攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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インチキ結界にはインチキ結界をぶつけるんだよ!

 モンスターよりモンスターだコイツ、みたいなよくない目で見られてしまっている俺はさておき、部屋を抜け出て道を進む。

 次の部屋、出てくるモンスターに関しては香苗さんが受け持つ手筈になっている。俺の戦い方にドン引きするなら彼女の戦い方も十分、ドン引きに値すると思うんだけどなあ。

 関口くんが道すがら、にこやかに笑って香苗さんに話しかけていた。

 

「まったくちっともこれっぽっちも参考にならなかった山形とは違って、香苗さんの戦いは絶対に参考になりますからね! 俺も含めてみんな、勉強させてもらいます!」

「ひどい」

「公平くんが参考にならなかった? やはり節穴ですね、御方のお姿こそ探査者すべてが目指すべき理想の姿だというのに」

「えー……? その、正直ビームとか参考にはならなかったんですけど山形パイセン」

 

 人を勝手にすべての探査者の理想像だと主張している伝道師さんはともかくとして、ちくちく言葉で僕の心を執拗に突っついてくる彼はやっぱり関口くんだと思う。なんならニヤニヤ俺を見てくるのが微妙にイラッとくるし。

 おまけにガムちゃんまで控えめな声色で、けれどバッサリと参考にならない旨を伝えてくるのだからあまりにむごい。ビームやスキルはともかく、移動法とか攻撃に移行する時の体捌きとか何かしらあったろ!?

 

 ……と、思うけれどさすがにそのへんは地味すぎる部分だ。なまじ攻撃自体が派手派手しいものばかりだったし、そんな細かい身体の動かし方に目を向けろだなんてとてもじゃないけど言えない。

 ビーム撒いといて見るのはそこじゃない、なんて言ったら理不尽だよなあと、我ながら山形光線の派手さを思い知る気分だ。

 

 そういうわけで、ガムちゃんはじめ三人娘は仕方ないにしても。関口くんについてはへーへー、参考にならない探査者で悪うございましたね! どーせ俺なんかステータスがポエムノート扱いされるような探査者ですよーだ! と子どものような拗ね方を若干、決め込みたくなる。

 と、そんな俺にアメさんがおもむろに近づいてきた。キョトンとする俺に、彼女は穏やかに微笑んで言う。

 

「疑ってごめんなさいね。その、あまりにも現実味がないからつい……本部長の判子に御堂さんのお墨つきまであるのだから、嘘だなんてありえないのにね」

「あ、い、いえ〜その。たしかにレベルとかぶっ飛んでるんで、仕方ないかなーとは思います、あははは……」

「うふふふ〜。でも3ヶ月でそんなステータスだなんて、本当にどうなってるのかしら。見たこともない蒼色のコートもだけど、君って不思議ね〜」

「い、いやーははは……」

 

 色っぽい清楚さ、というなんとも矛盾した表現だけど、アメさんからはまさしく、そんな清々しい色香のようなものを感じる。

 年頃の男子高校生としては嬉しいような気恥ずかしいような心地になり、愛想笑いばかりついつい浮かべる。

 なんていうんだろう、巫女服とか似合いそうな人だ。称号が巫女なんだし、いっそ格好も合わせてしまえばいいのに。

 

「思えばその蒼いコートもすごいですよね。なんて名前の装備なんですか?」

「なんか特殊な素材で出来てるって言ってましたね。なんかすごい能力とかあるんですか?」

 

 アメさんに続けてチョコさんとガムちゃんからの質問。今朝方もだけど、みんなしてそんなにこのコートが気になるものなんだろうか。見れば関口くんも興味深げに見てきてるし。

 さておき、どこまで答えるべきかな。全部説明するとシステム側のあっちこっちに話が飛ぶし、そもそもややこしくなるからあんまりしたくないんだよな。

 

 まあ、問題なさそうなところまでは答えようかな。そう思い、俺はコートの名前を教えた。

 

「えーと。このコートっていうか服装一式、併せて神魔終焉結界って名前だよ。変な名前に聞こえるだろうけど、一応正式名称かな」

「神魔、終焉……結界?」

「また大層な名前だな。山形が考えたのか、やっぱり」

「やっぱりって何?」

 

 呆れたような、面白がるような関口くんはさておいて、まあ大層なネーミングであることは認めざるを得ない。

 自分でつけといてなんだけど、結構いい感じな気はするんだけどなあ。簡単に言うと天地開闢結界へのカウンター装備として作ったから、対になる塩梅で神魔終焉結界。

 よくない? ねえアルマ、これよくない?

 

『ノーコメント。強いて言わせてもらうなら、この僕の究極権能である天地開闢結界に対抗しようって考えがすでに腹立たしい。デザインを僕が担当したってところまで含めて腹立たしい。詫びとしてまた回転寿司を食べに行け腹立たしい』

 

 なんでだよ! お前の好き嫌いはともかく回転寿司は関係ないだろ!

 ぶっきらぼうな脳内のアルマに思わず突っ込む。こいつ、やっぱりというべきか天地開闢結界への自信とプライドがすさまじいな……ある意味でこいつのすべてを支えていた、根幹に位置する能力だからな。

 

 はっきり言って、天地開闢結界が健在だった場合の邪悪なる思念相手には、どうあがいても勝ち目なんてなかったほどだ。

 神魔終焉結界を装備した俺でようやっと千日手に持ち込めるんじゃないかなってくらい、インチキ権能なわけだね。




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