攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─   作:てんたくろー

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これはまさしく別格のぼっち

 ヴァールと数日ぶりの言葉を交わす。となれば当然、残る二人ともやり取りするわけで。

 さっそく美女が二人並んで、俺に挨拶してきていた。

 

「やっほ、公平! こないだは世話になったわね、ひさしぶりー!」

「アンジェさん! お久しぶりです、あれから体調のほうはどうですか?」

「バッチリよ! 心配かけてごめんね!」

 

 金髪ロングの長身美女、アンジェさん。今日は白シャツにジーンズ、帽子とボーイッシュな出で立ちでいる。

 こないだのダンジョン探査の折、A級モンスターであるワイバーンの毒を受けて検査入院していたとのことだけど……問題なく退院して復帰できたみたいだ。よかったよかった。

 

「お、おおおおおひさしぶりでででです! 覚えてますか、わ、わ私のことぉ……」

「もちろん。お久しぶりですランレイさん、元気にされていましたか?」

「は、はいぃっ! こ、こ、こちらこそ妹がその節は、どうもご迷惑をおかけしまして……」

「いえいえ。勉強させてもらいました」

 

 見るからにキョドっている、緑髪を結った長身の美人さん、ランレイさん。今日も今日とてチャイナ服を着たエキゾチックなスタイルとは裏腹に、言動はひたすら怯えた感全開だ。

 彼女はリンちゃんの姉ゆえか、こないだの探査者イベントでの模擬戦についても当然、承知しているみたいだった。妹さんのこともあってか恐縮しきりらしくて、あわわあわあわと慌てている姿が小動物みたいだった。

 

 アンジェリーナ・フランソワさん。シェン・ランレイさん。

 二人とも揃ってA級探査者、それもトップクラスの腕前を誇る凄腕の実力者だ。

 それぞれアンジェさんは剣術を、ランレイさんは妹同様の星界拳を得意としている。この間の探査では新スキルにも覚醒し、これから破竹の勢いで探査者界隈に名を刻んで行くだろうこと間違いなしの、見た目も中身も最強コンビだ。

 

 そんな二人を引き連れて、ヴァールも一体なんの用なんだろう。さしあたり座布団に促して一同、テーブルを囲んで座り込む。

 ……まあ、狭いよね。四畳半にベッドとデスクがある上に5人はきついよ。予想しないではなかったけど、思っていた以上にぎゅうぎゅう詰め感がひどい。

 

 ましてやここにいる全員、俺を除いて女性なんだ。

 やべーよセクハラって言われたら言い逃れできない。俺は咄嗟に、引き攣り笑いとともに提案した。

 

「せ、狭くて申しわけない。あーと、リビングに行きましょうかみなさん。ちょっと騒ぎ癖のある両親がいますがどうぞお構いなく──」

「気遣いはいい、山形公平。急に押しかけて来たのだ、そこまで迷惑をかけることはできない」

 

 さすがにこのまま話し込むわけにはいかない。そう思って居間への移動を提案したわけなんだけど……まさかのヴァールからの否定。

 えっ!? って顔をする俺がよほど珍妙に見えるのか、苦笑をこぼしながらも続けて答える。

 

「密着気味なのは否めないが、こういうのも悪くはない。密談にはピッタリだろう。それになんだか、内輪の会議という感じで楽しそうだ」

「楽しそうって、いやあの、ヴァールさん?」

「無論アンジェリーナにランレイ、そして後釜が拒否するならば居間をお借りするが。どうだ、そのへん?」

 

 予想を超えてお茶目さを発揮してきた。密談だの内輪の会議だので楽しそうとか、ノリが秘密基地でわちゃわちゃする子供のそれじゃん。

 とはいえ、自分の意志をゴリ押しする気もないんだろう。他の女性陣に向けて問いかける。

 

 まあ、楽しいらしいヴァールや普段から部屋にいることの多いリーベはともかく、妙齢たるアンジェさんとランレイさんはね。こんな狭い部屋で男込みで身を寄せ合ってテーブルを囲むなんて、到底許容できないだろう。

 

 ──と、思っていたんだけど。

 

「全然気にしてないですよ? いいじゃないですか、密着」

「み、身を寄せ合ってお話、会話、おやつとジュース……えへへへへ! た、た、楽しい!!」

「リーベちゃんもぜーんぜんOKですよー?」

「えぇ……?」

 

 これまたまさか、まさかのOK解答。嘘だろ、マジで?

 アンジェさんとリーベはそもそも気にしてない感じでカラッとしてる感じだけれど、ランレイさんなんてめちゃくちゃはしゃいでるじゃん。楽しいって言い切っちゃってるよ。

 若干リンちゃんっぽさすら出てきているあたり、やはり姉妹なんだなと感心するところはあるんだけどさ。え、本当にこのまま本題に入っていいの?

 

「いいんですか? 実際狭いでしょう」

「これがたとえば、見も知らないイヤラシー目をした人とかさ。ナイフ持ってウヘヘヘって言ってる人とかだったら密着なんて冗談じゃないけど、みんな知り合いってか友だちじゃん。気にするわけないし?」

「と、と、友だちがそもそもいなかったから……密着なんてこと、したこと全然なかったです! だからい、今楽しいです!」

「…………そ、そうですか」

「ランレイ……」

 

 明るくあっけらかんと俺たちを友だちと呼んでくれるアンジェさんは相変わらずの陽キャさんだけど、ランレイさんはなんともこう、反応に困ることを仰っている。

 同じ陰キャ仲間の俺どころか、あのヴァールでさえどこか憐憫の目を彼女に向けている。こいつにそこまで見られるのって地味にすごい話ですよ、これは……




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