなければよくない現象を引き起こしかねない。

 さすがにこればっかりは、ヴァールに口添えしてみるか……?

 

「それで公平くん。つまるところ鹿児島さんはもっと、概念存在について知る必要がある、ということでいいのでしょうか? そのモノたちが示す条件というのをどうやって知るのか、私にもとんとわかりませんが……」

 

 香苗さんが言う。アメさんの成長のベクトルとしては、まあ平たく言えばそうなるな。ひたすら概念存在についての知識を仕入れ、その性質、有り様に理解を深める。

 前にどこかで言った気がするけど、召喚スキルは結局のところ概念存在との交信権にすぎない。条件を満たすことで該当するモノたちと接触し、交渉した上でその力を借りる。つまるところコミュニュケーション力を問われるため、相手のことを知っておく必要があるのは当然のことなんだ。

 

「そうですね。アメさんは特に称号効果で神々とのやり取りが多くなりやすいみたいですし、神話関係のいろんな本を読んでみてもいいかもしれません。条件と呼び出せる存在については、スキルを使えば自然とわかるはずです」

「そうねえ。《召喚》使用時にステータス画面と同じ枠が表示されるわ。"現在達成可能な条件一覧"に"召喚可能な存在"って感じで、呼び出せるモノの名前も書いてあるわね」

「ゲーム画面みたい」

 

 ガムちゃんがボソリと呟いた。俺もそう思うしみんなも同じみたいだ、軽く頷いている。

 システム側からのアナウンスを可視化すると、どうしてもゲームっぽくなるものなんだろうな。そのへんに関してコマンドプロンプトは一切関与してないけれど、仮にワールドプロセッサの立場としてシステム画面を作れって言われたら、おそらく同じようなものを作るだろう。

 変にステータス画面を着飾る必要もないし。ああでもそういうところ弄れたら、楽しいって思うオペレータもいるんだろうな、中には。

 ゲームのオプションとかコンフィグをなんとなく思い浮かべつつ、俺はひとまずと口を開く。

 

「3人のステータスはわかったけど……正直、そこまでシナジーのない組み合わせとも思えない。それぞれ近距離と遠距離のアタッカーを担当するチョコさんにアメさん、そしてオールラウンダーなガムちゃん。ダンジョン探査だといくらでもあるパーティー構成だと思うよ」

「そうですね。それでも動きが噛み合わないというのなら、それは3人の性格面、行動面での連携が取れていないということになりますが……そういうことですか、関口?」

「そう、なりますね。俺としてもどうしたもんかと悩む次第でして。他の教官役にも相談しようと考えていた矢先、香苗さんにたちにお会いした感じです」

 

 困ったように関口くん。仲もいい、役割分担もできてステータス面でも食い合わせはそこそこな3人が、それでもなぜか動きがとっ散らかっているという事実に悩んでいる様子だ。

 三人娘も苦笑したり縮こまったりしながら申しわけなさげにしている。別にわざととかってわけじゃないんだから気にしないでほしいんだけど……やっぱり自分たちが原因で教官役や先輩、同期が悩んでいるのは心苦しいんだろうな。

 どうにか力になってあげたい、そう思う俺だ。

 

「こればっかりは実際に見てもらうしかないんでしょうね。明日とか、二人ともお時間もらえますか? 一緒にダンジョン探査して、実地で見てほしいんです」

「私は構いませんが、公平くんはいかがですか?」

「全然構いませんよ。むしろ、彼女たちの探査を見たいと思っていたくらいです」

 

 そもそも暇だしね。夏休みの高校生を舐めてはいけない、とにかく暇なのだ。

 ともあれそういうことなので、翌日にみんなでダンジョン探査をして、実際に三人娘の探査を見学することに話は進んでいった。




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