攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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アイエエエシキカン!?シキカンナンデ!?

 風評被害も甚だしい、年上キラーなる不本意なあだ名をいつの間にかつけられていたのはさておくにしても。

 俺の、アメさんに対しての提案は彼女にとって一筋の光明だったらしく、ものすごく感謝されるに至った。

 

「ありがとう山形くん〜! さすがシャイニングだわ、ホントに救世主みたい!」

「あ、いえ。少しでもお力になれたならよかったです」

「救世主みたい、ではなく本当に救世主なのですが? そこは確信するべきなのですが鹿児島さん?」

「そうね〜! 山形くんは私の救世主よ、ありがとう!」

 

 何がどうさすがシャイニングなのか知る由もないけど、どうあれアメさんの現状を打開する献策ができたみたいでよかった。香苗さんのいつものアレにさえ嬉々として乗っかるテンションには、逆に喜ばれすぎて若干温度差を感じてくるほどだ。

 そんな浮かれ調子の彼女を見てポツリと、

 

「やっぱ年上キラー……?」

 

 と、つぶやくガムちゃんも地味に怖い。普通に感謝されているだけなのをそういうふうに言わないでくれます?

 たぶん件のあだ名も話が膨れに膨れた結果なのだろうなと、なんとなく直感する俺だ。

 

 そんなやり取りも一頻りして、そろそろダンジョンのある総合スーパーにたどり着く。今回は施設内なので、ちゃんとお店の人に許可を取ってから入らないとな。

 

「よし。じゃあチョコ、君が店長さんに話をとおしてもらえるか。昨日と同じ感じでやってくれればいい」

「あ、はい。わかりました、行ってきます!」

 

 指導の一環でもあるんだろう、取次をチョコさんに任せる関口くん。こういう、ダンジョンに入る前後の手続きやら報連相なんかも探査者の大事な仕事だからね。

 店長さんに面会するために店内に一人、入っていくチョコさんを見送ってから後。関口くんはその間に、三人娘の残る一人を見た。

 

「さて、最後にガム……君の場合は正直、探査業に関わらず日常生活からの素行の話になってくるからなあ」

「刺々しい言葉とか悪口陰口はやめましょうって、小学生みたいな話ですしね。一応、苛つかなきゃ気をつけてはいるんですけど」

 

 肩をすくめるガムちゃん。彼女もアメさん同様、自分の課題に自覚的なんだけれど……方向性がダンジョンとか探査者とか関係ないんだよね、実際。

 何しろ立ち回り自体はしっかりしている。新人だからそもそもの実力こそまだまだだけど、頭を使って周囲を見て、稀少かつ有用なスキルで攻撃からサポートまでマルチにこなす動きぶりは、はっきり言って三人娘の中では頭三つくらい抜きん出ている。

 彼女に関して言うなら、別にソロなり他の探査者と組むなりしても全然、やっていけるだろう。

 

 それでもおかし三人娘として活動していきたいという想いはガムちゃんにもあるようだし、だったらこのパーティでうまくやっていけるようにしないといけない。

 となると、やっぱりネックになるのは土壇場でめちゃくちゃ口が悪くなるっていうところだね。

 

 と、ここで今度は香苗さんが挙手した。彼女も俺のように、何かしら腹案があるんだろうか。

 すぐさま関口くんが応対する。

 

「どうされましたか、香苗さん。何かお考えが?」

「ええ。まあ、これはあくまで提案ですが……」

 

 凛とした面持ちで告げる彼女の、クールかつ自信に溢れたその姿。

 探査者として最高峰の領域にまで登り詰めた天才としての威容が存分に発揮していて、新人のアメさんとガムちゃんに息を呑ませているな。

 

 俺の場合、この人は初対面でいきなり連絡先の交換を迫ってきた肉食系指導教官のお姉さんだったので、ある意味親しみやすさはあったけれども。

 そこまで関わりのない上にそもそも、S級探査者と話す機会もそうないだろう二人にとってはいろいろと刺激的なんだろうね。

 

 そんな大ベテランの貫禄を見せる香苗さんは、一同に向けてこう提案した。

 

「新潟さんには戦闘中、徳島さんと鹿児島さんに指示を与える役割をメインとしたほうがいいように思うのです。いわゆる戦時下における、指揮官役ですね」

「指揮官役……!? たしかに咄嗟の場面では、ガムが指示を投げていますが」

「非定常的な役割でなく、正式にそうした役割に据えればいいと考えます。これならば、新潟さんの強みを活かし、弱みをカバーできる」

「私の、強み……」

 

 チョコさんが突撃し、アメさんが余波で思考停止に陥った時にガムちゃんは指示を出す指揮官をしていたわけだけど。

 それを普段の、パーティの基本戦術として組み込むわけか。彼女の持つ強みを活かして弱みを軽減するために。

 

 なるほど。たしかに先の戦闘においてはガムちゃんの動きと指示により、三人はどうにかパーティとしてギリギリ瓦解せずに済んでいた。

 他二人があの調子でそうだったのだから、最初から彼女の指揮前提ならばより、パーティとして適切な動きができるかもしれない。

 

 とはいえ戸惑うガムちゃん。最年少でいきなり指揮官ねと言われても、そりゃあ困るだろう。

 けれど香苗さんはやんわりと微笑み、宥めるように彼女を諭す。

 

「あなたは3人の中で最も冷静に状況を把握し、またそれに応じたサポートができる。指示を出すばかりでなく《忍術》による多彩な支援攻撃も今後、技のレパートリーが増えれば可能となるでしょう。ですので、基本は指示を出して要所でスキルによる支援を行う、という立ち回りが最適です」

「強みを活かす、というのはわかります。ですが弱みをカバーする、というのは一体?」

「そこは簡単ですね……つまるところ新潟さんも、とっさの事態に冷静さを欠く中で予定していないフォローに奔走するため、二人へと辛辣に当たるのです。最初から自分の役割は指揮だと考えて動けば、そうした言動もマシになるでしょう」

「あ……」

 

 想定外の役割に苛立つならば、それを想定して動くようにすればいい。

 逆転の発想からの提言に、ガムちゃんは見るからに目から鱗が落ちた様子で声を上げていた。




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