攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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三人娘、リトライ!

 店長さんから入場許可証ももらったことだし、さていよいよ2つ目のダンジョンへと向かう。

 搬入口の真ん中にポッカリ空いた穴、というのはわかりやすく目立ち、なんなら店の入口のすぐ傍なのであっという間に発見できた。

 

 ちょうどトラックが近くに停まって、ドライバーさんらしき人を始め何人かのスタッフさんで搬入作業をしているね。

 当然ダンジョンの穴はコーンとバーで囲われているので、それを避けての仕事だけれど。とにかく動きにくそうで時折、顔をしかめてブツブツ言いながらバックヤードに荷物を入れていく人たちの姿は、とにかく大変そうだった。

 

「なんでこう、迷惑な位置にばかり発生するんだ……」

「ランダムでしょうし、時も場合も選ばないのがダンジョンではありますが……なんとも、日常生活に被害が出ているのはやるせませんね」

 

 香苗さんと二人、複雑な心地で話す。

 こないだの寿司屋もそうだけど、出入口の周辺は勘弁してくれんかって気持ちになるよね。生成プログラムによるランダム生成で毎日夥しい数を作っている以上、システム側にももう把握しきれる領域じゃないのが実情だけれど、これはひどすぎる。

 

 さりとてプログラムそのものを改竄しようにも、もはや因果がめちゃくちゃになりすぎて手の施しようがないからなあ。

 仮に本腰入れてメンテナンスをするとなれば、俺かワールドプロセッサがしばらく行動不能に陥るレベルの総動員になるだろうし。よっぽど致命的な事態が予想されない限りは、ひとまずはこのままの運用を続けるんだろうな。

 つまりは結局のところ、オペレータが迅速にダンジョン踏破を行うのが一番、世界にとっては手っ取り早いってことだった。

 

「よし、じゃあ行こうか。階層は1つで部屋数は3つ、さっきのダンジョンと同じ塩梅だし、まあすぐに終わるさ」

 

 関口くんがみんなに号令をかける。ここのダンジョンもF級ゆえ極めて小さな規模であり、普通に行けば30分かそこらで終わる程度だ。

 ただ今回の場合、おかし三人娘の連携を模索するための試行錯誤や検討が伴うだろう。そんなわけで実際問題、どのくらい時間がかかるかってのは未知数な話ではある。

 気合も十分、とばかりにおかし三人娘が気炎を上げる。

 

「はい! 頑張ります! 頼むよ、指揮官さん!」

「よろしくね、ガムちゃん。あなたの指示、頼らせてもらうわね」

「……わかりました。お二人の命、預かります」

 

 切り込み役のチョコさん、召喚によるサポート役のアメさん。そして、今回からその二人に指示を出してフォローまでを担うことになる、指揮官役のガムちゃん。

 それぞれ新たなやり方での探査に、不安と緊張もあるだろう。特にガムちゃんは、他二人を動かす立場になったことからもガチガチに気負っているな。

 

 どうにかして、少しでも不安を和らげられないだろうか。そんな思いで彼女の肩を軽く叩き、俺は声をかけた。

 

「ガムちゃん。大丈夫、何かあったら俺や香苗さん、関口くんが必ずなんとかする」

「山形パイセン……」

「肩の力を抜いて、チョコさんとアメさんを信じて。そして、自分自身を信じて。大丈夫、君ならできる。必ずできる」

 

 想いを込めた激励に、ガムちゃんはほんのり笑って小さく頷く。同時にふう、と息を吐いてリラックスできたのが見て取れて、俺は密かに安堵した。

 少しくらいは役に立てたかな。どうあれ、何かあったら必ず俺たちが助けに入るけど。

 

「よし、じゃあ行こう!」

 

 関口くんの声とともに、俺たちはダンジョンへと入っていった。コーンとバーを少しずらして、穴の中へと進入する。

 土塊の階段を降りていくと、スタンダードな道が見えてくる。関口くんがライトで照らせば、三人娘さんたちもそれに続けてライトを点けた。

 チョコさんがあたりを見回し、確認する。

 

「地形変化は見られません! 普通の土でできた道です!」

「まあF級で地形変化ってなかなかないからな……了解。で、どうするガム。ここからは君の指揮だ」

「えっ……あ、はい」

 

 関口くんから正式に指揮権を投げられ、ガムちゃんは少し戸惑いがちに、不安そうにあたりを見回した。いろいろ考えて、頭をフル回転させているのが手に取るようにわかるよ。頑張れ!

 やがて一度、俺の顔を見ると彼女は頷いた。不安な顔から一転、キリッとした凛々しい表情へと変わる。

 すぐさま、チョコさんとアメさんへと指示が出された。

 

「まずはアメ姉、召喚をお願い。山形パイセンの言うように、モンスターと出くわした時にすぐ対応できるようにしたい」

「了解よ〜! 条件は一つ、"ダンジョン内であること"──」

「チョコさんは先導して通路を進行。続いてアメ姉、その後ろに私がつきます。部屋が見えてきたらその時点で連絡お願いします」

「了解! ちゃっちゃか行くよ!」

 

 テキパキと、部屋までの準備と段取りを告げていく。同時にすぐさまアメさんは《召喚》を使用して、チョコさんとガムちゃんはそんな彼女を間に挟むよう、前後に挟んで一列に隊形を組んだ。

 うん、結構いい感じだ。アドリブに弱く戦闘力の低いメンバーを護るような形で、先導を近接メンバーに任せて指揮官役は後方から奇襲の警戒と周囲を広く観察する。

 ガムちゃん、やっぱり頭が切れる子だな。感心する俺をよそに、アメさんがサラマンダーを呼び出した。

 

『くきゃ! くきゃくきゃー!』

「できました、ガムちゃん!」

「了解。それじゃあチョコさん、進行しましょう」

「了解!」

 

 それを受けての出発進行。

 新生おかし三人娘のダンジョン探査が、ここに始まった。




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